項目の3 市民が主役の新中央図書館にするために
1974年開館の中央図書館は、建物や設備の老朽化に加えバリアフリーへの対応や閲覧スペース等に課題があることから、図書館長は2014年4月に、「ひたちなか市立図書館の今後のあり方」について図書館協議会に諮問し、図書館協議会は翌年答申を出しました。その答申で、中央図書館は建て替えが必要であると提言されたことにより、庁内に副市長を委員長とし各部長を構成員とした「新中央図書館整備検討委員会」が設置され、2018年3月「中央図書館整備調査報告書」が出されました。
この報告書では、本市のまちづくり・教育の方向性の中に新中央図書館を位置づけ、整備理念を「まなび・みのり・あそびで、まちの未来をひらく図書館」とし、中央図書館としてふさわしい蔵書規模を現在の23万冊から50万冊、施設規模は現在の2.5倍ほどを提示し、4つの候補地があげられました。そこで、以下の点について伺います。
この3月には、新中央図書館整備基本計画が出されるものと思います。
さらに新市長のもと中央図書館について、子どもの「遊び」と「学び」を一体的に提供できるような複合施設の可能性など総合的に検討を進めるとあり、新年度予算で219万7千円計上されています。そこで
1点目 「新中央図書館整備基本計画」のなかで計画がどこまで具体的に明らかにされるのか伺います。
特に、建設候補地については、どのように整理されるのか、伺います。
2点目 来年度の予算で、具体的に、どのように検討を進めるのか、伺います。
(2)市民が主役の図書館づくりを
図書館協議会から出された答申には、「本市には、まちづくりの最高規範として『ひたちなか市自立と協働のまちづくり基本条例』があるが、今後の図書館運営においては市民と共に、市民のための図書館づくりを目指していくべき」と書かれています。私も本当にそう願っています。そう考えると、庁内設置の、新中央図書館整備検討委員会には、市民の代表も図書館にかかわる識者も含まれず、会議はいつどのようにおこなわれているのか、一般の市民には全く公開されないまま、検討が進められていることに疑問を感じます。基本計画を策定するにあたり、無作為抽出のアンケート調査、市民公募のワークショップや、様々な年齢層に対する聞き取りなど行われましたが、それで、十分ではないことは当然です。
市民の声を反映させるべき、という、9月議会での私の質問に対して、「今後も,図書館利用者や、図書館運営に協力していただいている読書グループなどのボランティア団体,幼稚園,保育所などの関係機関・団体に対しても意見を伺う機会を設けていきたい。市民の皆様からの声を大切にしながら,新図書館の整備につい検討していく」と答弁をいただきましたが、市民がお客様として、意見を聞いてもらうという立場ではなく、新図書館整備計画の中心に市民を置くべきだと考えます。
佐賀県伊万里市では、伊万里市民図書館建設にあたり、市民が主役の図書館づくりを進めるべく図書館と市民は車の両輪、という位置づけで「行政の持っている情報は全部出して、図書館はこうあるべきという理想も語りながら、市民の力を借りて、市民がほしいと思う図書館をつくろう」ということで、行政と市民が同じテーブルについて、勉強会から始めたということです。そうしてつくられた図書館は「自分たちの市には、こんなに素敵な図書館があるのだ」と多くの市民が誇りに思い、幅広い年齢層の利用はもちろんのこと、ボランティアによる図書館への協力・参加などが積極的におこなわれ、全国から視察が絶えない、図書館となっています。
本市のまちづくりのシンボルともなる図書館と願うなら、計画の段階から市民と行政が協力し合い、それによって市民が単なるお客様・消費者ではなく、まちづくりの主役として育つような取り組みが求められます。
そこで、今後の新中央図書館の整備計画を検討するにあたり、その過程から行政と市民が協働でおこなうことを求めますが、いかがでしょうか。
運営方式としては、図書館協議会からの答申の中で「現在同様、市の「直営方式」とするが、建て替えの時期などには指定管理者制度の導入について再検討が必要」と述べられており、多くの図書館に関心を持つ方々から心配の声があがっていました。去年の9月議会では教育次長から、「他の公立図書館や、協力団体との連携協力が密接であることや,職員の専門性が必要であること,社会教育施設として位置づけられている公立図書館の担う公的役割などから,図書館の運営は基本的には直営で行うものと考えている」と答弁をいただき、安心したところです。
その答弁をいただいた後市長が変わり、新たな方向性も出されてきた中で、改めて市の責任において直営で新中央図書館の運営をおこなうことについて答弁を求めます。
答弁 教育次長
(1)基本計画の策定と今後について
・18歳以上の市民2000人を対象としたアンケート調査や公募市民の参加によるワークショップ、中学生・高校生・子育て世代への聞き取り調査などを実施し、市民ニーズの把握に努めてきました。これら寄せられたさまざまなニーズやご意見等をふまえ、基本計画には新中央図書館で想定するサービス内容、必要なスペースや機能などの整備方針と必要面積、管理運営方針などについてまとめているところです。
また整備候補地については、昨年度におこなった中央図書館整備調査において4か所を選定し、アクセス性や利便性などの観点から比較検討して課題の整理を行っているところです。
まちのシンボルとして自慢できる魅力的な図書館を実現するためには、立地場所は非常に重要な要素となることから、今回の計画の中では整備地の決定については結論を出さずに引き続きの検討事項としていきたいと考えています。
・来年度の具体的な検討の進め方については、整備理念である「まなび・みのり・あそびでまちの未来をひらく図書館」を実現するため、特に子どもに遊びと学びを一体的に提供できるような機能や施設との複合化の可能性などについても調査を進めていきます。先進的な取り組み事例なども研究しながら、複合化にともなう相乗効果なども含め総合的な検討をすすめていきます。
先ほど申し上げた公募市民によるワークショップにおいては、幅広い世代の市民の方と読み聞かせボランティア団体の代表者、市内の中学生高校生の代表者、そして図書館職員も参加し同じテーブルについて新しい図書館のことを一緒に考え、意見を出し合いながら様々なご提案をいただきました。友人などと話しながら利用できるグループ学習室やCD・DVD等を視聴できるスペースなどの、ワークショップの中から生まれたご提案を基本計画に反映させることとしています。
また今後設計事業者を選定するに際し、事業者から様々な企画提案をいただくプロポーザルの方法も有効と考えています。その選定委員には、図書館整備に精通した方や図書館協議会委員などに入っていただくことも検討していきたいと考えています。
さらに設計を進める段階においても市民ワークショップを開催し、レイアウトや必要な整備について意見交換をする機会を設けることも検討しながら新中央図書館の整備をすすめていきたいと考えています。
(3)運営方法について
昨年9月の一般質問でもご答弁申し上げたとおり、市立図書館の運営は他の公立図書館や協力団体との連携が密接であることや職員の専門性が必要であること、社会教育施設として位置づけられている公立図書館の担う公的役割などから、本市においてはこれまでも市の直営でおこなっているところです。今後他市町村の事例等をふまえ十分に検討する必要はありますが、図書館の運営は基本的には直営でおこなうものと考えています。
再質問 宇田
今後のことで、4か所の候補地を1つにはしぼらない、しかも4か所の候補地にさらに新たな可能性も加えていくという中で、それを1か所にしぼっていくときに、市民がどういうふうにかかわっていくのかと、全く市民に示されないまま1か所にしぼられていってしまうということではおかしいと思いまして、しっかりと情報公開して市民の納得のいく説明責任を果たしながら候補地を1つに決定していくことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
答弁 教育次長
今後シンボル性の高い魅力的な図書館を実現していくためにも候補地の選定というのは非常に重要な要素になることから、今後も引き続き検討していきたいと考えています。今年度、公募市民などによるワークショップなども実施しましたけれども、今後幅広くこういったことも含めて引き続き行っていくことで様々なご意見を取り入れていくということを引き続き行っていきたいと考えています。
再質問 宇田
直営で図書館を運営するというメリットを生かして、市民と行政がしっかりと協働できる手法で図書館建設を進めていただきたいと思います。