大項目2 市民が切実に求めている公共交通計画を策定するために 未定稿
本市の公共交通の指針となる地域公共交通網形成計画が、2025年、令和7年度末で終了することから、次期計画に向けた策定作業が始まっています。6月議会では、企画部長より、「今年度は、現計画の評価を実施し、来年度基礎調査をしたうえで、基本方針施策を協議する。その協議を通じて、さまざまな立場の意見をききながら、今後の公共交通の在り方について検討していく」という答弁をいただきました。
そこで、次期公共交通計画が、特に交通弱者といわれる市民の声を正面から受け止め、移動の自由を広げるものとなるよう、以下質問します。
(1)次期計画策定に向けた現状分析について
定時定路線の公共交通の充実の重要性を認識したうえで、同時にその限界も前提にして、どのような移動手段が必要とされているのか、ここに応えていくことが、高齢化が進む市民の生活のしやすさに直結し、今後10年間のまちづくりの要になるものと考えます。
そこで、次期計画に向けて、交通弱者の立場に立った現状分析を行うことが重要と考えますが、いかがでしょうか。
(2)湊線延伸計画の再考を
現計画に湊線の延伸が位置づけられていますが、コロナ禍を経て工期は遅れ、事業費は当初より1.6倍に跳ね上がり、市の財政状況も変化しています。延伸事業に向けた新たな予算がついていない今こそ、一度立ち止まり、改めて、延伸計画の詳細を明らかにし、民意を問うべきと考えます。
地方自治法に示された地方自治体の役割は、第1条「住民の福祉の増進を図る」こと、第2条「最小の経費で最大の効果を挙げる」ことです。このことが鋭く問われています。
延伸すれば、本当に湊線の経営は安定するのか、他の施策に優先し、126億円という税金を投入しての延伸でどのような効果が住民にあるのか、また、延伸せずに湊線を存続させる方策について、詳細な資料・情報を議会にも市民にも公開すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
(3)次期公共交通計画とまちづくりとの関連について
新中央図書館の整備に合わせて、中心市街地の賑わいを創出しようという新たな計画が進んでいます。賑わいの創出には人の移動が不可欠ですが、新中央図書館の移転により交通の便を不安視する声が早くも上がっています。いわゆる交通弱者を排除しない政策が求められていると考えますが、次期公共交通計画とまちづくりとの関連について、伺います。
答弁 森山企画部長
(1)次期計画策定に向けた現状分析について
本市においては、現在市地域公共交通網形成計画にもとづき市民のだれもが気軽に利用できる公共交通体系の実現を目指し、市内の公共交通機関の相互補完により交通網として充実するよう乗り継ぎを考慮したダイヤ改正、スマイルあおぞらバスのルート改正やバス停の拡充など利便性の向上を図っているところです。この計画が令和7年度末をもって期間満了を迎えるため、今年度から次期計画策定に向け作業を進めているところです。策定に当たっては、地域関係団体や学校、民生委員児童委員協議会をはじめとした福祉、医療関係団体、経済関係団体、および高齢者クラブ連合会など利用者を代表する各団体のほか、学識経験者、国、県、警察など行政機関、交通事業者など様々な立場の委員で構成されるひたちなか市公共交通活性化協議会を適宜開催し、本市の公共交通の在り方について協議をしながら進めていきます。
また、工程としては、まず現計画の評価やヒヤリング、アンケートの実施などにより現状分析や課題整理を行い、その後計画の方針や目標、取り組むべき施策、評価方法など、具体的な計画案を作成していきたいと考えています。
このうち現状分析にかかる具体的な作業としては、今年度から市内の鉄道、バスなどの交通事業者に対し現状や課題、利用促進の取り組み等について、また、観光施設の運営事業者などに対し公共交通の利用状況や今後の利用見込み、課題等についてそれぞれヒヤリングを実施していきます。
令和7年度には、市民の意見やニーズを把握するため2つのアンケート調査を予定しています。1つには市民の方に向けたアンケートとして鉄道や路線バス、スマイルあおぞらバスなどの各公共交通機関の利用状況や公共交通機関ごとの満足度、改善点等を調査項目とする予定です。2つ目として、公共交通利用者へのアンケートです。鉄道や路線バス、スマイルあおぞらバスなど各公共交通機関を利用している方に利用目的等を伺うことを予定しています。調査方法については、各交通事業者と今後協議し決定していきます。
このようなアンケート調査やヒヤリングを通して様々な市民のニーズや各事業者の意向を把握するとともに、オープンデータの活用も視野に入れ次期計画に向けての現状分析や課題整理を行っていきたいと考えています。
(2)湊線延伸計画の再考を
ひたちなか海浜鉄道の延伸事業については、基幹交通である鉄道を維持するという意味に加え、沿線地域の活性化や観光客の回遊による関係人口の拡大など、まちづくりに寄与する大規模なプロジェクトであるため、これまで議会をはじめ関係者や市民の皆さまに対して時宜に応じた現況説明や周知に努めてきました。
とりわけ議会の説明としては、平成30年8月に湊線延伸基本計画が策定された際には、初めて計画が承認されたタイミングであったことから、延伸事業全体について全員協議会において路線計画、概算事業費、需要予測、運行計画、収支計画など基本計画の全体的な内容についてご説明させていただきました。
令和2年に、海浜鉄道が国に対して鉄道事業許可申請を行った際には、議会におかれましては、湊線延伸に関する特別委員会が設置されていたことから、申請内容について那珂湊地区活性化対策検討特別委員会で、路線計画、概算事業費、需要予測、整備効果、運行計画、収支計画など事業許可申請の全般についてご説明させていただきました。
令和6年3月の鉄道事業基本計画の変更認可を取得した際には、変更点について全員協議会において変更理由をはじめ、変更内容である駅位置の変更、工事区間の分割、事業費、収支計画などについてご説明させていただきました。あわせてこのような時期を問わず、一般質問や代表質問において現況や計画内容について個別にお答えさせていただいてきました。
直近では、6月議会において事業実施に当たっては国の支援制度の活用を検討していることをお答えしたところであり、計画改善に向けて現在も関係機関と協議を進めているところです。また市民の皆様に向けては、これまでも事業の進捗において適宜計画の概要を周知してきたところです。
現在は工事施工許可申請は審査中であり、国の支援制度活用に向けて策定中である鉄道事業再構築実施計画については国の認定が得られる計画となるよう関係機関と協議を進めているところですので、周知については時期を見て検討をしていきたいと思います。今後とも引き続き海浜鉄道の延伸事業について、時宜に適した説明や周知を行い延伸事業に対する理解促進に努めていきます。
(3)次期公共交通計画とまちづくりとの関連について
次期公共交通計画を策定するにあたり、国土交通省が示す手引きにおいては基本方針を定めるうえでの主な留意点として4点、1つにはまちづくり、観光振興等との一体性の確保、2点目としては地域全体を見渡した地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保、3点目としては地域特性に応じた多様な交通サービスの組み合わせ、4点目としては、住民の協力を含む関係者の連携が挙げられています。このようなことから、本市において策定している都市計画マスタープランや立地適正化計画、観光振興計画との整合を図りながら策定をしていきます。
ただいま申し上げた都市計画マスタープランおよび立地適正化計画については、都市拠点として中心市街地、那珂湊地区、佐和駅周辺地区、ひたちなか地区の4か所を位置づけて、各拠点間を連絡することで都市内の連携交流を‥ためJRやひたちなか海浜鉄道、バスなどの公共交通やバスなどの幹線道路を都市内連携軸と位置づけをし、それぞれの地域の実態や特性に応じた都市機能の集積を進めています。
また観光振興計画においては、重点プロジェクトの1つとしてひたちなか海浜鉄道の延伸と回遊観光の推進が掲げられ、勝田駅周辺、ひたちなか地区、那珂湊地区の3つの集客エリアをひたちなか海浜鉄道で結び、快適で利便性の高い回遊エリアを形成するとしています。
このようにまちづくりと公共交通は密接に関連していますことから、次期公共交通計画の策定においても、これらの既存計画と整合を図るとともに現在計画策定を進めている仮称つながる中心市街地まちづくり計画の整合を図りながら、それぞれの地域の実情や特性を念頭に置き、将来的なまちづくりをふまえた本市における今後の公共交通の在り方を協議していきます。
再質問 宇田
(1)次期計画策定に向けた現状分析について
現状分析をするにあたって、私は特に交通弱者の立場に立った現状分析が必要だということを求めたわけです。これまでの、今日に限らずですね、公共交通についての市の答弁を振り返りますと、市の公共交通施策の対象は自分で歩いてバス停まで行ける人が対象であり、自分で歩いてバス停まで行けない人は福祉の対象だと、公共交通施策から切り分けているというふうに思っています。しかし、福祉の対象は非常に限定的であり、それによって、福祉の対象にならない方たち、福祉の対象にならない場合の移動手段が、あいまいにされているというのが現状です。そこを、少しでも埋める計画にしてほしいということを私は求めているわけですけれども、それについては、共通の立場に立っていると考えて良いでしょうか。
答弁 森山企画部長
現在の公共交通計画、乗り継ぎを前提として市内の公共交通機関が相互補完により整備していくと、そのような網計画をつくるというようなことを申し上げたところですが、それと合わせまして、先ほど議員からもご説明がありましたように、ご自身で公共交通、あのご自身の足で移動が困難な方に対しましては福祉的視点から交通機関の整備だけではなく、買い物支援バスとか、ある程度要件のほうを皆さまのお近くに置くという、そういった福祉サービスを含めたほうが充実をするという観点から整備のほうを考えているところです。
この中で次期公共交通計画を行う上では、先ほど申し上げましたように、今後利用者の方へのアンケート以外にも市民の方に利用アンケートの方を行っていくという観点から、その中から様々なご意見をいただき事業の在り方を再構築する機会とするとともに、策定に当たって市公共交通活性化協議会には様々な立場の委員さんがいらっしゃいますので、ただいまのような利用者の視点からのニーズ、そして交通事業者をはじめとした交通サービスを供給する側からのご事情、そういったものを勘案しながら今後練り上げていく施策ではないかなというふうに認識をしています。
再質問 宇田
今後の次期計画策定に当たって、ヒヤリングやアンケートを取りますということですけれども、どういうヒヤリングをするか、どういうアンケートを取るかということについては、若干具体的に触れておりましたけれども、そこで、市の側が、どういう問題意識をもって、どこを充実させたいかっていう、やっぱり市の側にそういう問題意識がないと、やはり充実に向けたところが弱くなると思っているんです。ぜひ、今の計画の中で、移動の自由が不足、満足した状態になっていない方たちの移動の自由を広げるような次期計画策定となることを願っています。
(2)湊線延伸計画の再考を
答弁を聞いていますと、市の側はこれまでも十分に説明は尽くしているという答弁だったというふうに思うんですけれども、まーそうではないと、言っておきたいと思っています。
海浜鉄道の令和5年度決算が出されましたけれども、輸送人員が116万8千人と過去最高だったにも関わらず、令和5年度も約700万円の赤字でした。市は、毎年湊線に補助金を出しています。固定資産税の全額と昨年度は施設や車両の整備の一部負担金として、合計で4700万円の補助金をだしました。第3セクターとして残すと決めた海浜鉄道ですから、これは必要な経費であると認識しています。しかし、湊線を残すためにさらに126億円をかけて延伸することが本当に最善の方法なのか、詳細な数字出してほしいということを求めているわけです。
最初の基本計画の時ですね、平成30年でしたか、の計画の時には、収支決算とかいろんな数字をですね、ずーっと30年間にわたってですか、出されたんですよね。だけれども、コロナ後、いろんな状況が変わっている中で需要予測そのものを出しなおしてないんですよね。で、物価高騰で事業費があがりましたって言いうことなんだけれども、あがった事業費をなるべく安くするために新駅1の場所を変えましたとか、工法を少し変えましたとか、工区を2つに分けましたとかそういうことはやっているんですけれども、詳細な数字を出してほしいということを求めているわけです。第1工区の工事施工認可がそろそろ降りる時期かというふうに思っているわけですけれども、そうなれば来年度新たな予算が計上されてくるでしょうから、その前に詳細な収支決算や需要予測やコロナ後のですね、そういうものを出していただきたいと思っているわけですけれども、いかがでしょうか。
答弁 森山企画部長
収支については、先ほどもご答弁した通り、現在は工事施工認可申請は審査中であり、鉄道事業再構築実施計画については関係機関と協議を進めているところですので、収支については時期を見て鋭意検討をしていきます。
また、先ほど需要予測というお話がありましたが、鉄道の計画としては事業費のうち26億円を鉄道が負担するというのが現在の計画ですが、これは当初も同様の負担をするというような計画であるということを今年の3月ですね、全員協議会の中でご説明をさせていただいた通りであると認識をしています。その中で、現在需要については、1つは大きく通勤利用に、工業団地の需要が加わったという点と、あとは最新の人口推計では、人口減少が鈍化している、このような国の社会保障人口問題研究所の人口推計をふまえた推計をしていますが、収益に関してはこれらを含めると若干上向きになったというような認識ですが、大きな需要予測として、以前の当初計画を下回るようなものではないのかなというような認識をしています。
再質問 宇田
126億円も使うような大きなプロジェクトに対してですね、それも初めから126億円ではなくて物価高騰で跳ね上がっての126億円ですから、さらにもっと増えていくだろうことが容易に想像できる中で、今のような口頭で、何というんですか、大丈夫ですというような、それだけでは到底納得できないと持っているわけです。しっかり数字で、資料を出していただきたいということを求めたいと思います。
市長にききますが、市長は、湊線の延伸を実現する会の会長ですから実現のために頑張りたいということなんだろうと思いますけれども、同時に、といいますかそれ以前に15万5千人の市民の長ですから、延伸ありきではなく、もっと全市民的な立場で、これからのまちの在り方、税金の使い方を考えていただきたいと思っているわけです。
コロナ前とコロナ後で、頻発する自然災害や地球温暖化なども併せて、私は地方自治体の重要課題が大きく変化していると思っています。そういう中であいかわらず、湊線延伸しますと、単に高騰した事業費に対応するために駅の位置を変えるとか、工区を2つに分けるとか、そういうことでよいのかと思っているわけです。ここで、一度立ち止まり再考すべきだと考えますが、いかがですか。
答弁 大谷市長
先ほど担当部長の方から説明させていただいた通り、様々な観点から現在国等々調整をしているところです。こういった内容、また、協議をしたその結果、こういったものを議会、また市民の皆さま方にしっかり説明をさせていただきながら進めていきたいと考えています。