ワニなつノート

ノビノビ詐欺にご用心!





5月27日の読売新聞に、
「特別支援(6)席の隣で苦手サポート」という連載記事がある。
特別支援教育への勧誘の手口を、
なんの悪気もなく紹介されていることに驚いた。

記事では、まず小2の子どもの隣で、
声をかける支援員の「入り込み指導」の様子が紹介される。

そして、その効用が次のように語られる。



【「授業が分からないと教室から出ていってしまうこともあった。
隣について指示を出してもらうと、集中して意欲的に取り組む」と担任。
支援員も「気づいた点がたくさん書けたので満足していた。
集団の中での支援なので、トラブルが起きた時のものの言い方も教えられる」
と話す。】


問題はここからだ。

【学校が子供の発達障害を、
どうやって保護者に理解してもらうかは大きな課題だ。
苦手な科目を中心に、
別室で個別に教える「取り出し指導」が有効だが、
親の承諾なしには行えない。
そうした場合、特別支援学級の教諭や支援員が教室に入る
「入り込み指導」が足がかりとなる。】


みんなと一緒の学校生活から、一人の子どもを分けようとすること。
子ども同士の世界で、そうすることを、社会は「いじめ」と呼んできた。
それは、みんなから仲間はずれにされ、孤立することの苦しみが、
時に自殺にまで追いこまれるほどの苦しみになるからではなかったか。
それが、教師の善意で、その子のため、という理屈をつけようと、
そこで、ちょっとした声かけで、みんなの中にいられるという、
一人の子どもを、別室に取り出すことへの疑問はまったく見られない。

みんなが当たり前にいる生活空間から≪抜き出す≫ことが、
どれほど重大なことかの認識はかけらもない。


【まずは入り込みによる支援で、児童が成長したという結果を出す。
そうすると、保護者も納得して子供の発達障害を受け入れ、
取り出し指導を希望することが多い】

【支援を受けないまま高学年になると、学習面での遅れも大きくなり、
いじめにあったり、不登校になるなど二次的なトラブルも起きやすい。
なるべく早期から支援した方がいい】



このやり方は、要するにアメとムチでしかないし、
よくある詐欺の手口そのものではないか。
これを「保護者の納得」と書いて、疑問を持たない新聞記者のセンスにも驚く。
これでは、オレオレ詐欺の類も、
「本人の納得の上に振り込んだ」と書けるのだろう。

そうそう、この手口は、ノビノビ詐欺と言ってもいい。

個別なら(みんなから分ければ)ノビますよ。
本人にあった教育ならノビますよ(みんなと同じ教育は無理ですよ)。

そうして、たしざんを覚えたり、漢字をいくつか覚えてノビたとしても、
それは、目に見える葉っぱの先が少し伸びてるだけで、
肝心の根っこの方は、みんなから分けられて、
根っこごと抜き出されて苦しんでいるんじゃないのか。

問題は、特別支援しようができないことはあり、
個別指導をしようがつまづくことはあり、
手術しようが治らないことがあり、
子ども自身が引き受けなければならないその苦労を、
どう支えるかということではないのか。

そのためには、まず、親や家族、学校の先生や仲間が、
ふつうに受けとめる
「失われない帰属感と安心感」を子どもに伝えることが必要なのだ。

それを抜きに、親子の弱みと、
将来の不安につけこむ脅しを使いながら、
判を押させるやり方は犯罪だと私は思う。

だから、ノビノビ詐欺に注意しましょう!!

ノビノビ詐欺にご用心!!
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