市場「リーマン再来」意識
26日の東京株式市場で日経平均株価(225種)が大幅に下落し、終値の年初来安値を更新したのは、欧州の財政・金融危機と米国景気の減速懸念、歴史的円高水準に対する手詰まり感が広がったためだ。(石原毅人、関根晃次郎)
欧州の財政危機が金融不安に波及する恐れから、市場では「リーマン・ショックの再来」も意識され始めている。
前週末の主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、欧州危機による金融システムの混乱回避に向け、各国が「必要な全ての行動をとる」との共同声明が採択された。しかし、市場では「具体的な支援策の拡充が示されなかった」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏)ことから失望売りが広がった。
前週の海外市場ではギリシャ国債を多く保有する仏大手金融機関に対する経営悪化への懸念が高まった。
仏政府による金融機関に対する公的資金注入の可能性も取りざたされて欧州の金融株は乱高下した。金融機関の貸し出し余力が乏しくなれば、企業業績にも悪影響が及び、ギリシャ危機が欧州全体の経済を下押ししかねないとの見方が強まっている。
米経済も先行きが見通せない。21日には米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)が追加の金融緩和を決めたが、大規模な緩和策は採用されなかった。
中国などアジア経済にも変調の兆しが出ており、26日は韓国総合株価指数(KOSPI)が前週末終値比で2・63%、台湾の加権指数は2・39%、香港のハンセン指数は1・47%、それぞれ下落した。
市場では、欧州の財政・金融当局に対して「リーマン・ショックの二の舞いは避けるだろう」(大手証券)との期待感もある。ユーロ圏17か国による緊急支援制度「欧州金融安定基金」の機能強化で、最悪の事態は食い止められるとの見方だ。
ただ、ユーロ圏の混乱の影響は長期化しそうだ。
外国為替市場では、ユーロ売り・円買いが進んでおり、26日の東京株式市場ではパナソニックやソニー、日産自動車など東証1部の185銘柄が年初来安値を更新した。「ユーロ安は底が見えない」(大和証券の野間口毅氏)中で、欧州向け輸出が主力の企業に対する売り圧力は強い。トヨタ自動車では対ユーロで1円の円高が営業利益を60億円押し下げる。欧州危機が長引けば、日本企業の業績の「V字回復」はおぼつかず、株安を加速しかねない。
有事に強いとされてきた金も売られている。26日の東京工業品取引所の金先物市場では、取引の中心となる2012年8月物の清算値は、22日比502円安の1グラム=3877円と急落した。「世界的な株安や商品相場の下落で損失を被った投資家が金を売って損失をカバーするため」(藤戸氏)とみられる。
(2011年9月27日
読売新聞)
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