◆第87回センバツ高等学校野球大会▽準々決勝 大阪桐蔭5―3常総学院(29日・甲子園)
夏春連覇を目指す大阪桐蔭が常総学院(茨城)を下し、3年ぶりの4強進出を決めた。今大会不振だった福田光輝主将(3年)が、5回に反撃のノロシとなる右中間ソロを放つなど勝利に貢献した。今秋ドラフト1位候補の県岐阜商・高橋純平(3年)は、浦和学院(埼玉)戦で11安打5失点し敗退。敦賀気比(福井)は静岡にサヨナラ勝ちし、大阪桐蔭との82年ぶりとなる2季連続同一カードの準決勝へ。東海大四は北海道勢で22年ぶりに4強入り。30日は休養日で、準決勝は31日に行われる。
悩める主将の一発で、大阪桐蔭が息を吹き返した。福田は2点を追う5回1死、内角直球を引っ張って右中間スタンドへ放り込み、一塁ベースを回ると右腕を突き上げた。「気持ちで引いていたらアカン。自分の一打でみんなを乗せてやろう」。打撃不振のため、2回戦(対八戸学院光星)では3番から7番に降格したが無安打。その悔しさをぶつけた一打が7回の逆転劇を呼び込んだ。
前日(28日)の宿舎でのミーティング。西谷浩一監督(45)からナインにゲキが飛んだ。「獲物を狙うがごとく気迫を出していこう」。指揮官がその日、オリックス戦で2安打1打点したOBの西武・森友哉(19)をテレビで見てのものだ。1年の夏、森主将と甲子園に出場した福田はいきり立ち、遊撃守備でも活躍した。5回2死一塁から右越え二塁打を浴びたが、好中継で走者を本塁でアウトに。1点を追う7回2死からは中前安打で出塁し、吉沢一翔の右中間二塁打で全力疾走して同点のホームを踏んだ。
森だけでなく、昨夏の甲子園優勝に導いた中村誠前主将の姿も間近で見てきた。「とても及びません」と、声で勝負することを決意。橋本翔太郎コーチ(28)が「声掛けなら森、中村以上」と絶賛する自慢の武器で、初回に先頭打者アーチを浴びた田中誠也や、2失策で気落ちする中山遥斗三塁手らナインを鼓舞し続けた。
意地を見せた主将が、西谷監督に箕島(和歌山)の故・尾藤公氏を抜いて単独9位となる甲子園通算36勝目をプレゼントした。だが、英才教育を施してきた指揮官は「数字に見えないところでよくやっている。でも1本だけでは、まだ何も返してもらってない」と手厳しい。福田もそれは百も承知。「(監督から)言われなくてもやったろうという気持ち」。思いきり笑うのは、夏春連覇を達成したときでいい。(花住 宏一)
◆福田 光輝(ふくだ・こうき)1997年7月13日、大阪市生まれ。17歳。小学3年から「大阪東淀川ボーイズ」で野球を始める。中学時代も「大阪東淀川ボーイズ」に所属し、主将を務めた3年時に「1番・遊撃手」で全国大会優勝。大阪桐蔭では1年夏からベンチ入り。175センチ、70キロ。右投左打。※引用しました!
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