野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

ヒメタイコウチ ―湿地の貴重な昆虫―

2023-06-27 | 兵庫の自然

ヒメタイコウチ ―湿地の貴重な昆虫―

 

「生きている武庫川(改訂版)」に掲載したヒメタイコウチ。タイコウチとの違いがわかるように比較して掲載した。

 武庫川流域にある湿地などで見られるヒメタイコウチ。生息される地域が限定される貴重な生き物。

初めて見つかったのが1978年8月、兵庫県西宮市の甲山湿原(かぶとやましつげん)で市西宮高校生物部の観察会でのこと。

兵庫県ではその後、三田市の北摂ニュータウン造成のための調査(1973年)で発見。その後、宝塚市、明石市や加古川市などでも見つかっているが、日本では、三重県、岐阜県、愛知県の東海地方と静岡県にしかいない。愛知県西尾市では天然記念物になっている。1995年には四国香川県でも見つかっている。

 

 

ヒメタイコウチ

湿原のような湧水のある湿地で見られる。

前肢(まえあし)が変形して捕獲肢となっており、小動物をつかまえて食べる。

ヒメタイコウチの一番大きな特徴は、後麹が退化して飛ぶことができないことがあげられる。

 

ヒメタイコウチは海外では朝鮮、中国北部でみつかっているので、ウルム氷期に大陸と陸続きのときに日本にやってきた(日浦;1978)といわれているが、堀・佐藤 (1984)は,中新世後期~更新世に東海地方から近畿地方以西にまで、拡がった現在の瀬戸内海が東海まで広がった時期が何度かあり、海水ではなく淡水域の時期に、ヒメタイコウチが日本列島内で分布拡大したのではないかと考えている。

それは、兵庫県の分布地は、河川などの水系によって開析が進んだ、鮮新世から更新世の堆積物からなる正陵地および台地と沖積層との境界近く(三宅;1985b)で見つかっている。


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