感想:アリスとテレスのまぼろし工場

2023-09-17 08:14:46 | 劇場アニメ




製鉄所の発展により支えられていた町、見伏市。
製鉄所で事故が起きた日に突如空にヒビが入る。
その謎の現象により住民たちは町から出ることもできず、
冬のまま時間も止まってしまう。






岡田磨里監督・脚本作品。
なんか久しぶりな気がする!!!




主人公の正宗はクールぶった中二キャラで
平成初期?が舞台のなかで髪を長めにして、いかにも「女の考えた男」っぽいw



ヒロインの睦実。
そりゃあヒロインだから美少女で当然なのだけれど、
美少女でなかった場合に正宗が惚れるのかどうかがすごく気になる。

根拠もなく屋上からパンツを見せるし
いきなりヒステリーを起こすし
とにかく感情の動きがその後のシーンとつながらないことが多くて
岡田磨里ってこんなに脚本ヘタッピだったか? と。

中盤以降にようやくキャラとして安定してくるけれど、
そこまでがただの頭のおかしい女でしかないのが非常につらい。



そして製鉄所に閉じ込められている睦実に似た少女。
正宗により五実と名付けられる。
言葉も教えられず、野生の動物のような振る舞いになっている。
時間が止まった世界で唯一成長を続けているため、
作中の時間経過を実感できるのがこの五実だけ。




何故空にヒビが入ったのか。
五実は何者なのか。
どうすれば現状を打破できるのか。

中盤までどんどん謎が広がっていくのだけれど、
なんというか、それらがまるでワクワクしない。

べつに謎を解くというストーリーではないけれど、
この異常事態にも町の人々の行動・思考が変に達観しすぎてるのが問題。
現状に対する対策本部もまるで機能していないし
睦実の父親はカルト宗教家じみたポジションだし

世界が元に戻ったときに誤差があると問題が起こるという理由で
学校でも同じ授業をずっと繰り返していて
「もし実際にこういう状況が起こったら」というifに対して
シナリオや設定で回答を示せていないのが実にモヤモヤする。

舞台がファンタジー世界ならもう少しすんなり受けれられるのになぁ。



しかし。
何故それでも現代社会を舞台にしているのかと言えば
「恋愛のリアリティに対して共感を与えることが必須」の物語だから。

アニメというものはほとんどが
(男の出てこない萌えアニメも含めて)「男の愚かさ」を軸に作られているが
岡田磨里の脚本は「女の愚かさ」をメインに据えてるのだよな。







岡田磨里の作ったセカイ系。

そこまで悪い作品ではないのだけれど、
何も考えずに観て楽しめる作品ではないのが辛いな。



見伏市の背景美術は非常に素晴らしかったし
キャラクターの作画も良くできてた。
劇場アニメとしての「この場面を見せたい!!」といういくつかのシーンが
くっきりと強調されていて、それらの良さがしっかり伝わってきたのもいい。

ただ内容があまりに不親切なだけ。
登場人物一人ひとりの心情を考えながら観る必要があるし、
考えたとしても腑に落ちない部分が多すぎる。




あと作品タイトルの意味。直接的にはまるで意味が通じない。
「誰がアリスで誰がテレスだよ」と観客の誰もが思ってしまう。
作中に情報が一瞬表示されたようなのだけれど読み取れなかった。
そこはもう少し観る側がスッキリできるように作るべきだった。
タイトルだけ見ると詐欺作品みたいに思えてしまうわ。





今週公開なのに客席がガラガラだったんだが。
もうちょっと宣伝すべきじゃなかったのかな。

自分は岡田磨里ファンだから色眼鏡で見れたが
「面白かったから是非観に行け!」と言える内容じゃなかったのがね……。



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