大項目4 真に子育てしやすい市をめざして
本市において、この4月から、公立保育所が1園閉園し、民間の認可保育園が2園開園、さらに主に3歳未満児を対象にした 企業主導型保育事業所が2か所開園しています。そのようななか本市はこの4月待機児童ゼロと伺っていますが、すでに0歳、1歳児クラスについては5月、6月と入所希望が受入数を上回っています。
政府においては来年10月から幼児教育の無償化を段階的に進めるとしていることもあり、今後本市の保育需要がどのように推移していくのか見極め、必要とされる保育ニーズに市としてしっかりと応えていく施策が求められます。
そこで次の点について、質問します。
(1)必要とされる保育需要に応えられる施策を
本市の『子ども・子育て支援事業計画』の32年度からの2期目の計画策定に向け、今後の保育需要をどのように把握するのか、いかに正確に把握し、計画に反映させるのかが問われています。
厚生労働省は、H30年3月20日に行われた全国児童福祉・主管課長会議で『保育を必要としてるが申し込みに至らないようなケースも含め、潜在的な保育ニーズを的確に把握し、それを整備計画に反映していくことが重要』と述べています。
そこで1点目 厚労省のいう『保育を必要としてるが申し込みに至らないようなケース』とは、どのようなケースと考えるか、伺います。
2点目 そのようなケースをどのような方法で的確に把握できるとお考えか、伺います。
3点目 低年齢児の保育ニーズが高まるなか、保育需要に応える施設整備を検討するにあたっては、需要の多い勝田地区にある公立の東石川保育所について、移転・建て替えも視野に入れ、0歳児を含めた受け入れ態勢の充実に努めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
(2)保育士の処遇改善のために
政府においては、増え続ける待機児童の解消のためには、保育士確保のために低すぎる保育士の処遇の改善が必要だとして、7年以上の経験を持つ保育士に月4万円加算するという処遇改善を昨年度導入しました。しかし、この制度には問題も多く、県の調べでは、「職員間の給与面のバランスが崩れることや、現場の保育士不足により加算に必要な研修受講が困難であること等から、6割強の申請にとどまっている」と昨年度の利用の実態について述べています。
そこで、1点目 昨年度本市においていくつの園がこの制度を利用したのか、今年度の利用の状況はどうか伺います。
2点目 政府の示す処遇改善策に問題が多い中、本市の保育士の処遇改善のために、本市としてどのようなことをお考えか伺います。
答弁 福祉部長
(1)本市におきましては昨今の保育需要の増大に対応し佐野保育所の代替となる保育所を含め本年4月に新たに2つの保育所を開設したことなどから、本年4月の入所が決定した児童は昨年4月と比較して253人多い643人に大幅に増加しており、低年齢児の保育需要の動向を引き続き注視する必要はあるものの、年度当初の受け入れ態勢については一定の確保がはかられたものと考えています。このような中、昨年12月21日付厚生労働省子ども家庭局保育課長名の待機児童解消に向けた取り組みに係る通知におきまして、保育コンシェルジュを配置し保育サービスに係る総合的な相談案内をおこなうとともに、保育を必要としてるが申込に至らないケースも含めた潜在的な保育ニーズを的確に把握するよう市町村に求められています。
本市での保育所入所に係る受付窓口におきましては、保育を希望する方からの入所に関する相談を受け、保護者の希望や就労状況などを確認し、個別のニーズい合った施設や一時預かりなどの保育サービスなどの情報を提供するとともに、保育所に入所できなかった方についても翌月の入所を案内するなどきめ細やかな案内をおこなっているところですが、今後とも保育ニーズを的確に把握しながら受け入れ態勢の確保に努めてまいります。
また今後の受け入れ態勢の整備の基礎となる2020年度からの5か年を計画期間とする新たな『子ども子育て支援事業計画』の作成にあたりましては、本年7月に国により示される予定のガイドラインをふまえ、保育所を中心として幼稚園や学童クラブなど子ども子育て支援全般の利用意向について、保護者へのアンケート調査を来年度に市が実施することとしています。
しかし現計画策定時のアンケート調査においても、本市を含めて多くの市町村で実際の保育需要と大きく乖離するなど、アンケート調査だけですべてのニーズを明らかにすることは困難であると考えています。このことから本市としましては、女性就業率の推移や核家族化の進行など保育ニーズに影響を与える様々な要因を勘案しながら本市の実態に合った取り組みをすすめていきたいと考えています。
3点目 東石川保育所の移転建て替えも視野に入れた0歳児も含めたの受け入れ態勢の充実について
本市において本年4月の入所が決定した0歳児については、昨年4月と比較して52人多い148人と大きく増加しています。一方特定の保育所への入所を希望するなどの理由で希望する保育所に入所できなかった児童は17人いましたが、受け入れ可能な空きは30人分残っており、0歳児の受け入れ態勢は一定の確保がはかられているものと認識しています。
これは2か所の保育所新設をはじめ保育士確保についても、各民間保育所の取り組み強化や初めての取り組みとなる市主催の保育士向けの就職説明会を実施したこと等により保育士を確保できたことによると考えています。
またご提案の東石川保育所については、施設も小規模であることから調乳や沐浴のための設備を必要とする0歳児のための保育スペースを新たに確保することは困難な状況にあります。現在本市においても低年齢児の保育需要が急速に高まるなど、保育を取り巻く環境は大きく変化しています。
また来年度には保育教育の無償化が開始されるなど、保育需要のさらなる拡大が予測される要因がある一方、出生数は今後も減少が予測されていることから、これらを慎重に見極めながら0歳児を含めた本市の保育供給体制を構築していく中で東石川保育所のあり方について検討していきたいと考えています。
(2)1点目 国は昨年度保育所に支払う施設型給付費の算定において、経験年数おおむね7年以上の保育士を対象とした副主任保育士など中堅の役職を創設し、その職務職責に応じた処遇改善で最大月額4万円の加算がおこなえることができるよう制度の改正をおこなったところです。
しかし保育士がその役職につくにあたっては、県が実施する専門性を高めるための約2週間のキャリアアップ研修を修了することが要件とされていますが、国は当面の取り扱いとして平成30年度以降の受講状況などをふまえ改めて研修のあり方について決定するまでの間はその要件を課さないこととしています。
このように国の制度設計の見通しが立たないなか、保育士不足により研修に保育士を派遣することに懸念を示している園が多くあります。また加算額の給与への配分において園によって職員間の給与バランスに大きな影響を与えてしまうなど、先行きが不透明な制度となっていることから、昨年度における県内の民間認可保育所の利用は62%にとどまっています。一方本市においては少しでも多くの保育士の処遇が改善できるよう、民間保育所への施設長への制度の詳細について説明会を開催するとともに、煩雑であった事務手続きにおいても個別に支援をおこなったことなどから、民間保育所17園中13園が制度を利用し、県全体を大きく上回る76%となったところです。また、今年度の利用状況については、今後件より加算認定の申請スケジュールが示されることとなっていますので現時点においては未確定となっています。
2点目 本市では市独自の取り組みとして民間保育所の運営にあたり入所児童一人当たり月額1500円、保育士一人当たり年額1万円を補助し、保育士の処遇改善を含む運営全般を支援するなど、これまで取り組みをすすめていきましたが、保育士の処遇改善については本来国の責任のもと全国一律におこなわれるべきものであり、制度の設計においても各園の裁量に任せられる制度となるよう責任を持って対応すべきものと考えています。
市としましては今後も国の動向を注視しながら、市内すべての民間保育所で保育士の処遇改善と人材確保がはかられるよう加算の利用について各代表者などに引き続き働きかけをおこなうとともに円滑に利用できるよう支援していきたいと考えています。
再質問 宇田
2期目の『子ども子育て支援事業計画』の策定に向けて、来年度アンケート調査をおこなうというご答弁でしたけれども、そのアンケートのやり方も本当に本市の実態に合ったような、需要把握ができるようなやり方にするというご答弁だったかと思いますが、東京の豊島区では母子手帳申請した時点で保育需要のアンケートを独自におこなっているところもあります。他県のいろいろな例も参考にしながら、本当に需要に応えられるようなアンケートのやり方をぜひ工夫して来年度はやっていただきたいと思います。
それからそのような潜在的な保育需要を把握する時に、単に量的な受け皿の拡大にとどまらず、障がいのある子や食物アレルギーのある子・国は医療的にケアの必要な子の受け入れもできるように、と言っていますが、本当にどのような状況の子も分け隔てなく受け入れることができる保育環境、保育の受け皿の用意が必要だと思います。
そのことについて、どうお考えか伺います。
答弁 福祉部長
本市においても特別な配慮を必要とする児童の受け入れは年々増加が続いています。市独自の支援策としまして、アレルギー児については施設型給付費の加算、また障害児に対しては補助金を支給するなど民間保育所での受け入れを支援しています。また公立の保育所においては、必要となる人員を加配しながら受け入れ態勢を構築してきました。さらに近年増加する発達に課題のある児童の受け入れについては本年度より公立保育所の保育士を対象として、発達に課題のある子どもの対応を学ぶ為のティーチャートレーニングを実施しまして、スキルの向上を図るなど技術的な支援の拠点となる公立保育所を中心として特別な配慮が必要な児童が一人でも多く受け入れができることができるよう取り組みを進めていきたいと考えています。
意見 宇田
障害のある子に対する独自の施策は本市はとても手厚いと思っています。それから食物アレルギーのある子に対する保育園への加算も他市には見られない本市独自の措置だと思っていますが、またこれも現場の声を聴きながらますます充実させていっていただきたいということを要望したいと思います。
誰もが等しく質の高い保育を受けられる、そのために必要な保育所整備、保育士の確保、研修の充実、そういう保育行政を期待するとともに、真に子育てしやすい市になることを期待します。