明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

今日の視点(25)何故イスラエルは地上侵攻に踏み切らないのか?

2024-05-03 13:05:00 | 今日の話題

イスラエルは占領独立後の何度かの戦争にアメリカの支援を得てアラブを蹴散らし、何とかユダヤ王国の優位を保って今までやって来た。だが近年、入植地やガザの人権無視など、イスラエルのやり方に批判が集まって、世界の意識は「パレスチナ可哀そう」に変わって来ている。最近はむしろ「鼻つまみ者的な存在」になっているとさえ言えるのでは無いだろうか。

もともとユダヤ民族を迫害して来たのはキリスト教徒だが、宗教と民族が絡むと「人類は理性を失う」というのは、世界各地で起きている事である。日本は島国だからこういう問題に会わずに済んだが、もし周囲を「他民族・他宗教」に取り囲まれていたら今頃どうなったか。このユダヤ民族とイスラム教徒との「確執と憎しみの増幅」を根本的に解決するには、「どちらかが消滅」するしか方法は無いかも・・・日本でもエミシやアイヌ民族など、過去には同じような歴史があった。

さて今回のハマスの大規模先制攻撃だが、年中見張っている筈の「イスラエルの鉄壁の防御システム」が機能せずに、ロケット弾の集中攻撃にを浴びて大被害を受けてしまった。私の信頼する「田中宇国際ニュース解説」によれば、これは「どうにも不可解」な失策だそうである。

これは日本人には身近な「真珠湾」という格好の先例があって、何とか世論を日本叩きに誘導したいアメリカは日本軍の攻撃を無線傍受で知っていたのに、「わざと知らなかったフリ」をして攻撃させた、という話が一部にはある。これを考えると、イスラエルがハマスの先制攻撃を察知出来なかったというのは「有り得ない」ことらしい。

まあ、事の真偽は調べようが無いが、テレビに映された人々の惨状を見たままに「怒りに任せて相手を非難する」だけでは、物事は解決しない。イスラエルとパレスチナの「どちら側にも過激な人と穏健な人」の両方がいて、その間に挟まりながら「解決の糸口を模索」しているのが政治の現状である。ではイスラエルの考える「最終的な解決方法」とは何か?

今、イスラエルを守って来たアメリカの覇権が低下しつつあり、ウクライナ問題以降、中国・ロシアなどの「非米同盟」との対立がグッと鮮明になって来た。G7の指導力ももはやG20に取って代わられており、今やイスラエルを取り巻く環境は「非常に厳しい」ものなっている。世界は二極化の綱引き状態で、イスラム各国は非米諸国側に集まりそうな状況だ。そんな中でイスラエルの状況は「風前の灯」となりつつある、というのが中東情勢の現在である。そんな中での「突然のガザ問題の再燃」なのだ。何か「隠れた目的」を持って始まったと見なければ、大局を見誤る危険があると私は思う。

ウクライナ問題だって、簡単にロシアの暴虐と捉えて「皆んなでウクライナを支援しよう!」と叫ぶだけでは、いつまで経っても「世界の政治」は分からない。被害を受けている人々は確かに大変だ。だが、歴史を振り返ればどんな戦争であっても、「被害にあった人々の権利」は考慮されてはいなかったのである。

戦争の真の目的は「勝ち負けの表じゃなく、裏」にある。我々はその裏を読まなければ、永遠に世界の変化を読み解く事は出来ないのだ。・・・そこで田中宇大先生の登場である。

今までもハマスやヒズボラなど、反イスラエル勢力によるロケット攻撃は散発的に起きていた。だが今回の攻撃は「周到に準備して」行なわれたものだと言う。そして急にイスラエルは「今度こそハマスを殲滅する」と言い出した。つまり、ガザ問題を「解決する」と言うのである。本気だ、とネタニヤフは宣言した。で、ガザを完全封鎖して中の人を干上がらせる「秀吉の城攻め方式」を採用した。それでイスラエルはガザの民間人に「南へ逃げよ」と言って、地上侵攻を遅らせている。ハマスはそれに対して、今までなら「留まって抵抗せよ」と命令し、民間人を「人間の盾」に使って地上軍侵攻を困難にさせて来た。ところが今回は「逃げること」を了承しているらしいのだ。田中宇氏によれば、これは「イラン指示の可能性」があると言う。いよいよ戦争の本当の顔がうっすらと見えて来たではないか。

現在の状況はイスラエルと対峙しているのが当のハマスとレバノンのヒズボラ、それにゴラン高原で揉めているシリアが加わりそうな勢いで、態度ははっきりしないが基本的にイスラエルと対立しているイスラム各国のエジプト、サウジアラビアなどが後に控えている。パレスチナ暫定国家は勿論のこと、イランとトルコが隠然と睨みを効かせている「イスラエル包囲網」が完成した。唯一の後ろ盾である筈のアメリカは、バイデン政権の気持ちとは裏腹に「イマイチ煮え切らない」のが現状である。これから中東は大戦争に発展するのだろうか・・・?

そこで私なりの結論だが、イスラエルの生き残り作戦は

1、ガザを封鎖して人道無視を率先して行い、世界に問題提起する
2、ハマスを殲滅する為に地上軍を侵攻させると見せかけ、パレスチナ人を大量にエジプトに避難させ
3、結果的にエジプトの軍事政権を倒して、人々に支持されている「ムスリム同胞団の政府」を再結成する(・・・第一の目標)
4、同時にロシアのプーチンの仲介を頼って、イスラエルの領土保全とムスリム同胞団の国家連合(エジプト・ガザ・パレスチナ・ヨルダン・レバノン・シリアなど)を成立させる(・・・第二の目標)
5、イスラエルに違法入植地とゴラン高原を返還させ、代わりに正式な国境線をロシア・中国・トルコ・イランの裁定で改めて確定する(・・・第三の目標)
6、ガザはエジプトに併合、ヨルダン西岸地区は新パレスチナ国家となって国際社会にデビュー。イスラエルも承認して、中東にもようやく「真の平和」が訪れる(・・・最終目標)
以上だ

ハマスもヒズボラも「イランが了承」すれば、この線で合意するだろう。世界の政治には全くの音痴である私の「勝手過ぎる予想」だが、殆ど田中宇大先生のニュースから思いついた「妄想」である。勿論、間違っていても「だからどう」って事にはならないが、情報によればネタニヤフは今回のガザ問題が発生してから入植者達の「過激強硬右派」から距離をとり、中道派と連立政権を組んだもののようである。

これって何かしら意図が有るんじゃないだろうか?。先行きを見守りたい。

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これは2023年10月に書いた記事である。事態はほぼこの通りに推移しているように見える。



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