大項目4 1県1水道の広域連携には参加しない決断を 未定稿
県が進める水道事業の広域連携について、統合を前提とした法定協議会への参加の有無の回答期限が迫っています。
この広域連携とは、現在は各市町村で運営している水道事業を30年後を目安に1つの事業体に経営統合し、水道料金も統一するというものです。この背景には、人口減少による水需要の減少による水道料金収入の減少、一方で施設や管路の老朽化による更新費用の増大などにより水道事業経営が厳しくなるとして、その解決策として、広域連携すれば単独で運営するより経営は安定するというものです。おおもとにあるのは、2018年の水道法改正で、そのねらいは水道事業の官民連携、民営化を推進するために、経営規模を大きくして民間が参入しやすくしようとするものです。
しかし、水は、住民の命と直結するものであり、日本国憲法の生存権にかかわり、経営の安定、低廉な料金はもちろんですが、なにより安全安心な水の供給が保障されなければなりません。そこで、今回、県の進める水道事業の統合に対する本市の認識、検討状況について、以下質問します。
(1)給水原価の推移の検討状況について
県の示したシミュレーションでは、単独経営より経営統合したほうが給水原価は安くなるとしていますが、その根拠は不明であり、さらに人口最大規模の水戸市が早々に広域連携には参加しないと表明したことで、計算の前提が崩れたと言えます。
そこで、本市は、今後の給水原価の推移についてどのように検討しているのか、伺います。
(2)単独経営を続けるべき
災害が多発する昨今、本市が持つ分散した3つの給水源、那珂川の表流水、地下水、県水を今後も維持することが重要であると考えます。また、市に技術者を含め水道職員がいることが、災害時の迅速的確な対応を可能とするものと考えます。総合的に判断すれば、本市は単独経営を続けるべきと考えますが、本市の認識を伺います。
答弁 堀川水道管理者
昨今の水道事業を取り巻く環境としては、本格的な人口減少社会の到来や施設の老朽化により深刻な財政運営、技術職員の人材不足などが今後の大きな課題とされています。国では、これらの課題を解決する手段の1つとして、経営基盤強化を図った水道法の改正を行い、水道事業の広域化を推進しています。これを受け茨城県では、2050年度、令和32年度になりますが、それまでに県内水道の事業統合を目標に掲げ、令和7年2月には広域化にかかわる基本協定の締結を進める考えでいます。これまで県からは、施設の統廃合や財政シミュレーションなどが示され、市町村の水道事業者と現在協議調整が行われているところです。
(1)給水原価の推移の検討状況について
県から示された財政シミュレーションでは、単独経営を続けた場合より経営統合した場合のほうが給水原価は安くなるとされています。この財政シミュレーションをもとに、市の給水原価の根拠等について、県に問い合わせをしているところですが、現時点で明確な回答は示されていません。また、この財政シミュレーションでは、広域化に参加する前の給水原価も示されています。その算定では、令和4年度、令和5年度の本市水道事業の決算数値よりもシミュレーションで算定された給水原価のほうが低く示され、実態と乖離しています。
このため市としましては、引き続き県の給水原価を含めた財政シミュレーションの内容についての検証検討を行うとともに、単独経営を進めた場合と広域化に参加した場合、市民の負担がどうなるかを綿密に比較検討していきます。
(2)単独経営を続けるべき
本市としましては、これまで災害時のリスク分散のための3水源を維持するとともに、上坪浄水場や配水管などの水道施設の強靭化を計画的に取り組み、水道水の安定供給を進めてきました。さらに水道料金については、県内で9番目に安い水準を維持しており、技術職員の確保も進めるなど健全な経営を図っているところです。引き続き単独経営を続けるのか、あるいは広域化に参加するのかの選択については、将来の水道水の安定供給の確保や水道料金の負担増などの観点から市民目線に立って慎重に判断していきます。
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