【ブリュッセル=宮下日出男】欧州連合(EU)は27、28の両日開かれた首脳会議で、深刻化する若者の失業問題の対策として、80億ユーロ(約1兆円)を投入することなどで合意した。
債務危機で域内経済の低迷が長期化しており、最優先で取り組む。
一方で、金融安定対策に関しては、市場の沈静化を受け、抜本策として昨年掲げたEUの統合深化に向けた議論の足取りは重くなっている。
首脳会議は若者の失業対策として、2014~20年のEU中期予算から、60億ユーロを14~15年に集中して拠出することを決めた。
若者の失業率が25%を超える地域に優先して割り当てる。
さらに、20億ユーロの上積みを目指すほか、中小企業の若者雇用を進めるため、欧州投資銀行(EIB)の融資活用の促進策も検討する。
EUは、景気後退の長期化で、失業率が過去最悪の水準にある。
中でも、25歳未満の若者はギリシャで60%、スペインで50%を超え、全体でも24%と高い。
失業対策を重視したのは、「失われた世代」と呼ばれる若者が、社会不安の要因になりかねないとの警戒感があるためだ。
ただ、足元の課題に集中した結果、統合深化の議論が後退した印象はぬぐえない。
EU各首脳は市場の混乱が続いた1年前、金融行政を一元化する「銀行同盟」をはじめ、金融・財政の統合を進める方針を決めた。
しかし、今会議では、統合深化に向けたEU案は示されず、現況報告のみになる見込みだ。
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