ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

そもそも隠蔽という圧力の中で起きる性暴力事件、さらに「米日同盟」の重しの中で(20240712)

2024年07月12日 | 米日地位協定-事件事故

そもそも隠蔽という圧力の中で起きる性暴力事件、さらに「米日同盟」の重しの中で

(1)性暴力事件は、そもそも隠蔽の中で行なわれる

 沖縄で起きた米国空軍兵による性暴力事件。2023年12月24日に起きたと言われているが、明らかになったのは2024年6月25日。半年もの間、隠蔽され続けてきた。何故こうした不当な取扱が生じたのかを考える際、私は以下のことに注目すべきだと考える。
 話しは単純だ。性暴力が起きるのは、加害者が被害者の心身を拘束しながら、閉じられた空間で起きることが大半だということだ。今回の事件の被害者は加害者の自宅に連れ込まれた上だった。被害者が、これをそのままにしていたら、事件化されることはなかった。そもそも隠蔽の構造の中で起きるのだ。私達はこの点をよくよく考えるべきだ。
 被害者ら(親密な関係者)が、こうしたことを事件化することは、ものすごい葛藤を強いられるだろうが、自身の身を守ることであり、再発を防ぐことにも貢献するだろう。性暴力はダメだということを改めて知らしめることになるだろう。

(2)米日同盟の重しの中で
 事件が起きたのは沖縄だ。在日米軍の70%(基地面積)の基地が沖縄に集中している沖縄だ。この国(日本政府)は、一貫して沖縄に基地を集中させてきた。「皇土防衛」のために時間稼ぎの戦争を、島民を総動員してやらせたことから始まり、1972年5月15日の沖縄返還まで米国の支配下に置き、さらにその後も、今の状況が続いている。日本政府は、2014年前後から「日米同盟」と謳いだす始末だ。
 一方で、沖縄では基地関連産業で働く人は少なくない。新基地建設等(辺野古のみならず自衛隊基地を含む)の軍事関連の仕事は、あれこれある。米兵等の軍人と家族を成している人も居る。そうした人たちへの遠慮が働けば、批判もしづらくなる。
 まして岸田首相は、4月11日、バイデン大統領と国賓待遇で米国訪問を行ない、満面の笑みを浮かべて会談している。米国に文句をつける顔は伺い知れない。日本人の多くもこうした影響下に生きており、沖縄のことなど、蚊帳の外においているのだろう。

(3)何が事実なのか、はっきりしないが…
 昨日今日の報道を見ると、なにやら分かりづらいことになっている。沖縄タイムス7月11日1面「首相、米兵起訴前に把握」、同7月12日社説「米兵事件首相も把握」とあるが、7月12日琉球新報は、外務省は首相官邸に伝達していたが、首相が知っていたとは断定していない。ただ同じ紙面で、「首相が見せた『日米同盟』は、県民の人権をないがしろにして成り立つ空虚さも浮き彫りになった」と指摘している。全くその通りであろう。
 首相が直接知っていたのか、知らなかったのかはともかく、政権としての責任は厳しく問われねばならない。首相秘書官や林芳正官房長官は報告を受けていたことは明らかと報じられており、首相に伝達され、どう対応すべきかを議論していなければおかしい事件だ。
 1997年に日米合同委員会で合意された事件・事故に関する合意に従えば、米大使館から外務省に通報する経路と、在沖米軍から沖縄防衛局に通報する経路がある。今回の事件では、大使館から外務省に積極的な通報はなく、外務省が把握した上で大使館との情報共有が始まったという。在沖米軍から沖縄防衛局への通報もなかったという。
 因みに沖縄には沖縄総領事館がある。大使館の地域(下部)組織だが、ここは米軍関係の渉外的な事務も司っている。先の合意に従えば、ここから大使館に情報が上がるはずだ。
 誰の責任で情報統制が行なわれたのかは不明だが、沖縄県知事には知らされていない。沖縄では誰も知らないままに、23年12月24日から半年を過ごしてきたのだ。そして24年5月26日米海兵隊員が性暴力事件を起こしている。
 
(4)沖縄県警は知っていたのだが…
 ここで事件を直接担当していた沖縄県警が問題になる。沖縄県知事に何故伝達しなかったのか。米軍がらみのことだから言えなかったのか。警察庁に伝達したら、止められたのか。捜査に不都合が生じるから、伝達しなかったのか。起訴が確定した後ならば、支障はなくなったはずだ。誰かが背後に隠れているように思えてならないのだ。加害者は既に釈放されており、嘉手納基地に置かれているということだ。

(5)隠蔽の構造を「プライバシー保護」でごまかすな
 政府はこの半年間隠蔽してきた理由を被害者のプライバシー保護の必要上と強弁している。プライバシー保護が大義名分ならば、そもそもこうした事件が起きないように全力を尽くすのが政府のお仕事になるはずだ。この社会でプライバシー保護を名目に事件の隠蔽をはかれば、加害者らは強気になる。社会的制裁を受けず、刑事責任も減じられ得るからだ。
 被害者のプライバシー保護は当然のことだ。同時にプライバシー保護の徹底は、セカンドレイプの防止につなげることと一体でなければならないはずだ。
 

  



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