
石黒正数原作漫画の実写映画化!!
大学の女子寮のルームメイト。
バンドの才能に行き詰っている先輩・鯨井ルカと
自分が何者なのか悩み続ける後輩・入巣柚実。
貧しい学生としてのモラトリアムをそれなりに楽しく送っているが、
あるとき鯨井に大きな転機が訪れる。
鯨井役は若くしてベテラン女優の平祐奈。
原作の攻撃的な性格を抑えて、やや不思議ちゃんっぽくキャラ変されているが
それを上手く立ち回る演技力が流石。
ライブでの歌や動きも堂に入っていて、役者のしての才能が凄すぎる!
入巣役は乃木坂46・久保史緒里。
入巣はもともと原作でも可愛い設定だけれど、
久保史緒里が美形すぎて貧乏大学生としてのリアリティが感じられない。
寝るときまでメイクばっちりってなんやねん。
しかし撮影が進むほどに入巣が憑依していくのがわかって
この作品の演技指導は優秀だったのかなぁ、と思ったり。
原作から20年以上を経ての実写化。
思った以上に原作通りで満足!!
やはり漫画の実写化は原作どおりに作ることで面白くなるのだけれど、
ところどころ変えている部分が実に腑に落ちるアレンジ。
スマホに代わっていたりSNSが発表の主だった場だったり、
時流に即した変更ももちろんあるが、
単行本で通して読んだ時の過不足の均しが変更のメイン。
個人的にヒットだったのが、
鯨井個人が大手プロデューサーに目を点けられて呼び出された際に
バンドメンバーたちもついていった点。
この作者の作品は脇役の人間臭さが大きな魅力なので
そこを掘ってくれたことに感謝!!
映像化で最も有益だったのはやはりライブのシーンなのだけれど、
自分にとって最高だったのが、
「若い時期しか味わえない"朝"の空気感」。
勢いで飛び出したがお金も移動手段もなく、外で迎える朝日。
講義があるけど無理に出なくてもいい、まぶしい光の中での自堕落との葛藤。
若い時期の記憶をグサグサ掘り起こされて、
何でもないシーンなのに劇場で一人で泣いてたw
大学時代の閉塞感。親しい相手と無茶をする疾走感。悩みの壁を突き破る高揚感。
アイデンティティを武器に全てを叩き潰すカタルシス。
この映画、観ないと損だぞ!!