本市、公設学童クラブについて、来年4月から有料化の検討がされています。
学童クラブの充実への要望は、今までも多くありましたが、有料化しなければできないことでしょうか。
子育て世代の厳しい状況と、市の子育て支援への態度について、問いました。
以下、一般質問の全文を掲載します。
公設学童クラブについて、今年度の主要施策として、「利用時間の延長などによる事業のさらなる充実や、それに伴う利用者負担の在り方について検討する」ということが発表されました。
本市の公設学童クラブは、1年間の保険料のみの負担で、実質的には無料で運営されています。市内20校すべての小学校に設置され、無料で運営されている、これは他市に誇れるものだと考えていましたところ、「利用者負担の在り方について検討する」という方針が示され大変驚いております。
今、子育て家庭を取り巻く状況は、非常に厳しいものになっています。夫婦ともに非正規労働など不安定な雇用の方も少なくありません。正社員でも、いつリストラされるか、倒産するかというような不安を多くの方が抱えています。そんな中、6人に1人の子どもが貧困状態にあるといわれ、1人親家庭においては半数が、貧困状態にあるということが大きな社会問題となっています。「子ども食堂」など、無料・低額で子ども達に温かい食事と居場所を提供しようという試みも全国に広がっています。
国においては「子どもの貧困対策法」がH25年に成立し、自治体もこの法律に基づいた子どもの貧困対策が課せられたわけです。茨城県がH28年に策定した「子どもの貧困対策に関する計画」の中では、「子どもが安心して生活するための支援」「保護者の就労支援」が挙げられているように、今、国県すべての自治体において、困窮世帯に対する様々な施策が進められているところです。したがって学童クラブの有料化によって、子どもが学童をやめざるを得なくなる、その結果保護者が安心して働くことができなくなる、このような状況を絶対に生み出してはなりません。そこで質問します。
(1)今回示された「利用時間の延長などによる事業のさらなる充実や、それに伴う利用者負担の在り方について」の検討の進捗状況、実施時期の予定などについて、伺います。
次に(2)「利用者負担の在り方について検討する」という点について、質問します。
公設学童クラブについて、日本共産党は、利用時間の延長、対象学年の6年生までの拡充、保育室の環境整備、障がいのある子も含めた保育内容の充実、指導員の処遇改善などについて、再三要望してきました。
公設学童クラブの充実への要望はたくさんありますが、それは有料化しなればできないことでしょうか。子どもの育つ環境を「無料だからここまでしかできない」「いくらの自己負担だから、ここまで」というような自己責任を課すことなく、本市で育つ子どもの環境を最善のものにするために市が責任を持つ、そういう立場での施策の充実を求めますが、いかがお考えでしょうか。
〇答弁 教育次長
(1)本年度より学童クラブにおいては、放課後児童支援員の処遇を有償ボランティから嘱託職員として学童クラブの運営の責任体制の確立を図り、児童の安全・安心の居場所を整備してきました。また、学童クラブを利用する児童の入退室や、担当である青少年課との連絡が円滑にとれるよう、ICT機器を整備し学童クラブ支援システムを導入する計画となっています。
学童クラブの利用時間の延長については、親の帰りを心待ちにしている児童とその親との関係にも配慮し適切な開設時間について検討しています。さらに利用対象児童の学年を引き上げることについては、5.6年生は発達過程において自立性が高まり、自己主張も強くなる時期であることから、支援にあたる放課後児童支援員には、この成長への対応力が求められますので、余裕教室の確保ともあわせて現在慎重に検討しています。
(2)利用者負担の在り方について
学童クラブの運営をより充実させるためには、児童のけがなどの事故や障害のある児童への対応、相談体制の整備など責任ある体制をさらに強化していく必要があります。具体的には支援員の資質の向上のための研修の充実と嘱託職員による責任体制の確立、明るく快適な室内環境の整備、遊びに使用する物品や図書類の充実などを図ることにより、児童が学童クラブにおいて快適に過ごすことができるようにしていくことが求められています。
本市の学童クラブは現在無料で運営していますが、開設時間の延長、施設の環境整備、放課後児童支援員の確保など新たにかかる費用が見込まれています。
今後これらに対応し学童クラブ運営のさらなる充実を図るためには、利用する保護者と利用しない保護者の負担の公平性を保つため、いわゆる受益者負担の観点により、利用者から運営費の一部を負担していただくことが必要であると考えています。このような考え方にもとづき、利用者には来年度から利用料を負担していただくことを検討しています。
なお利用料については減免制度を設け、経済的負担が困難な家庭に配慮していきたいと考えています。
〇宇田 再質問
有料化に伴う減免制度の導入は当然だと思いますが、その運用にあたっては、その減免の範囲、それからその減免を必要な方が利用できるかという問題があると思います。
さらに、他の市町村の事例など見ますと、夏休みなど長期の休みの場合の保育料は他の月よりも高く設定したり、おやつを提供するのはいいのですが、実費での負担になったり、学童に通う兄弟がいれば、かかる費用が倍になるので、それに対しても減免をしている市町村もあります。
今回の計画で今後新たな負担がどれだけ保護者に課されることになるのか、それによって学童保育がどれだけ、どのように充実するのか、今後の学童の在り方も明らかにされていません。
少なくとも、現在学童を利用している保護者からの聞き取りや要望を集約し、計画に反映させるべきと考えますが、そのようなお考えはあるでしょうか。
〇答弁 教育次長
保護者等への聞き取りというご提案ですが、現在先ほど答弁した観点について検討を進めているところですので、議員のご提案参考にさせていただきたいと考えています。
〇宇田 再質問
先ほどの統合校の方でも、地元の方や保護者の意見なども聞いて反映させるということでしたので、今回の学童クラブについても、しっかりと保護者の要望を聞いて計画に反映させていただきたいと考えています。
減免制度を導入するということでしたけれども、例えば就学援助についても生活保護とそれから準要保護世帯について就学援助が認定範囲にあるということですが、実際には収入がその範囲にあっても申請していない保護者はたくさんいるわけです。そのあたりの問題を学童クラブにおいて減免制度を導入するとした場合に、必要な方にしっかりと減免制度を利用してもらうという点についてのお考えはあるでしょうか。
〇答弁 教育次長
減免制度を導入させていただくということで答弁しました。制度ができた時には、その制度が適切に運営できるように各方面と協力して導入していきたいと思っています。
〇宇田
保護者のご意見を聞くという点でも今後の学童の在り方をどういうふうに考えているのかという点でも、まだまだ分からない点が多いかと思います。その意味で4月から実施するというのは拙速であり、今回の学童クラブの有料化は中止すべきと考えます。