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野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

カジカガエル

2023-08-11 | フィールドガイド--その他の生き物--

カジカガエル

 

渓流で、フィー、フィーという鹿のような美しい鳴き声を聞くことがあります。

知らない人はカエルの鳴き声だと知らない人も多いです。

清流で見られるカエルです。

古来より日本人に愛され、鹿に似た声で鳴くことから河の鹿、カジカガエル(河鹿蛙)と名付けられました。

兵庫県内では、ほぼ全域でみることが出来ます。

大きさは、4~8cm。メスはオスの1.5~2倍くらい大きいです。

アオガエルの仲間ですが、体の色は背中がこげ茶色でお腹はまっしろ。

流れの速さに負けないように、指先にある大きな吸盤で石にしっかりと貼り付くことができます。

 

鳴くのはオスだけです。

オスの声に誘われてメスが現れ、オスはすばやくメスの上に乗っかります。

一緒に川底の石の下にもぐり込んで、卵を産むのです。

 

たまごを産むときやオタマジャクシのころは、流れのある川に、それ以外はまわりの森で暮らしています。

繁殖は、おもに5~8月にかけて渓流沿いで行われます。そのころにオスのきれいな鳴き声を聞くことができます。

 

メモ

万葉集に出てくる「かはづ」、「古今和歌集」の「かはづ」。この「かはづ」は、「カジカガエル」。

川の清流にすみ、初夏から秋にかけ、多くは夕方から夜中・朝にかけて、澄んだ美しい声で鳴くことをうたっていることから古くから注目されたカエルなのです。

カエルのことをか松尾芭蕉は「古池やかわず飛び込む水の音」と詠みましたが、このカエルは「カジカガエル」ではありません。古池にはカジカガエルいないので。

いつの間にか、カジカガエルをしめす「かはづ」とその他の「カエル」を区別しなくなったようです。


トンボの王様オニヤンマ

2023-08-10 | フィールドガイド--水生生物--

トンボの王様 オニヤンマ

日本最大のトンボ、体長9~11cm。 眼は緑色(複眼)、黄色と黒の模様が等間隔にはいるトンボです。

北海道から沖縄まで広く分布しています。

きれいな流れる川で自分の縄張りを往復しながら飛翔しています。

獲物を捕まえる時は、時速70kmのスピードを出します。

他に飛び回るのはなわばりを守ることとメスを見つけるためです。

オスは羽ばたくものはすべてメスとみなし、追いかけまわすそうです。

往復時々、川の近くの草地や樹林につかまって休息しています。

 

オニヤンマのヤゴは砂泥にもぐって生活しています。

体の表面はザラザラで毛深く、頭部は角ばっています。

幼虫期間は3~4年といわれます。


アライグマ

2023-08-09 | フィールドガイド--哺乳類--

アライグマ(アライグマ科)

 

夕方里山からの帰り、道を横切るアライグマを見つけた。

姿を見失ったが、山の斜面を登った様子がないので、車を降りて道路の側溝を除いた。

えさを求めてアライグマが側溝を移動しているのが見えた。

このアライグマだろうか                                                                               

畑のトウモロコシを食べ、スイカやカボチャの中身だけうまく食べてしまうのは。

兵庫県でも、農作物の被害は毎年すごい量になっている。

アライグマを観察していると獲物を水中で転がしている姿がよく見られる。おなじみの姿だが、アライグマは食べる前に食べ物を洗わない。

生物学者らは最近、この行動を洗うというよりも感じるためにしているという。

研究者らは、アライグマの前足は濡れているとさらに敏感になるという。

足を濡らすと、手に持っている物体が食べ物であるかそうでないかをよりよく識別することがでるのだという。濡れた手は口よりものを知るということだ。

 

アライグマを英語では「raccoon」というが、イギリス植民地時代にバージニア地域に住んでいた先住民部族の言葉が由来だ。先住民もアライグマを「手でこすったり、こすったり、ひっかいたりするもの」としてアライグマを表していた。

 

アライグマをリンネはクマのなかまとして分類した。

そのため、ヨーロッパにアライグマが入るとクマのような外観と、食べる前に食べ物を洗うように見える習慣から「洗濯熊」を意味する言葉としてさすようになった。

いずれの国も、ドイツ語ではWaschbär、イタリア語ではorsetto lavatore と

でも、フランス人はラトン・ラヴール(「洗濯ネズミ」)と名付けました。これは、カナダフランス語でも使用されています。

当然、日本語ではアライグマとなりました。

 

今アメリカではアライグマは 1940 年代から個体数が増加しはじめ、それに伴って分布も増加しました。現在では、以前は稀であった、山地や砂漠でも見られるようになっています。

 

増えたのはアライグマは非常に知的で、複雑な問題を解決する能力があるからです。

知能のレベルは、アライグマは霊長類にやや劣る程度といわれています。また、アライグマは並外れた記憶力を持っており、最大3年間は忘れないといいます。(寿命が5年といわれているので、一生おぼえているということになります。)

また、アライグマは高い好奇心を持つことを知られており、これらがアライグマが広く分布している理由の一部であると考えられています。

 

 

アライグマは現在ヨーロッパ大陸全域、特にドイツとフランスで見られるようになりました。

日本には1970年代後半からやってきます。人気テレビ番組に触発されたからです。

家族は若いアライグマをペットとして飼い始めましたが、成長して扱いにくくなったアライグマを野生に戻すことがよくありました。アライグマは現在、日本において侵略的な脅威とみなされています。

アライグマは雑食性なので、肉も野菜も食べます。 カエルやバッタなどの昆虫、木の実、ネズミ、鳥の卵を食べます。 夜行性で夜に餌を探します。

都市部では公園や近所のゴミ箱から巧みに食べ物を盗むこともあります。

それで、アライグマが食べ物を求めて屋根裏部屋やガレージに入り込み、家財を傷つけることがあります。

 

 

アライグマのメスは通常、年に1回の出産を行い、1回の出産で3~7頭の子供を産みます。生まれた年の子どもは最初の冬は母親と一緒に過ごし、春になって独立します。

 

アライグマの顔をみると目の周りは黒い毛があります。目の周りの黒い毛は、それがまぶしさを軽減し、夜行性動物の夜間視力を高めるのに役立つのではないかという仮説があります。

胴体は灰褐色の毛でおおわれ、尻尾には5~8個の明暗の輪が交互に並んでいます。

 

 

アライグマは前脚よりも後脚が長いため、歩いたり走ったりするときに猫背に見えることがよくあります。

アライグマの前足の 5 本の指は非常に器用で、ドアノブ、瓶、掛け金などのさまざまな物体をつかんだり操作したりすることができます。

アライグマの最も優れた感覚は触覚です。前足は非常に敏感で、水中ではその感度が高まります。

 

以下の研究があります。

アライグマの鍵を開ける能力に関する一連の実験をまとめた1908年の研究では、アライグマが簡単な留め具を開ける技術を1年以上維持できたことが判明した。

アライグマの記憶力に関する他のいくつかの研究では、アライグマは少なくとも 3 年間は課題の解決策を思い出すことができることが示されています。

肉食動物の脳のニューロンの数を測定した2017年の研究では、アライグマの脳は比較的小さいが、霊長類で予想されるニューロンとほぼ同じ数のニューロンを持っていることが判明した。

 

現在日本ではアライグマが防除の対象になっています。

兵庫県アライグマ防除指針(令和3年2月より)

アライグマは北米原産で、本来日本には生息していませんでしたが、1970 年代から愛玩動物として大量に輸入され飼育され始めました。しかし、飼いきれなくなり途中で捨てられたり、逃げ出したりして、野生化し繁殖を続けるようになりました。こうして野生化したアライグマは、深刻な農業被害や生態系被害をもたらす動物として外来生物法に基づく特定外来生物に指定されました。

 

 

アライグマ問題の発生

 兵庫県では、平成 10 年頃から神戸市を中心に生息が確認されていましたが、その後、阪神、北播磨、中播磨、丹波地域などに生息域が急速に広がり生息頭数も増加していると予想されます。

 


和漢方の孫太郎虫ーヘビトンボー

2023-08-08 | フィールドガイド--水生生物--

ヘビトンボ(ヘビトンボ科)

 

ヘビトンボは、成虫は大きな羽をもちトンボのようで、大きなあごでへびのようにかむからヘビトンボ。

 

ヘビトンボは完全変態をする昆虫ではもっとも原始的なグループに属す。

世界におよそ300 種が記録されており、日本には 20種が生息している。

 

よく似た種にクロスジヘビトンボがいる。これらは腹節側面の付属器に細毛を持たず、第1~7腹節下面にも総状鰓を持たないため容易に区別できる。

 

 

ヘビトンボの幼虫は、川や渓流の石の下などで見つかる。

幼虫は肉食で、ユスリカなど水辺に住む小さな昆虫類や小動物を食べる。

4年ほどかけてゆっくり育ち、6㎝ほどの大きさになり成虫となる。

陸地に上がり地面に穴を作りその中で蛹になり、成虫に生まれ変わる。

 

成虫は初夏に多く見られ、灯火にも良く飛来する。夜を待つ間日中は水辺の石の下や木の上で過ごす。

とくに活発に動くのは日没後から数時間。

成虫の寿命は数日~10日。

雑木林などでヘビトンボの成虫を見かけるのは、水分を補給するために樹液を摂るからと聞く。

 

 

オスはメスを見つけると、精子入りの大きなゼリー状の物質をメスの腹端に付着させる。

そして,メスは腹部を曲げて精子入りのゼリーを食べている間に精子がメスの体内に入って行く仕組みになっている。

卵は水際の石や植物上に数千個産みつける。

 

きれいな水にしか住まないので、水質を示す「指標生物」。

 

かつては、子どもの疳(かん)を鎮める効能のある民間薬。

とくに有名なのは宮城県産の奥州斎川孫太郎虫。

日本で作られた民間薬で「和漢方」と呼ばれるなかまに分類される。

「孫太郎」の名前の由来は、仇討ちをする孫の名前が孫太郎、病弱だったのがこの虫を食べて元気になり無事仇討ができたという伝説による。

埼玉県のある地方ではではかむところからか「かわむかで」という呼び方をしている。

昆虫食の先進県長野県では、ヘビトンボやトビケラ、カワゲラをふくめて「ざざ虫」と呼んでいる。

 


ナチュラリストクラブ7月28日(金) 但馬高原植物園

2023-08-07 | 野生生物を調査研究する会歴史

ナチュラリストクラブ7月28日(金) 但馬高原植物園

 

2006年の活動の記録です

2006年 7月27日(木)・28日(金)  『夏の天文教室 2』として

神鍋高原での星空観察と28日は但馬高原植物園での観察を行いました

 

先日(1回目は宝塚市の公民館で夏の天文教室1座学を行いました)天文教室1に引き続き実際に望遠鏡で天体の観測をおこないました。場所は神鍋高原のプチホテル「アルビレオ」。アルビレオは白鳥座の美しい二重星の名前です。「アルビレオ」は神鍋高原内の天文台設備を完備した宿泊施設です。

天体観測をおこなった次の日、但馬高原植物園にいきました。

「ここは和池(わち)の大カツラ(推定樹齢千年以上)の保護をテーマに1996年に開園されました。標高700メートルの瀞川平(とろかわだいら)と呼ばれる高原にあり広さ17ha、そのうち10haが自然林です。平地植物の上限、高原植物の下限、南方植物の北限、北方植物の南限に位置し」南北と高低のさまざまな植物が入り混じっています。また一日5000tの湧水があり、湿度が高く植物の生育には最適の環境を備えています。

 

園内はきれいに手入れされた部分と自然をそのまま残した部分があります。

和池の大カツラ。幹周りは16メートル。 分かれた根の間を通って湧水は園内に流れていきます。この水の流れにバイカモが生息していますが、今年は特に花の付が悪く、今が最盛期と言うのに一つ二つしか観察できませんでした。  

湧水の一部は筧を通して流れ出るようになっています。そばにコップが置いてあって。冷たくておいしい水を飲むことができます。

また園内は昆虫が多く、たくさんの蝶やトンボが飛んでいました。」

近年の猛暑で昨日はさすがに昆虫も夏休み

涼しくなるとまた見られるようになります。


夏のたじま高原植物園

2023-08-06 | 生きている加古川

たじま高原植物園

兵庫県の但馬高原の瀞川平(とろかわたいら)の湧水のもとにあるカツラの樹高約38m、幹まわり約16mの巨木。

樹齢1000年以上、県指定天然記念物になっている。

この植物園の顔でもある

 

1日5000トンといわれる豊富な湧水からは湿地が形成されており、ザセンソウやミズバショウをはじめ貴重な高原植物がみられる。

湧水は園内をながれ、10℃の水の流れの中にバイカモがさいていた。

 

植物園のなかは落ち着いた雰囲気。

背景の広葉樹に囲まれ緩やかな地形に起伏の少ない歩きやすい散策路が魅力

 

8月上旬に見られる案内地図を片手に散策した。

8月上旬は花の種類が少ないが、花の多いときは吸蜜にやってくる昆虫の種類も多いのが魅力。

 


キキョウ

2023-08-05 | フィールドガイド--植物編--

キキョウ(キキョウ科)

 

「生きている由良川」をまとめるときに由良川の支流である上林川を調査したときキキョウはふつうにみられました。

ところが、今京都府のレッドデータにはキキョウは「山野の草地にはえる多年草で、近年個体数が激減しほとんど見られなくなった。」(京都府のレッドデータによる)

環境省のレッドデータブックをみると、兵庫県はまだ白色であるが、白色なのは隣の岡山県広島県だけで、全国的には京都府に近づいている状況だ。全国的に近年キキョウの野生株が減少しており,絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されていました。

兵庫県でも水田の周りは頻繁に草刈りがされるので少なくなったが、ため池などの堤の斜面ではまだ健在です。

近年では観賞用に庭などに植えられ,園芸植物として定着しました。

ほかにも、キキョウの仲間はカンパニュラという名前で最近園芸品種も多くみられます。カンパニュラとは小さな鐘のことです。

 

キキョウはその漢字から運を招く花として知られています。

花の形から「桔梗紋」が生まれ、明智光秀が桔梗紋を用いていたことは有名です。

 

キキョウは秋の七草のひとつ。

咲くのは、早く6月頃から咲き始め、9月ごろまで見られます。

 

日本でも古くから親しまれている植物です。

というのもの、万葉集の「朝がほ」と詠まれているのは桔梗(キキョウ)の事と考えられている。

現アサガオは奈良時代に中国から渡来。 貴重種だったので、万葉集に詠まれる庶民の花としてはまだ定着していないのでキキョウだろうと推測されている。

アサガオが一般的に広がったのは江戸時代になってから。

庶民に広がり、栽培熱はヒートして多様な変化アサガオが生まれ、高額で取引されたとか。

 

観察

茎は直立、高さ40~100cmになる。茎の切り口から乳液が出ます。

 

根は肥厚して太く白色の直根。漢方薬に利用される。

キキョウの根はデンプンを含まない。キキョウはデンプンではなくイヌリンという形の糖で貯蔵します。ゴボウやキクイモなどもキキョウと同じ形で貯蔵する。


関西と関東では違うヤブガラシ

2023-08-04 | フィールドガイド--植物編--

ヤブガラシ (ブドウ科)

 

 

日当たりの良い林縁や堤防などでみられます。

ヤブガラシはどこにでもよく出てきて、やぶをからしてしまうから、ヤブガラシ

手入れが行き届かない荒れ果てた場所でよく見られたのでしょう。

そのため、ビンボウカズラ、とかビンボウクズ、ビンボウグサ情を醸し出す草として扱われてきました。

ツル性で2~3mも伸びる多年生。

観察

茎は角張り,節を中心に赤紫色を帯びています。

葉は小葉5枚。互生。小葉には低い鋸歯があり,基部に托葉がある。

(関西のヤブガラシの葉、小葉が5つが基本形だが3、4枚のものが混じっている。関東では基本形が多いそうです。理由は関西のヤブガラシは2倍体で関東は3倍体)

夏に花柄を伸ばした先の集散花序に多数の緑黄色の小花をつける。

小花の直径は5mmで,花弁は簡単に落ちてしまうので、黄赤色の花床ばかりが目立つ。

花床の色はオレンジ色から次第にピンク色に変わっていきます。

花床をよく見ると濡れている。蜜で昆虫にとっては食べやすい状態にあるのでよく集まる。

実について

関西のヤブガラシは実をつけるが、関東のヤブガラシは実ができない。(理由は関西のヤブガラシは2倍体で関東は3倍体だから)

ヤブガラシは、ハダニがいる植物には巻き付かない。(つる草はハダニがいる植物には巻き付かないことを発見

中井友也(研究当時京都大学農学部4回生、現:毎日放送社員)・矢野修一(京都大学大学院農学

研究科助教)https://www.kyoto-u.ac.jp/より

この研究では小学校でよくでるアサガオはハダニがいても巻き付いたとか。温室育ちになると怖いもの知らずなのかもしれませんね。


夏の花 ヒマワリ

2023-08-03 | フィールドガイド--植物編--

夏の花 ヒマワリ。

7月から8月にかけてヒマワリの植えてある畑が観光名所になっている。

写真は、兵庫県佐用町のひまわり畑の写真です。

 

ひまわりについて8つの項目にまとめました。

 

1.ヒマワリは向日性があり、太陽の方向に動きます。

2.ヒマワリの学名は Helianthus です。ギリシャ語で太陽を意味する「ヘリオス」と花を意味する「アンサス」から来ています。

3.16世紀にペルーに初めて到着したスペイン人探検家は、インカの高僧が身に着けていた驚くべき黄金のヒマワリの宝飾品を見て、ヒマワリ畑を黄金と間違えました。それにより、ヒマワリは「偽りの富」の象徴となりました。

4.これまでに記録された最も高いヒマワリは9.17メートル。2014年にドイツで栽培されましした。

5.ヒマワリはキク科の植物です。

6.ヒマワリはロシアとウクライナの国花です。現在戦場となっているウクライナとロシアが同じ花を国花としている点、複雑な気持ちです

7.ヒマワリの種はカルシウムが豊富で、優れた健康食品です。

8.ヒマワリの種はフィボナッチ数列に従います。フィボナッチ数列とは数学者フィボナッチによって作成された数列内の各数値は、前の 2 つの数値の合計になります。(1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89の数列のこと)

自然界のすべてのものはこのパターンに従う傾向があり、特にらせん状の形状にそれが見られます。(松ぼっくりのらせん)

 

  1. ヒマワリはなぜ東を向くか―植物の不思議な生活 (中公新書 (798)) 新書 – 1986)に詳しい。ヒマワリは常に太陽の方を向いて咲くというイメージがありますが、実は太陽を追いかけて東から西へと首を動かすのは、つぼみの時だけ。開花すると、花は東向きで動かなくなります。(同じ方向を向いたのが多いので写真にとりやすい。)
  2. 古代ギリシャ神話には、太陽神アポロンに恋をし、いつもその姿を目で追っていた少女がヒマワリの花になったというお話があります。

   ここで疑問、古代ギリシャには「ひまわり」はなかったのでは

 

  1. ひまわりは北アメリカ原産の植物で、紀元前1500年頃から栽培が始まったとされています。

ネイティブアメリカンは、ヒマワリを作物として育て、栽培した最初の人々であると考えられています。 彼らはひまわり油を料理に使い、非常に健康的で栄養価の高い種子を食べていました。

アメリカ先住民の中には、トウモロコシ、豆、カボチャ(ズッキーニ)などと並び、ヒマワリをいつかの主食となる作物として「4番目の姉妹」と呼ぶ人もいました。

コロンブスがアメリカ大陸を発見した後、1500年代中頃にスペインの医師ニコラス・モナルデス氏がひまわりに興味を持ち、種をヨーロッパに持ち帰りました。

  1. ギネス記録 ドイツのハンス・ピーターシファーさんが17メートルが育てたヒマワリ
  2. 小学校3年の理科でヒマワリを育て観察する教材になっています。

夏休の自由研究にもなりやすく、いろいろなホームページでまとめ方などたくさんあります。

ヒマワリはキク科。キク科に共通するのは筒状花(=とうじょうか)(管状花)。外苑にある花弁は舌状花といいます。

ヒマワリの筒状花を観察すると、雌しべより先に雄しべが熟して花粉を出します。筒状花には5本の雄しべがあり、熟すと黄色い花粉つきます。筒状花が外側から順に咲きはじめ、雌しべが受粉できる状態になります。受粉すると果実になります。1000個以上の実ができるのです。

  1. ロシアやウクライナではヒマワリは食料として親しみのある植物だったことと、ロシア正教では断食があり、ヒマワリの果実は食べてもよいと許可されたことから人気がでたといわれています。

チェルノブイリの事故のときもヒマワリは注目されました。ヒマワリには放射線のもとになる鉱物を吸収し、環境を浄化してくれる可能性が大いに期待されました。

  1. ヒマワリのカロリー・脂質は同じ量を比較するとポテトチップス、揚げせんべい、さきいかより多いそうです。リノール酸、ビタミンE、葉酸(ミネラル)さんなどが含まれています。
  2. 12世紀から13世紀にかけてイタリアで活躍した数学者レオナルド・フィボナッチが発見。

昭和57年度(第6回)数学入門公開講座テキストに広中平祐氏の「ひまわりの渦」のテキストがあるので参考にしてください。

 

さて、2番の疑問

古代ギリシャ神話の中の「太陽の花」は、今のヒマワリでないことは明確です。古代ギリシャ人が一度もヒマワリを見たことがなかったからです。

ヒマワリの花がヨーロッパで人気ものになった17世紀。

フランスの宮廷画家シャルル・ドゥ・ラ・フォスが1688年に発表した『クルュティエ』の絵が象徴的です。

この絵は、ギリシャ神話の太陽神アポロに恋焦がれる海の妖精クルュティエの悲しい顛末を描いたもので、叶わぬ恋に途方に暮れる海の女神のかたわらには大きなヒマワリの花が描かれています。

この絵のイメージから人々は古代ギリシャとこの花を強引に結びつけ、ヒマワリを太陽神アポロのシンボルとしたのです。

この絵のすばらしさから、たちまちギリシャ神話を代表する花となってしまったというわけです。

物として知られていた地中海沿岸に自生する草本のヘリオトロープではないといわれています。

別の説では、マリーゴールド(キンセンカ)もあります。


クサギの花の匂い人それぞれ

2023-08-02 | フィールドガイド--植物編--

クサギ(シソ科)

8月上旬 クサギの花を見つけた。

クサギの葉を揉むと臭い匂いが漂います。クサギは漢字で書くと臭木 。

しかし、臭いの好みは人それぞれのようで、 観察かいで葉の臭いを嗅いでもらうと、 「くさい」と顔をしかめる人と、 胡麻のような芳香の漂う臭さで嫌な臭いではないという人とに二分されます。

このクサギのにおいは生き残るための工夫です。

芋虫などに葉を食べられないように、一口でも食べるとにおいがでます。このにおいがこの後につく虫の数を減らします。

 

夏には白い花を樹冠いっぱいに咲かせます。

枝先や上部の葉の付け根から広がり、めだつように花序を出します(集散花序)。

がくは淡い赤紫色です。

花は甘い芳香があり、 クロアゲハなどの蝶が蜜を吸いにやってきます。ただし、アゲハは蜜をすう口が短いので蜜をすうことができません。

クサギの花を観察するとおしべがたっている時期とめしべがたっている時期があるのに気が付いた人は良く観察している人です

これは、自家受粉をふせぐための工夫です。

 

 

夏のあと晩秋から冬にかけて、 丸い果実が青黒く熟します。

がくは果実なっても残り、 実が熟す頃には赤く色づいて、 星形に開きます。

この実をすりつぶして、昔は染料にしたそうです。灰汁で煮てこした液でそめたものが、薄い藍色のあさぎ(浅葱)色になります。

 

春の軟らかい新葉は食用になります。若い葉を茹でて水にさらし、おひたしやご飯に入れて食べたり、佃煮にしたりして食べることができます。

岡山県の山間部では、湯がいた新芽を乾燥させ、保存食にしたそうです。

季節ごとに利用されたクサギです