ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【拡散願います】CVー22オスプレイ墜落から日米関係を考える(1)(20231201)

2023年12月01日 | 米日地位協定-事件事故

CV-22オスプレイ墜落事故から日米関係を考える(1)

(1)はじめに
 2023年11月29日午後、屋久島沖(東側)で米国空軍CV-22オスプレイが墜落した。8名が乗っていたが、1名の死亡が確認されたまま、12月1日現在、行方不明者を捜索中だ。一方で翌日も米国海兵隊はMV-22の飛行を継続しており、普天間基地、嘉手納基地などで飛行が確認されている(沖縄タイムスの記事より)。
 何故、在日・在沖米軍はオスプレイの飛行を差し止めないのか、甚だ疑問だ。同時に日本政府は、何故様子見をしているのだろうか。日本政府は、陸上自衛隊にオスプレイを導入しており、傍観者ではいられないはずだ。

(2)岸田政権の態度を問う
 2023年11月30日19:15―29に行なわれた記者会見で木原稔防衛大臣は、「まずは捜索救助活動を行うその機体を除き、飛行に係る安全が確認をされてから飛行を行うように要請をしたということになります。そして、そういったことについて、早期の情報提供というのを、全体像をつかむために早期の情報提供を求めたというところであります」と答え、「飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うように要請をした」と繰り返した。要は飛行停止を求め、原因究明を求める気がないようなのだ。
 確かに、捜索救助活動を最優先する段階だと言うことは、誰も否定しまい。しかし防衛省が米軍に対して、飛行停止を求め、原因究明を求めることと捜索救助活動は何も矛盾する話しではない。
 また同日の参議院外交防衛委員会で山添択議員(日本共産党)への木原防衛大臣の答弁も同様だった。曰く「安全確保は大前提」「このような事故はあってはならない」「事実関係の確認を求める」。一般論に終始していた。
 政府は、何故飛行停止と原因究明を米国に求めないのだろうか。これは単に日本政府が米国の「属国」だから、追随してきたからではないと、私は考える。もっと具体的な負の遺産が積み重なっているのではあるまいか。

(3)墜落を「不時着水」と言い募る事実誤認(阿呆か)
 政府・防衛省は、今回も「不時着水」だとごまかそうとした。2016年12月13日に起きた大浦湾先の安部海岸にMV-22オスプレイが墜落した時もそうだった。誰もが承知しているように、一般的な航空機(固定翼、回転翼を含め)は、水上に下りる構造になっていない。飛行艇などの特別な構造を備えた機体を除く。
 つまりオスプレイが海に下りることは、「不時着(水)」ではありえない。墜落の結果だ。そもそも不時着とは、飛行計画にかかわらず、故障や燃料の不足が生じ、予定地外の代替地に下りることを言う。政府自ら事故を軽く見せようとのイメージ操作を行ないながら「飛行に関わる安全を求める」事などできるはずがない。

(4)オスプレイを巡る米日関係の流れの中で
 オスプレイが国内に導入されたのは、2012年普天間基地に米国海兵隊が12機を導入した事から始まった。13年にさらに12機。計24機。尚、1990年代からの経過の中に、オスプレイを巡る米日関係が溢れている。それは正に新基地建設の動きと一体だったのだ。
 そして日本政府は2014年に陸上自衛隊にオスプレイを導入することを決めた。そして2020年木更津駐屯地の第1ヘリコプター団にV-22の輸送航空隊(第107飛行隊、第108飛行隊)を編成した。現在14機。また米国空軍は2018年にこのCV-22オスプレイの横田基地への配備を始めた。
 このように、この国は、オスプレイ導入に極めて積極的でありつづけている。今回の事故後、私はネットで防衛省が出していた文書を拾った。2018年5月31日の「CV-22オスプレイの横田飛行場への配備について」、2018年7月の「陸上自衛隊が導入するV―22オスプレイの安全性について」など。逐一検討してみたい。ここで総論的にいえば、正に負の遺産が積み上がれば上がるほど、頑なになり、「我が道」しかなくなるようだ。正当化に正当化を重ねていけば、結果は見えている。自滅への道だ。それが2022年の「安保3文書」であり、この1年の歩みの中にこの国の姿が現れている。
 だが私たちが如何なる態度を取るのか、そこが問題だ。傍観し続ければ、そのツケは私たちに回ってくる。イエスかノーかを考えるためには、「安全か危険か」だけで考えたら、ドツボにはまる。既成事実を問い返し、アジアの中で「高まりゆく緊張なる」モノに向き合う中で考えるしかないだろう。
 そこで以下、「CV-22オスプレイの横田飛行場への配備について」を取り上げる。

(5)「CV―22の配備について」
①北関東防衛局
 これは北関東防衛局がまとめた文章だ。北関東防衛局は、防衛省の出先機関。沖縄に沖縄防衛局がある如く。ただ根本的な違いは沖縄に米軍基地が集中しており、それ以外の防衛局は殆どが自衛隊の出先機関となっている。北関東防衛局は、「自衛隊・米軍と地域住民を繋ぐ機関」だと自負している(同HPから)。1都7県を管轄している。東京都(横田基地がある)、千葉県(木更津駐屯地や習志野駐屯地がある)、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県(第12旅団がある)、長野県、新潟県。群馬・長野・新潟には3県を跨がる米軍も使っている演習場がある。

➁何もかも「米軍の言うとおり」
 文書の冒頭に「背景、意義」がある。「CV-22は、我が国有事を初めとして各種事態が発生した場合に、米各軍の特殊作戦部隊を輸送することを主たる任務」としている事をあけすけに打ち出している。もっとも「人道支援・災害救難活動を行なうことが可能」となるとも主帳。だが中心は「日米同盟の抑止力・対処力を向上させ、日本の防衛及びアジア太平洋地域の安定に資する」としている。こうした意気込みはなんなのだろう。米国と一体で戦う国として、CV-22を歓迎すると言うことだろうか。
 配備予定が遅れたことの言い訳や、スケジュール、人員態勢、施設整備があり、運用について説明している。訓練内容、飛行経路を一般的に説明している。飛行運用では、MV-22に関する日米合同委員会合意(2012年9月)の内容を含め、「米側は(中略) 既存の全ての日米間の合意を遵守する旨、明言しています」と言っている。ウソーダ!(沖縄の声)。
 また「米軍施設及び区域の上空及び周辺における飛行経路を設定し、この目的のために、MV-22を飛行運用する際の進入及び出発経路は、できる限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避けるように設定されている」と主張。要するに北関東防衛局は、住民の声を聞きながら、米軍に約束を守らせると一言も言っていない。「守ってくれるんじゃないの」という態度だ。少なくとも沖縄ではドン無視だよ。
 「安全の確保と生活環境への配慮について」で、こう主張している。「●米空軍のCV-22は、米海兵隊のMV-22と同等であると考えています。/●MV-22は、2005年に米側がその安全性・信頼性を確認した上で量産が開始され、我が国政府としても、2012年、MV-22の普天間飛行場への配備に先立ち、分析評価チームを設置するなどし、独自に安全性を確認しました。これに加え、2014年、我が国政府もオスプレイを導入する事を決定しましたが、その検討過程に於いて改めて、各種技術情報を収集・分析し、安全な機体であることを再確認しています」と気色張っている。
ここまで「安全」だと言っていたら、今更「危険かも」と吐露することはできないだろう。これが日本国の防衛当局の「常識」なのだ。
 一言伺うが、ではこのMV-22の導入について、沖縄では2011年まで何故口をつぐんでいたのか。ここまで自信があれば、公表するのが民主国家の責任だろう。私たちは、米軍の言うことが横柄でデタラメだから、国に問題を投げかけている。その日本国も横柄でデタラメなのだ。
(続く)

 



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