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PCとネットワークに関するニュースコラム.

金属筐体&日本製コンデンサ使用HUB Corega CG-SW05TX 登場

2005-09-08 11:33:45 | ハードウエア

 有線LANのコンシュマー向けスイッチングHUBは,一昔前のように,家庭には不似合いな,得体の知れない点滅を繰り返す「ネットワーク装置」ではない.今や,電灯線のマルチタップ並みに一般家庭に浸透した,ありふれた「コモディティ」だ.そのため一般消費者のスイッチングHUBに対する認識は,「LANケーブルのマルチタップ」ほどのものだと思われる.

 しかし,実際のスイッチングHUBは,電灯線のマルチタップほど単純ではない.内部にメモリを持ち,常時,MACアドレスを学習するインテリジェンスを持っている.この学習のためにスイッチングHUBは,MACアドレス・テーブルの検索,新規アドレス登録,エージング等を行わなければならない.まさに小さなコンピュータだ.スイッチングHUBのしくみを詳しく知りたい方は,Rich Seifert著「LANスイッチング徹底解説」(日経BP)のご一読をお薦めする.五千円もする高価な本で600ページのボリュームがあるが,まさに「価値ある一冊」だ.

 一般消費者のスイッチングHUBに対する認識故に,家庭で使用するスイッチングHUBを購入する場合,購入者の製品選択の基準は,ほとんどの場合,価格と思われる.現在販売されているコンシュマー向けスイッチングHUBのほとんどが

となっており,一般消費者には,スペック的な製品の差異がほどんどないようにみえるかもしれない.しかし,上記にあげた以外にもスイッチングHUBのスペックはある.例えば…

  • EAPOL(802.1X)フレーム透過機能
  • BPDUフレーム透過機能
  • 電源内蔵か,ACアダプタか
  • 1ポート当たりの,状態LEDの数
  • LEDの配置場所:側面,上面
  • MACアドレス学習エントリー数
  • バッファの大きさ
  • 搭載ネットワークチップ
  • 消費電力
  • 筐体の大きさ・形状
  • 筐体の素材:プラスチック,メタル
  • 使用されている電解コンデンサのメーカー
  • スループット
  • VCCI Class

などがある.特に24時間付けっぱなしとなるスイッチングHUBの場合は,消費電力は気になるところだろう.また常時運用の場合には,もう一つ注意したいことがある.それは「筐体の素材」だ.

 24時間付けっぱなしとなるスイッチングHUBは,消耗品と考えて良い.すなわち,いずれは壊れて,取り替えなければならない.通常,コンシュマー向けスイッチングHUBの壊れ方は,HUB全体が壊れるのではなく,ポート単位で壊れていく.特に,常時トラフィックの流れているポートは,最初に壊れるポートの第1候補と言える(注:必ずしもそうとは言えないが…).電子機器の宿命である動作時の発熱と,その熱によるパーツ劣化が,その故障の原因として考えられる.

 夏場など室温の高い環境に設置されたスイッチングHUBに,連続的トラフィックが流れている場合,「リンクはしているのだが,トラフィックがおかしい」などの症状を示して,ポートが死ぬのは,まさしくこの「熱死」といってよいだろう.特にコンシュマー向けスイッチングHUBの場合,価格が重視されるため,筐体の素材としてプラスチックが採用される場合が多い.もちろんそれでも通風口は空いているはずだが,メタル筐体に比べて放熱性が落ちるのは,当然のことだろう.

 まとめると,一般的に言えば,

同環境に設置した場合,メタル筐体のスイッチングHUBは,プラスチック筐体のスイッチングHUBよりも長寿命.

ということになる.また,VCCIEMI)にも絡むが,メタル筐体の方が電磁波遮断に優れていると思われる.ちなみに,コンシュマー向けスイッチングHUBといえども,ポート数が多かったり,あるいはGbE対応のスイッチングHUBの場合には,発熱量が多いためメタル筐体が使用される場合が多い.

 前置きは長くなったが,5ポートながらもメタル筐体を採用した Corega のスイッチングHUB「CG-SW05TX(税抜き価格:2700円)」が,9月中旬発売される.この機種のもう一つの特徴は,日本製電解コンデンサの採用だ.ご存じの読者も多いと思うが,マザーボードのコンデンサの劣化(いわゆる「妊娠」)の話題は,2chの自作PC板「【膨張】電解コンデンサの大量死 18μF目【液漏】」において,今も激しい論議が繰り広げられている.品質が良い(長寿命)とされる「日本製コンデンサ採用」をスイッチングHUBの宣伝文句に組み込んだのは,CoregaのライバルBuffaloが先だったが,今回Coregaも追随した形となった.

 「メタル筐体&日本製電解コンデンサ採用」のスイッチングHUBとしては,Buffaloの「LSW-TX-5NS(税抜き価格:3000円)」が既に発売されている.この両者の違いを見てみると…

といったところだ.プロバイダの認証関係や企業で使用する場合には,上記の最後の項目は決定的かもしれないが,後の差異は非常に微妙だ.実物を比較したわけではないので,実際のパフォーマンスや筐体の作りには差があるのかもしれないが,公開スペック上の差は上記の程度しか見られない.

 ということで,今回は,新製品情報というよりも,「コンシュマー向けスイッチングHUBの選び方解説」といった感じになってしまったが,今後,スイッチングHUB購入の際には参考にして頂きたいと思う.