「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

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「流れ橋」(ながればし)

2007年02月09日 07時56分58秒 | 古都逍遥「京都篇」
 時代劇映画やドラマに必ずといっていいほど登場している長い木橋、時代劇の雰囲気づくりには欠かせない風景となっているが、このような橋、いったいどこに架かっているのだろうか、とその場面を見るたびに思っていた。ところが、ふとしたことから、その橋がわが家のほんの目と鼻の先にあると知ったのはそんな昔のことではない。川の風景写真を撮ろうと愛用のカメラを持って近くを流れる木津川沿いを歩いていると、目の前に、どこかで見かけた欄干の無い大橋が現れた。時代劇ファンの私にとては感動の出会いであった。そこに中村主水や暴れん坊将軍がすっくと立っている幻想に襲われた。

 木津川に架かる八幡市と京都府城陽市久御山町を結ぶ上津屋橋(こうずやばし)の通称であるこの橋は、全長約356.5㍍、幅3.3㍍、現存する最長級の木橋で、昭和26年に架けられた。当時の資料を見ると、当初永久橋を架ける予算がなく、かといって普通
の木造橋では増水の度に流されてしまう。そこで水の流れに逆らわない構造の橋が架けられた。つまり、木津川が増水して橋板まで水に浸かると橋板が自然に浮かび、8つに分割してワイヤーで繋がれた橋板が吹き流しのように流れるという「流れ橋」である。水が引けばワイヤーを引っ張り橋板をたぐり寄せ元にもどすという優れものである。

 この付近一帯は木津川の砂地の河原が広がり、コンクリート護岸や電柱もなく、橋をバックに時代劇を初めとする映画・テレビのロケーション等に利用され、NHKの朝のドラマ「オードリー」で主人公が少女時代に飛び込むのはこの橋が使われた。最も映画に登場したのが「座頭市」「必殺仕事人」「暴れん坊将軍」など。休日には家族連れや、若者のグループがバーベキューを楽しむなど、四季を問わず市民の憩いの場となっている。その土手のたもとには流れ橋の建設資料や地域の物産、蕎麦打ち道場、宿泊施設をもつ「四季彩館」がある。

 日本最長の木橋は、静岡県島田市の大井川に架かる「蓬莱橋」(ほうらいきょう)が897㍍あるから、流れ橋木橋としては八幡のものが日本一と言えるだろう。また、岡山県下には小田郡矢掛町の小田川に架かる「観月橋」をはじめとする流れ橋がある。


 橋は、三重県を水源とする「木津川」(きずがわ)にかかっているが、少し下流の山崎で、琵琶湖から流れる「宇治川」(うじがわ)、丹波地方から嵐山を経て流れる「桂川」の三川(さんせん)が合流し淀川(よどがわ)となって大阪府に流れ込む。
 三川が合流する地点の西側対岸にある天王山(てんおうざん)は、明智光秀、豊臣秀吉の決戦場となった。また川沿の東側山麓・男山の山頂にある石清水八幡宮は、徒然草の「仁和寺のある法師」の章の中にでて来る。京都に存在する神社の第1位の位を持つ由緒ある神社である。。 
 司馬遼太郎の「国盗物語」にでてくる斉藤道三は、三川が合流する山崎の近くで御所を警護する北面の武士の松波左近将監基宗(まつなみさこんしょうげん もとむね)の子として生まれたことでも知られている。

 毎年4月の末の日曜日に時代劇祭が河川敷で行われる。このとき、参加料を支払えば好みの時代劇立役者に扮装し、橋を渡ることができる。東映京都撮影所のスタッフが着付けやメーキャップをしてくれるもので、写真も含めて参加料は、昨年は3万円であった。申し込み問い合わせは:やわた流れ橋時代劇祭実行委員会事務局:やわた流れ橋交流プラザ
四季彩館内〒614-8173 八幡市上津屋里垣内56番地の1。 TEL(075)983-0129。
 
 所在地:京都府八幡市上津屋里垣内
 交通:京阪電鉄八幡市駅下車、京阪バス2番乗り場、岩田方面「内里西岩田循環・新田辺・岩田南」行、上津屋下車すぐ(バス約20分)・タクシーで約15分。

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