株主総会:任天堂 第83期(2023) 質疑応答

2023-06-28 21:35:13 | その他
土日に遊び回った疲れがモロに出たせいで遅れてしまいました。



第83期 定時株主総会 質疑応答(要旨)


Q1

自分はコレクターだから可能なかぎりパッケージで買うけど
ダウンロードの便利さも身にしみて理解できてる。
気持ちはわかるけれども、SwitchはSwitchで持ってたらダメなん?


Q2

俺は世間がプレステサターンで賑わってたときでも
ずっとファミコンで遊んでいたんだよ!!!!
だいぶ長いこと郵送でディスクカードの書き換えを対応してくれていた任天堂は神。
今の投資はその当時の恩返しの意味もある。
40周年キャンペーンも楽しみにしてます!!


Q3

この質問者は「苦難の道のイメージ」という表現をしていた。
余計なお世話だろ!!
それに対して「未知の領域」とポジティブな言葉に置き換える古川社長は流石!!


Q4

やはりeスポーツという言葉自体にいろいろなしがらみがあるんだろうな。
任天堂公式でゲーム大会のライブ配信をやってくれたら爆発的に盛り上がりそう。


Q5

TCGは金ばかりかかるイメージなのであえて距離をおいてる。
この質問者もポケモンカードに触れなかっただけ親切なのかもしれんw


Q6

FEシリーズを遊んでないので盛り上がりを肌で感じられていないのだけど
古川社長の返答は非常に無駄がなく優秀。


Q7

このタイミングでサクラかってくらい良い質問w
この質問者は「ドンキーコングやゼルダのアトラクションを追加してはどうか」と述べて
それに対して古川社長がピンポイントな回答をしてる。ますますサクラっぽいw
そしてここで毎年定番の映像挿入。ニンテンドーワールドを楽しむ人々がマジで幸せそう。


Q8

言うまでもない今年の大戦犯。質問内容の記述がめっちゃ簡略化されてて草。
自作のフリップを次々役員へ向けながら意味不明な言葉をまくしたてる。
最前列なので当然他の株主からフリップの内容は見えない。
古川社長に簡潔に話すように諭されたのに全然止まらず会場が冷えっ冷え。
こういうやつがくるのは昨年の時点で予測できてたけどなー。
単なるキの字だと思ってたけど、本人のtwitterがまとめられてるのを読んだら
いわゆる「無敵の人」だった。
俺こいつのすぐ後ろに座ってたんだけど、刃物とか持ち出されなくて良かったわ……。


Q9

実際は「名探偵ピカチュウ」のタイトルを名指ししてた。
新作が出るのでそれにともなって3DS版をタダで配信してほしいという乞食根性。
買えや!!


Q10

NTTの25分割を例に出してのさらなる分割の要望。
「若者が株を買えばその会社にお金を払いたくなる」というのが論拠。
その主張自体はそんなに間違ってはいないと思うけれど、
任天堂はそこまで切羽詰まった会社じゃないんだよなあ。


Q11

これは「過去ハードのパッケージソフトをSwitchで使えるようにしてほしい」なのか
「ニンテンドーショップでDLソフト買いたい」なのか
「ニンテンドーオンラインでタダで配信してほしい」なのか
ちょっと不明確な質問だった。
しかし古川社長の回答のとおり、過去作をリメイクするだけでボコボコ売れるから
いずれにしても言うことを聞く必要がないなw


Q12

「スマブラの桜井政博がファミリーベーシックでプログラミングを学んだ」
というエピソードにもとづいた質問。
開発トップの高橋専務の話が聞けたのは非常に有意義!!


Q13

現役介護士の質問。
「子供とゲームを遊ぶ時間が宝」だと述べてたのが印象深かった。
ゲームを社会貢献につなげたくなるだけの懐の広さが
任天堂のゲームにはあるよね。


Q14

任天堂LOVEおじさん!! 今年も声をかけさせていただいてありがとうございました!!
10年連続で株主総会で発言しているらしくて、それってもはやフィクサーじゃんw
そして株式資産1億超えのアピールがすごかったw 俺も負けてられないw

さて。
新ハードの情報が待たれる現状、発表されれば一時的に株価は上がるだろうけれど
ソフトの買い控えが起こらないとも限らない。そこを見越したうえでのナイス質問。
これはもう、任天堂のマーケティング能力を信じるしかない!!

転売に関しても以前の株主総会では「法律の範囲内では仕方ない」との回答だったが
対策に前向きな姿勢に変わってて好感が持てた!!


Q15

同じ人なのに質問の記述がふたつに分かれてる!! 特別あつかい!!

「制限があるからこそできる面白さ」ってのは本当にそう。
ゼルダもスプラもハードの性能をソフトの処理で乗り越えていると聞いた。
でもそれに挑戦してるのは任天堂くらいで
最近はどのメーカーも「できることしかやらない」になってるのが悲しい!!


Q16

任天堂の給与アップのニュースは確かに驚いた。
ネガティブに捉えた株主もいたかもしれないが、実際に任天堂のゲームを遊べば
素晴らしいゲームを作るには優秀な人材が必要であることを誰もが理解できる。
ちなみに某ゲームメーカーに勤める友人は任天堂の賃上げを羨ましがってたw


Q17

メタバースって今どうなってるんだっけ。
興味がない分野なので肯定も否定もできない。すまぬ。


Q18

この人はオリジナル優待に他社の例を挙げていて
内容はちょっと忘れてしまったが、
バンナムのキャラグッズとかソシャゲアイテムとか言ってた気がする。
任天堂のグッズなら何をもらっても嬉しいけれど
やはり配当で還元するのが世界に名だたる企業として正しい形。
株主総会のおみやげがなくなったのは残念だけど、これも時代の流れだしね。





というわけで今年の株主総会も終了。
感触的には任天堂の株価が下がる印象はないのだけれど、
今の株式全体の好況は下がるときは一瞬で下がるやつ。
なかなか気を抜けないな。












せっかくなので大阪梅田まで足を伸ばしてニンテンドーストアに行ってきた。






めっちゃいろんな種類のマリオぬいぐるみが売ってたけど、
ひとつに絞ってドクターマリオを買った。






マジで欲しいものが多すぎて全部買ってたら一瞬で破産するw
任天堂キャラに囲まれるだけですげえ幸せだなー。
次に来るときは金を貯めて大人買いするぞ!!


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株主総会:任天堂 第83期(2023)

2023-06-24 06:35:43 | その他




任天堂の株主総会へ行ってきました!! 7年連続7回目!!


今期の取引履歴。
やはり今期最大のインパクトは11月9日の-442(-7.1%)だと思うけれど。















前日にすべて売って回避余裕でしたwww

まあすぐに買い戻したせいでその後の下げをモロに食らってしまったが。
マリオの映画の成功とバブル後最高値の相場に恵まれて
結果的にプラスになってるからラッキー。







さて。
株式分割により株主数が増えたので今回の会場は任天堂本社ではなく
平安神宮向かいの「みやこめっせ」。

株を持ってるだけで自分のようなクズでも任天堂に入れるのが
なにげに優越感があったんだよなあ。








なんかかっこいい番号ゲット。







めっちゃ広い会場。
実際の来場者は思ってたより少なくて、満席にはならなかった。



毎年一定割合で頭のおかしい株主が混ざってるんだが、
今回はオタクの割合がグッと増えていて、
パッと見てヤバいとわかる人間の割合が減ってた。

小銭持ちよりも大金を持っている人間のほうがキ印率が高いのだな。
世の中のふしぎ。





さて、役員が入場してきたところで空気読みスキル発動。

役員たちの態度に、真っ先に変な違和感を抱いた。
雰囲気に暗さや重さを感じないにも関わらず、みんな厳しい顔をしている。

しかし冷静に考えれば、減益減配の報告をしなければならないのに
ニコニコしてたら怒られるからだな。
今回の発表は映画の収益が入ってないから
そっちでどのくらい儲かったのかがわからん。

任天堂は全然安泰。むしろ近いうちになにか朗報が入りそうな予感がする。





というわけで、質疑応答は公式にアップされたら感想を書きます。
各所ですでにバズってるとおり、すげえやつがいたw









今年の株主総会は金曜開催だったので土日は京都で遊べる!!

ずっと行ってみたかった嵐山へ。
天龍寺は人が多すぎてまともに歩けないレベルだったので
もう少し足を延ばして大覚寺まで行ったら誰もいなくて超快適。
パワースポットに癒された。

つーか今の京都って本当に外人ばっかりだな。



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株主総会:任天堂 第82期(2022)

2022-07-01 06:58:25 | その他



今年も任天堂株主総会へ行ってきました!!

昨年の株主総会レポートはこちら







ここ一年の取引。

7月。
昨年自分で大きく下がると予想しておきながら買い戻したせいで無念の損切り。
株主総会に出てなければもっと傷口が広がってたので、
やはり実際の空気感は大事やね。

ずっと我慢していたが3月に買い戻し。
底値で買っていれば大きく利益が出たのだけれど、
コロナ禍で判断力が鈍ってしまっていた。
5月に買い戻したのも狼狽売りで結果的に損してるし。

任天堂以外の株はそこそこ上手く立ち回れているだけに、
もう少しメンタルをしっかり持って状況を把握していきたい……。







質疑応答(要旨)

質疑応答の感想。
当たり前だが今年は参加者がめっちゃ増えてた。




Q1

だいぶマイルドに直されてるけど、この質問者は
「株主に来てほしくないのではないか」という穿ったことを言ってた。
そんなわけないじゃんw



Q2

自分が以前勤めてたクソIT企業ですら全端末のバックアップは厳重に取られてたので
任天堂の災害対策は憂慮すべき隙すらなく完璧なのだろうな。
古川社長の回答がほぼ忠実に書かれているので、
この要旨を読む人へ向けて特にアピールすべきとの判断なのだろう。



Q3

質問者が述べたタイトルのうち自分のメモできたものが
『F-ZERO』『バテンカイトス』『カードヒーロー』
『超操縦メカMG』『カエルの為に鐘は鳴る』。
なるほどなぁ。確かにどれもSwitchの操作性で遊んでみたいタイトル。
個人的には『銀河の三人』をリメイクしろよ!! と熱く思う(他社作品なので無理だが)



Q4

昨年ネットニュースで引っ張りだこだった
「役員の好きなゲーム」の質問をしたファミ探おじさん!!
今回も素晴らしい引き出し方!!
宮本さんの応答のなかで、言いたいことをさらに集約した一言、
「それぞれの人が余計なことをしなさい」の言葉に胸を抉られた。
任天堂は優秀な人間ばかり集まるからそのとおりに実行できるだけで
やっぱ俺はルーチンワークでいいわw



Q5

中国と組むとどうしてもIPの漏洩が気になってしまうよなぁ。
テンセントと組んだときに株価が大きく上がった記憶があるが
中国での展開がイマイチ足踏みしてるように見えるのは惜しい。



Q6

昨今のビジネスの場では当然のように出てくる意見。
古川社長の回答も模範通りなので特に書くこともないなw



Q7

この人は質問の前にカービィ30周年について熱く祝辞を述べていたw
自分はソシャゲには興味がないが、あらゆる公式スピンオフがあまり好きになれないので
この質問者がかなり怒ってたのは共感できる。
「エーデルガルトはそんなこと言わない」とスラングっぽい言葉を交えたのは痛いがw
まぁ複数の世界観をゴチャ混ぜにする時点でお祭り作品として諦めろとしか言えないし
株主総会で特定タイトルの文句を言ってもどうにもならんことも理解して欲しい。
聞いてるぶんには面白かったけどな!



Q8

今年出ることが当然のように予測された質問。
まあここは古川社長の言葉を信じて耐えるしかない。



Q9

こういう盲点のようなところを突いてくる質問はなかなかだが
それを予測して澱みなく応えるのも流石だ。



Q10

経済に詳しそうなお姉さんの質問。リングフィットの続編も希望してたw
投資家の端くれとしては円安が怖くて新しい株になかなか手を出しづらいのが現状。
明確な先の見通しができない以上、古川社長の応答もやや苦しいものになってる。
耐えるべきときは耐えるのが投資。もうしばらく様子見だな。



Q11

個人的には分割はして欲しくなかったのだけれど。
でも流動性が上がれば値動きも読みやすくなってありがたいのか……?
来年の株主総会には変なやつが増えそうで怖いw





今年は例年よりも良い質問が多かった。
大抵は途中で気の抜けるような質問があったりするので、
それに合わせて自分もなにか発言しようと狙ってたのだが
まあ来年以降もチャンスはあるだろう。




そういや昨年の株主総会で「役員から緊迫感を感じた」旨を書いて
直後に発表された新型Switchの箝口令だったのだろうと思ったのだが
今にして思えばオリンピックの開会式で任天堂の演出がポシャったことで
機嫌が悪かったのかもしれんなぁw

今年は別にそんなことはなかったけれど、全体的にちょっと沈んでた感じはする。
時短開催なうえ、役員の発言も多くなかったので単なる気のせいかな。



来年も参加できるように、分割へ向けて十分な情報収集を重ねて株主を続けていきます!!


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感想:ご注文はうさぎですか?展 Cafe Lumiere

2022-01-10 22:37:01 | その他





ご注文はうさぎですか?展へ行ってきました!!

まあ実際に行ったのは年末なんだけど。
新潟はなぜかこういうイベントに恵まれてるな。

ていうか入場料2000円ってぼったくりすぎじゃねえ?






……と思ったものの、等身大フィギュアを見て一瞬で考えが変わった。
これひとつ作るだけでいくらかかるんだよ……。





ラビットハウスの再現!!
こだわりがすごすぎる。







チノ部屋・ココア部屋の再現。小物のこだわりまで細かくて眩暈がする。
ここに入り込むと犯罪者になった気分だ……。
そういやクジラックスがごちうさのエンドカードを描いてたことがあったよね!!





記念撮影用の巨大ティッピー。
僕は社会的地位のある大人だけれど、これが突然動き出したら大声で泣くと思う。






そしてイラスト展示はやはり神。

撮影はできなかったけど、表紙イラストと扉絵イラストのフルコンプ展示は
いつまで見ても飽きないクオリティ。
よく毎回テーマやポーズや表情をかぶらせずに続けられるな……。
現代の宗教画家を名乗ってもいいと思うわ。
本気で丸一日眺めようかと思ったけどコンサートに遅刻できないので泣く泣く退出。






入場特典のランダムミニ色紙でチノゲット!!
チノ以外は自分にとっては等価なので全力で感激してしまった!!
日頃の行いが良かったおかげだな!!






ここからはグッズ購入品。
ココアウッドキーホルダー。
あやねるが好きな姪へのおみやげのつもりだったんだがいらないと言われた。
帰りにさりげなくケツバット。




マグネットミニアクリルプレート。立ててもよし貼り付けてもよし。
10種類のランダム封入だけど、どのイラストもハズレがないのが嬉しい!!





ココア&チノプレミアムプレート。
尊すぎる!!
もちろんこれに食べ物を載せるなどという罰当たりなことはできないので
スタンドを買って飾り皿として床の間に飾るわ。




アクリルフォトスタンド。
ちょっと高かったけど、目が覚めたときにこの色彩を朝の光に透かして見ると
一日頑張れそうな気がしたので購入。いい買い物だった。





タペストリー。
シャロはそんなに好きなキャラではないのだけれど、この絵に超一目惚れ。
絶対に買わなければいけないという啓示を受けた。



つーか買いすぎだろ俺。

まあ日々の労働の対価としての喜捨を行うことで偶像崇拝が偶像崇拝たりえるわけで、
世の中には「衝動買い」という便利な言葉があるが
それは言わない約束なのです。


というわけでアニメの続きが早く観たい!!
ていうかノータッチだった原作も今後はきちんと買おうと思う!!


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感想:GAME MUSIC on BRASS~歴代名作ゲーム音楽と華麗なるブラスの響宴~

2021-12-27 06:48:19 | その他




GAME MUSIC on BRASS~歴代名作ゲーム音楽と華麗なるブラスの響宴~


行ってきました!!
このために死にもの狂いで毎日残業して仕事終わらせた!!


そういやオーケストラなんて聴きに行ったのいつ以来だっけ。
きちんとしたコンサートで聴いたのは初めてかもしれん……。




1曲目はもちろんドラクエのメインテーマ!!
初めてファミコン版のタイトル画面を見たときの感動が蘇った!!

ドラクエ1~3のメドレーとか神すぎる。
特に感動したのはドラクエ2の3人フィールドの曲。
オーケストラにするとこんなに聴き応えがあるんだな……。

あとはもちろんゾーマ戦の曲。
RPGラスボスのBGMとして完璧。
ファミコン版のあのシチュエーションであの曲が流れて
興奮しなかったプレイヤーは一人としていないはずw

どの曲も昔CDで聴きまくった『交響組曲』を基にした編曲で
未だにすぎやまロスが癒えないなか、やはりドラクエ曲の素晴らしさを再認識。




そしてWizardryのメドレーへ。
まさかWizardryの曲を生オーケストラで聴けると思ってなかった!!

オープニング~城下~戦闘~ワードナ~エンディング

会場には若い人が多かったので、これらの曲を知ってる人がどれだけいたのか。
しかし自分にとってはまさに青春そのもの。

Wizardryは街でのグラフィックがないにもかかわらず
曲のおかげで城下の街並みが見えてくるのがすごい。

羽田健太郎の凄さにあらためて思いを馳せた。




休憩をはさんで第二部はスクウェア祭り。

クロノクロスの民族音楽が素晴らしすぎてプレイしてみたくなった。
Vitaでも遊べるみたいだから買ってみるか……。


あとはもう、なんというか。
FF5のメドレーが語彙を放棄して『すごい』しかない。

しばらく前に自分で小説を書いてみたが
バトルの攻防が思いつかないときにFFの戦闘曲を延々ループさせてた。

FFの戦闘曲は敵の強大さと主人公たちの勇敢さの両方を必ず表現してるから
実際にプレイしたことがなくても戦いの情景が目に浮かんでくるんだよな!!
ゲーム音楽かくあるべき。やっぱり植松は偉大だわ。


アンコールはFFのメインテーマのピアノ演奏と、FF12の「希望」という曲。
オーケストラをフルに使った壮大さに、今年の体に溜まった悪いものが全部外に出た!!


いやー、こんな清々しい気分になれたのは久しぶりだ。
毎年やってくれないかな……。


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感想:サマーウィンド

2021-08-21 12:50:46 | その他



くりいむレモン復刊ノベライズ第五弾!!
感想が刊行順からズレてしまって申し訳ない。
夏が終わる前にこっちを先に!!


ていうか表紙がかんざきひろってwww
旧版と同じアングルを今風の絵柄で復刻するのがすごくいいね…。


-あらすじ-

陽はちょうど一年前に死んだ恋人の弥子を弔うために
一人でバイクのツーリングに向かう。
日南海岸で思いにふけっているところへ、快活な少女の美奈が現れる。

-----


普段から鈍い色の日本海を眺めている地域の人間としては
日南海岸のビビッドな色彩は一度見ただけでも脳裏に焼き付く美しさ。
自分は20年前に見たきりだが、いまだに情景を詳細に思い出せる!!!


作中でもサザンの名前が幾度も出てくるが、
まさに80年代!! 夏!! 海!!
といわんばかりの陽キャ御用達ステージ。




元のアニメは陽が美奈に逆ナンされて海でイチャイチャしたあと
ラブホへ向かってセックスしたあとあっさり別れるという
無機質にもほどがある展開。

とはいえ、美奈のアニメのキャラデザとしては不自然なほど澄んだブルーの瞳が
とことん夏らしさを強調していて、雰囲気全振りのエロ環境映像としてかなり有能。



そんなほぼほぼカラッポシナリオを巧みな情景描写と心理描写で
カッチリと埋めきってしまう筆力。
夏の浜辺は比喩表現の宝庫なので、そこはもう、この作者の得意フィールド。

陽の亡くした恋人への想いの深さ、
訪れない恋人を待つ美奈の想いの深さ、
それぞれの感傷が濃厚に絡み合いながら向かうラストの切なさ!!


アニメでは中途半端な立ち位置だった海の家の看板娘である真由美も
一目惚れをした陽の魅力を客観的に高める存在。
アニメのキャラデザのおかげで下手をすれば美奈より可愛く見えてしまうところを
サブキャラ然とした男勝りな性格に変えているのも上手い。
それでいて陽を求めて自慰にふける愛嬌もいいw

そして舞台である海岸の番人としてのポジションを明確にすることで、
陽と美奈の二人だけの世界から、こまめに現実へ引き戻す役目を果たしている。



そして肝心のエロ描写も素晴らしい。

『黒猫館』『エスカレーション』で見せた非日常の淫靡なエロスではなく
行きずりの男女の間のカラッとした、それでいて肉感的なエロさ!!
美奈の明るい性格と可憐な容姿の描写のおかげでさらにそれが際立って
感触まで伝わってきそうな写実感。




全てが綿密に計算されたシナリオ作成術。うむ。さすが。

明るく透明な南国の夏の空気が湿っぽさを霧散させる、
果てしなくすがすがしい青春小説。
本棚に置いて3年に一度くらいは読み返し、若かりし頃に思いを馳せたい。


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株主総会:任天堂 第81期(2021) その2

2021-07-12 07:34:38 | その他




時間が経ってるので書こうかどうかだいぶ迷ったんだが、
この1週間で色々あったので株主総会の報告延長戦。



まずは唐突な新型Switch発表。
しばらく来ないだろうと大見得をきって書いたのに思い切り外したのはカッコ悪いw

しかしながら、役員たちから感じた緊迫感はこれのことだったのか!! と思った。
間違いなく突っ込まれるであろう新型Switchに対する箝口令。
自分はコミュ障のダメ人間だが、場の空気を察する能力は高いのです。


株主総会直後に新型発表という予想外のタイミング。
しかもただの画面の大きさと画質アップという、マニアから望まれたものではない改良。

それが直接の原因とは思わないが、同時に株価が暴落。

株価が大きく下がることも予想できていながらモロに被弾してしまった…。
普段は会社のPCでずっと株価チェックしてるのに、
こういうときに限って出張で忙しいんだよな…。

Vitaユーザーとしては有機ELの素晴らしさはよく理解しているのだが
Switch自体はほとんど据え置きで遊んでいるので今回は買わなくていいかな。




あとは「任天堂役員の好きなゲーム」の質問。
各所でめちゃくちゃバズっててすげえw

この質問をしたのが、ここ数年の株主総会で
ファミコン探偵倶楽部新作の要望をしていた人で、
当ブログで「ファミ探おじさん」という非常に失礼な呼称を用いたにもかかわらず
快く応じてくれた方。

さすが任天堂愛が別格で素晴らしいと感じた!!
今年も色々な話をさせていただいてありがとうございました。



で。
この質問に対する回答として特に素晴らしいのが、議長である古川社長。

「ほとんどの任天堂のゲームはプレイしている」という
エグゼクティブプロデューサーとしての矜持と威厳。
そして特定のゲームの色を出すことなく「アソビ大全の花札」という
任天堂の原点をアピール。

将棋でいう王将のような完璧な回答。
これを最初にしてしまうと他の役員が答えづらくなるということを見越して、
自分の番を最後に持ってくる気配り。


古川社長が就任した年のyoutuberピョコタンの株主総会の報告で、
役員の前に用意されたペットボトルの水と紙コップに対し、
わざわざ紙コップを使って飲むのは不自然だし飲みにくいだろうと
古川社長が先陣を切ってペットボトルから直接水を飲んだという話を聞いて
素晴らしい着眼点だと感銘を受けた。

翌年ロビーで声を掛ける機会があったのでそれを伝えたところ
「そんな話しましたっけ…」と返されたけどw


とにもかくにも、やはりトップに立つ人は
瞬時にそういった気配りを周りに悟らせることなくできる人なのだなぁと感じた。



あとはまあ、株価に関しては不安も大きいけれど
予想外の業績を上げ続けているので、しばらくは様子を見てみようと思います。





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株主総会:任天堂 第81期(2021)

2021-07-03 08:42:32 | その他
今年も任天堂の株主総会へ行ってきました!!

さすがに今年はやめておこうかとも思ったのだけれど、
名目上の宣言解除されたし、京都の感染者が1人だけの日もあったので
感染に関しては対策さえすれば割と楽観。






まずは今年1年の取引履歴。
50000で買い戻したあとは化物みたいな業績をあげ続けるせいで
売るタイミングがまったくナシ。

オリンピックの開催が曖昧になったところで一旦手放したけれど
その後、E3でSwitch新型が発表されるという偽リークにより暴落したところを拾った。
開発自体は間違いなくやっているだろけれど、
これだけ半導体が枯渇してる状況でそんな確定情報を出せるわけねえだろ!!

というわけで、現段階では理想的なムーブができてます。



そういう事情もあり、応援の意味も含めて今年も株主総会へ参加を決めた。

なのだけれど、毎年余裕で予約のとれる夜行バスが満席。
緊急事態が解除されて浮かれてるアホが多いのか、単純に便数が少ないのか。









結局特急と新幹線で行く羽目になり、交通費が爆上がりなうえ
金沢で6時間のダウンタイム発生。
キューピーコーワヒーリングを飲んでネカフェで睡眠。行くだけで大変すぎるわ…。








毎年楽しみにしているホテルの朝食ビュッフェ。

……のはずが、宿泊客が少なすぎて普通のセットの食事が出てきた。
コスパ悪すぎる。なか卯の朝食のほうが良かった…。







しかも着替えたばかりの服に抹茶をこぼして終了。
ボロい服で株主総会に出るわけにもいかないので慌ててコンビニでワイシャツを買った。
さらに同時に買ったメモ帳をトイレで着替えた際に置き忘れるという痛恨のミス。









始まる前からボロボロで泣きそう。







天下の任天堂の株主総会なのに参加者は200人に満たなかった。
去年はほとんどいなかった年寄りがワクチンを打って安心したのか結構増えてた。



メモがないので質疑応答の詳細なところは書けないのだけれど
とりあえず本社発表の要旨PDFをもとに感想をそれぞれ。

第81期定時株主総会 質疑応答(要旨)


Q1
株をやるにあたって為替も重要だが、意外にそこまで考える余裕がないんだよな。
ちなみにこの質問に対して最初古川社長は「1ユーロ=108円」と回答して「?」となったが
のちに訂正が入ったw


Q2
Chris氏への非常に丁寧で真摯なな説明。
ゲーム会社として映画メディアとタイアップする挑戦の難しさと、
それをクリアしようとする意欲が感じられて胸に刺さった。
むかし自社のメインタイトルをハリウッドで映画化して潰れかけた会社があったが
言外に1割くらいそのニュアンスを感じたw


Q3
めっちゃファインプレーの質問。
「議題と関係ない」という前置きがあったものの、丁寧に答えてくれて超嬉しい。
カッコつけて株主総会なんぞに出席してるが、実際はこういう情報が欲しいんだよな!!
宮本さんの「パックマン」「テトリス」という回答にどえらいオーラを感じた。


Q4
任天堂という最大公約数の客層を目指す企業にとって
ジェンダー関係は非常に悩ましい問題だと思う。
FEの同性婚問題とか「屈した」ように見えてしまったしなー。
まぁ俺個人のジェンダー観は、ここで書いても仕方がない。


Q5
youtubeで格ゲーの大会動画を良く見る自分としては
eスポーツというくくりは痛し痒し。利権がらみが鬱陶しすぎる。
純粋にゲームが好きな者同士のゲーム大会は本当に楽しいだけになおさら。


Q6
俺はケチな人間なので月額料金プランはあまり払いたくないんだよなw
でもニンテンドーオンラインプレミアムができたらたぶん入るw


Q7
若いお姉さんの質問。
発売直後に買ったリングフィットもプレイ時間が4時間くらいでやべぇ。
せめて腹筋を鍛えたいのでまた引っ張り出そうと思う。


Q8
この質問、たしか実際は「デマによって株価が下がった」ことに対する不満だった気がするが
偽情報でこんなに株価が動くというのもまた恐ろしい。
情報の取捨選択は大切!!


Q9
コンプライアンスに対する安心感をしっかり説明してくれてありがたい。
世界に誇れる企業!!


Q10
ミニシリーズを任天堂が出したことで各ハードメーカーがこぞって真似をしたのが凄いw
レトロゲームコレクターの自分としては、元のソフトを持っていることで自慢できて嬉しいしw
あとはニンテンドーオンラインで遊べるタイトルをもっと増やしてくれればありがたい!!





要旨には書かれていないが、やはり株主はそれなりの年齢層の人がほとんどなので
ファミ探リメイクについて触れる人が多かった。
やはりそれだけインパクトのある作品なんだよな。
「消えた後継者」は姪と一緒に遊んでたのでクリアが遅れたが、近いうちに感想を書く予定。

新作も是非お願いします!!






直近で大きく株価が下がったものの、全体的に株主の雰囲気は穏やか。
この程度で動じないのが任天堂株主の余裕だよな!!

しかし役員全体に、これまでにない妙な緊迫感を感じた。
気のせいだったらすまんが。

今後の株価はゆるやかに上がり続けるか、
何かの拍子でさらに大きく下がるかの二択かなーと思う。
それを感じられただけで来る価値はあった!!









日帰りで遊ぶ余裕すらなく、3時間ほど京都の街をぶらぶらしてから帰路へ。
体力のないおっさんにこの強行軍は厳しい。
水木金と仕事が辛かったので今後は金曜開催にして…。



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感想:エスカレーション

2020-12-04 06:26:53 | その他



うおおお!! 表紙がいとうのいぢ!! すごすぎる…。


というわけで、伝説のくりいむレモンノベライズ復刊第二弾。
「今夜はハード・コア」「禁断のソナタ」「天使たちのエピローグ」の三部作を
伝説の作家・倉田悠子が小説化。
実質的に日本最古の百合ラノベ!!


ミッション系女学院における愛欲渦巻く嗜虐と被虐の狂宴。

百合という言葉がいつできたのかはわからないが、
ここ最近で急に百合にハマってしまった自分にとって、
実に素晴らしいタイミング。



復刊を機に、先に三部作のアニメを全部観た。

「黒猫館」と同様に、ノベライズの意義が非常に大きい良作。
アニメ版ではおそらく細かい設定を詰めていたのだろうけれど、
やはりエロに尺を取りすぎて伝えきれない部分が多かった。
情景描写・心理描写が詳細になるだけで、作品として
一気に深みが出て面白くなるのだなぁと感心しきり。
(もちろん、アニメはそのエロさにおいて非常に大きな意義はあるのだけれど)



編入してきたリエが一目見て憧れを持ってしまった生徒会長のなおみ。
なおみもまた、リエの奥底に眠る被虐志向を見抜き、
危険な誘惑に持ち込んでいく。

愛情と友情と肉欲の三位一体が
舞台となる敬虔な学園と濃密に絡まって醸し出されていく、
えもいわれぬ背徳感。

80年代の天真爛漫な女子高生像と、禁忌ともとれる女同士の営みが際立って
実に素晴らしい世界を描き出している。



そして『エスカレーション』というタイトルの意味。
徐々に激しさを増していく狂宴と、三部作で学年が上がっていく様子。
「お姉さま」が代々受け継がれていく過程。
ダブルミーニング・トリプルミーニングがたまらなく美しく映える。

アニメでもそれらは表現されていたものの、
やはり小説としての表現の美しさがあってこそ煌めくタイトルだと思う。



あとはまあ、二作目「禁断のソナタ」のなかにおいて
なおみの父と弟が性の狂宴に参加するのだけれど
本人たちが直接まぐわうことがなくてガッカリです。
目の前でJKがくんずほぐれつしてるのに平気なのがマジでおかしい。
男を描写するときに性欲に関して嘘をつくと一発で説得力がなくなるんだよな…。

とはいえ、最近「小説家になろう」で百合小説を書いて
おっさんにレイプされる話にしたら読者から袋叩きにされた自分からすると
百合作品には男に手を出させてはいけないという不文律があるということを
30年越しで教えてくれた素晴らしい教科書にも感じられた。


やってることが滅茶苦茶なのに「なんとなくいい話」で締めるのは
エロ系作品のセオリー。
それをいかに自然にもっていくかが作者の腕の見せどころなのだろうけれど
本当にこの作者はそれが上手い。
「黒猫館」の読了時と同様に、ちょっと泣きそうになってしまった。



最近は少しずつくりいむレモンのアニメを観ているのだれど
やはりどれも舞台設定が秀逸だなあ。
80年代のオタク向けアニメはロマンがあるね。
懐古主義と言われてしまうと何も言い返せないが。


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感想:黒猫館・続黒猫館

2020-08-04 22:00:11 | その他



昨年くらいに連休でやることがなかったとき
動画サイトをめぐっていたら「くりぃむレモン」シリーズを発見。


自分はエロ漫画もエロアニメもほとんど触れずに生きてきたのです。

だってストーリーが適当すぎるじゃん?
漫画もアニメも脚本を最重要に置く自分としては
抜かせるためだけの作品群に価値はないと思ってた。

しかし実際に観てみると、30分に届かない尺の中で
舞台設定とキャラクターの説明をしっかり入れて
ノルマとしてのエロシーンをメインに据えて、
そうするとストーリーを入れる余裕などギリギリになってしまうが
シンプルながらも視聴後の余韻をしっかり作れる
当時のアニメスタッフの工夫に感銘を受けた。

そういう意味でも、80年代のオタク文化のひとつのシンボルが
くりぃむレモンシリーズということなのだな。
時間ができたら全部観ます。



そんなわけで色々調べていたら面白い情報を発見した。
くりぃむレモンのアニメを原作としたノベライズが出ていて
作者の「倉田悠子」は数十年間も謎の存在だったが
数々の文学賞を受賞し紫綬褒章まで受章した「稲葉真弓」が
2014年になってから、あれは自分だったとカミングアウトして大騒ぎになったとのこと。

当然、それらの小説は一気に中古相場が値上がりし、価格が5桁に。

せっかくだから読んでみたいなぁ~~、なんて思っていたところ、
そのうちいちばんの名作と言われる「黒猫館」と「続・黒猫館」が復刊。
およそ文学においては権威に弱い俺w この偶然は見逃せない!!
発売日に地元の本屋へ買いに行ったが入荷なし。
呪詛を吐きつつAmazonでポチった。



【あらすじ】
昭和16年。日本が戦争の渦に飲み込まれるなか、
大学生の村上正樹は高額な給金につられて山奥の華美な館へ書生として向かう。
しかし、女主人である冴子の目的は、若い男の肉体だった。
正樹は娘の有砂、メイドのあやとともに性の饗宴に巻き込まれていく。


あらすじと被るけどアニメのストーリーを簡単に説明すると
欲求不満の未亡人に呼ばれた大学生が逆レイプされて
毎日飲まされているワインには少しずつ毒が入っているので
メイドのあやが逃がしてくれたよ!! 屋敷はなぜか燃えたよ!!
おわり。

前述したとおり、作品の舞台こそ非常に魅力的なものの内容はあまりに不条理。
所詮1話限りのエロアニメのシナリオなんてそんなもの。


その点、このノベライズはしっかり脇を固められて
アニメではわかりづらかったストーリーがきちんと補完されている。
冴子の目的とそれに至るまでの過去。あやの暗く哀しい生き様。
有砂のイノセンスとニンフェット。

情景描写の美しさも卓越した文章力で磨き込まれていて
場面ごとにその景色に思いを馳せるだけでもうっとりとトリップしてしまう。


ポルノ小説である以上、行為に至るまでの過程に若干の不自然さはあるものの
夢かうつつか判別できなくなるほどの陶酔感と
非常に写実的な性の描写にぐいぐい引き込まれる。
アニメはアニメでもちろんエロいけれど、
やはり歳を取るとエロにはリアリティが欲しくなるね。おっさんの意見だね。


そして3人の女たちの悲哀が美しく描写されて収束していく終盤。
ラストシーンでは不覚にも少し涙腺が緩んでしまった。


まあ作者が文学の大家というゲタがなければここまで楽しめたかというと
正直自分でもわからんところはあるのだけれどw
非常に良い作品を読めたという満足にあふれた読後感だった。



一方、続編である「続・黒猫館」は序盤からラストまで
常時「ええぇ…」と声に出してしまうほどガッカリな内容。

ここで内容を書くと「黒猫館」のほうのネタバレにもなってしまうので黙るけど
続編を名乗ってほしくないレベルの支離滅裂っぷり。

前作が面白かったから続編を作ったんだろうに
テーマをまるごとひっくり返しちゃダメでしょ。

桜の木を軸にした情景描写はとても美しかったのだが
この作者の腕をもってしてもきちんとしたストーリーには仕立てられなかったようだ。
原作のアニメはいまだに動画を見つけられていないけれど
各所の感想を見る限り散々な出来だった模様。

読めずに期待だけ膨らませるよりは、収録してくれてありがたかったと感謝はしておく。




そして巻末に追伸がふたつ。

稲葉真弓がみずからの若い時代を顧みた、件のエッセイ「私が覆面作家だったころ」。

本人はこれを公表した直後にガンで亡くなってしまった。享年64。
自分の人生をその最期で振り返っていたのかもしれんな…。
普通に読む限りでは倉田悠子名義は黒歴史のように書いているが
2008年にくりぃむレモンシリーズ新プロジェクトのノベライズを出している事実を見れば
本人は決して黒歴史とは思っていないだろう。

そしてこのエッセイが世に出なければ
担当していた編集者の守秘義務違反がないかぎり、
この名作が本当にオタク文化の片隅に埋もれてしまっていたかもしれない。



もうひとつが「『メイド萌え』の『原点』として」なるタイトルの
英国ヴィクトリア朝およびメイド文化研究者の久我真樹による解説。

ヴィクトリア朝のメイドの研究をするにあたって
エロゲーの歴史も研究しなければならない因果に同情もしつつw

エロゲーではブームが興り始めた90年代の中ごろから
「館モノ」がひとつのジャンルとして確立したが
「メイド・性の饗宴・炎上する屋敷」という一連のお約束が
どのように生まれて広がっていったかの解説がとても興味深い。



少年チャンピオンを愛読している身としては
長年メイド漫画を描き続けてきたもりしげが
最近になってまさに不遇の死といえる亡くなりかたをして胸につまされたので
遺作となった「押しかけメイドの白雪さん」を買った。

自分はとくにメイドが好きなわけではないが、
80年代に小さな灯火が生まれ、00年代で急速に広がった「萌えメイド文化」が
今後どういう変遷をたどるのか、それを追うきっかけになったうえでも
この「黒猫館・続黒猫館」には非常に高い価値を見出せた。

良い一冊に出会えたことと、復刊を目指して動いてくれた人たちに多大な感謝。

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