本日、議会が終了しました。
本議会では、7件の議案について、反対しました。以下、全文を掲載します。
反対したのは私1人で、すべての議案は賛成多数で可決しました。
議案第63号 令和5年度ひたちなか市一般会計決算認定について
令和5年度、国の税収は、円安により輸出大企業の業績が伸びたこと、物価高により消費税収が伸びたことで、過去最高となりました。その使い道として、岸田政権は、戦争の危機をあおり防衛費ばかりをけた違いに増額する一方、暮らし・福祉の予算は受益者負担、自己責任、支えあいの名のもと抑制圧縮削減し続けています。長引く物価高騰に賃上げも年金も追いつかず、格差と貧困はより深刻になっています。
そのような中、地方自治体には、住民の福祉の増進を図る役割がますます求められましたが、その施策は十分であったとは言えません。本市令和5年度決算について、以下、歳入歳出において評価できる面とともに不十分な点、問題となる点を指摘し討論とします。
歳入においては、当初予算で繰り入れた財政調整基金、市債管理基金約42億7,500円のうち、実際の繰り入れ額は約8億5,000万円となるとともに、実質収支、いわゆる残したお金は、約20億5千万円となりました。物価高騰に苦しむ市民に対する施策は、国の交付金約16億2千万で執行され、一般財源は事業に対して不足する約2,600万円のみでした。
本市は毎年度当初予算で不足する財源を補うために30億から40億円もの繰り入れをして予算を組み、決算においてはその全額、あるいはほとんどを減額補正しています。実際当初予算の繰入金をすべて執行していたら数年で繰入金は底をつきますが、一方で県内6番目の財政力を持つ本市として、その豊かさを市民生活のレベルで実感できる予算の使い方になっているかということが問われなければなりません。
切実な住民要求だった小児マル福の所得制限がようやく撤廃されましたが、同時に本市独自に取り組んできた自己負担金に対する助成が廃止されました。本来であれば、自己負担金助成の年齢の引き上げをし、窓口払いのない完全無料化をめざすべきでした。
物価高騰の中で、学校等の給食費を値上げしないために国の交付金が当てられましたが、さらなる保護者負担軽減のために、独自の予算は使われませんでした。
市内広範囲に居住域が広がる本市の、誰もが利用しやすい公共交通の実現が、高齢化が進む中でますます切望される中、その検討が進まない一方で、海浜鉄道湊線の延伸事業に多額の税金を投入しようとすることについて、税金の使い方が適切なのか問われなければなりません。
税や市営住宅使用料の滞納の回収業務を、茨城租税債権管理機構や弁護士事務所に委託していますが、滞納が高額になる前に、相談に応じ、関連部署とも連携して生活再建を図ることが必要です。困った時こそ頼れる温かい市役所としての機能の強化が求められます。
常陸那珂港区北ふ頭の石炭火力発電所の石炭灰を埋め立てて拡張する中央ふ頭の建設について、無批判に負担金を出し続けることは、カーボンニュートラルに逆行します。
議案第64号 令和5年度ひたちなか市国民健康保険事業特別会計決算認定について
県への納付金が増額する中、本市は一般会計から基金として3億円を繰り入れ対応したこと、本市独自の財源を使って令和4年度の税率改正による激変緩和策を引き続き行ったことは評価するところです。しかし、国保には、他の被用者保険にはない均等割があること、他の被用者保険にはある事業主負担がないことで、所得に対する負担率が大きく、高くて払いきれないと悲鳴が上がっています。
来年度から、さらなる税率の引き上げが検討されていますが、被保険者の生活を守るために、国県の補助を抜本的に増やすとともに、市によるさらなる支援で国保税は引き下げが必要です。
議案第65号 令和5年度ひたちなか市後期高齢者医療事業特別会計決算認定について
物価高騰のなか、年金だけでは暮らせず働かざるを得ない高齢者が増えています。保険料、窓口負担ともに負担が増え続け、深刻な受診抑制が懸念されます。
高齢になったら、お金の心配なく、安心して医療にかかれる制度にしなければなりません。国に対して抜本的な財政支援を求めるとともに、市においては高齢者の健康維持のための施策の充実を求めます。
議案第66号 令和5年度ひたちなか市介護保険事業特別会計決算認定について
令和5年度は、第8期介護保険事業計画の最終年度となりました。3年間の計画期間の中で、施設の整備が進み、サービスの提供体制が一定充実しました。本市独自の介護予防事業のメニューも増え、取り組みが進みました。
一方、高齢者の増加にともない介護サービスの利用が増えれば、それが保険料に跳ね返る仕組みのため、令和6年度には介護保険料が再び引き上げられました。
介護が必要になったときに安心して必要な介護が受けられる制度とするためには、国庫補助の抜本的な増額が必要です。
議案第83号 ひたちなか市手数料条例の一部を改正する条例制定について
本議案は、市民の利便性を向上させるためとして、マイナンバーカードを使い、証明書の発行に必要な申請書の記入の手間を減らせる新たな端末を導入し、その端末を利用した場合の手数料を定めようとするものです。
デジタル技術を市民の利便性向上、市職員の作業の効率化に役立てようとすることは必要だと考えますが、それが、取得が任意のマイナンバーカードの利用のみを前提としていることは容認できません。
マイナンバーは、12桁の番号で国民のあらゆる情報を管理しようとするものであり、監視社会の懸念、カードの悪用、情報漏洩の心配はぬぐえないことから、その利用拡大につながる本議案には反対します。
議案第84号 ひたちなか市国民健康保険条例の一部を改正する条例制定について
本議案は、保険料を滞納した被保険者が、保険証の返還の求めに応じなかった場合に課される過料について削除しようとするものです。
過料の削除は問題ありませんが、本来の保険証の発行を廃止することを前提にしていること、滞納者に対する医療費の10割負担という制裁ともいえる措置は引き続き行われることは容認できません。
市においては、取得が義務ではないマイナンバーカードを強要しないこと。マイナ保険証利用者ではない被保険者が不利益を被らないようにすること。国保税滞納者に対しては、今後とも生活実態に寄り添った丁寧な対応を行い、必要な医療にアクセスできないなどということがないようにすること、そもそも高過ぎる国保税の引き下げを求めます。
議員提出議案第93号 厚生年金への地方議員の加入を求める意見書提出について
議員は、選挙により市民の負託を受け、4年間の任期に限り身分を保障されている職であり、会社と雇用契約を結ぶ一般の会社員とは異なります。それゆえ、自治体が事業主として議員の厚生年金の2分の1を公費で負担することには違和感があり、そのような税金の使い方に市民の理解が得られているとは思えません。
人材確保の必要性や、低すぎる国民年金で老後が不安なのは議員だけではありません。そうであるなら、議員としてまずやるべきは、国民年金制度の充実に力を尽くすことだと考えます。以上指摘し、反対討論とします。
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