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蒼い空の下で

文系男子の何気ない1日を記します。

夏のあとがき②-夏疾風-

2018-08-27 23:34:51 | 2018年学童野球
名田庄との試合を終えると、高浜戦までの間にわずかな休憩が取られた。
ベンチで応援していた保護者も、とりあえず力を抜く。
また、木陰から応援してくれていた低学年やその保護者も一旦その場から離れる。

私は、昨晩の事を思い返していた。
ろうきん杯初日を終えた晩の事である。
歩夢を連れてバッティングセンターへ行った。
すると、駐車場には見慣れた車が1台停車していた。

母親に連れられた貴悠だった。
車中で待つ母親。
貴悠は、誰もいない場内で一人黙々とボールを打っていた。

貴悠の様子を眺め、歩夢も打ち始める。
すると、車から降りた母親も貴悠の様子を見にやってきた。

誤解をされやすい子だが、貴悠は人想いの優しい子だ。
貴悠が小さな頃からそれを見てきている。

「かぁくんとたかちゃん、負けたら終わりやし可哀想やな」
歩夢は、数日前からこう口にしていた。
「そう思うんやったら、2人の為にも頑張らなあかんな」
夫婦でそう答えた。

貴悠を野球に誘ったのは、他ならぬ私と雄介だった。
秀美さんとは、保育所の本部役員を一緒にした仲だった。
「いつからでもいいし、気楽に来たらええで」
本部役員の慰労会の場で気軽な気持ちから伝えた。
すると翌日、秀美さんに連れられて貴悠はやってきた。

-13時17分-
最後になる高浜クラブとの試合が始まる。
整列でも分かったが、相手の身体はかなり大きい。

先攻・若狭和田マリナーズ。
歩夢や柾樹のような小柄が上位に名を連ねても太刀打ちはできない。
だが、これがチームの現状だ。

前の試合で5イニングを投げ切った和貴。
この試合でも先発マウンドに上がった。

だが悲劇は早速と訪れる。
二番・尚史から五番・晏大朗までの4人で3本の本塁打と1本の三塁打を浴びる。
しかも会心の当りばかりだ。
何も出来ないのは承知だったが、あれほどの打球が幾度も飛び交うと唖然とするしかなかった。
初回から6失点。

同じ時期のあの日のことが、かすかに脳裏を過る。
2年前のろうきん杯予選の初日のことである。

長男坊の蒼空が満を持して挑んだ最後の大会。
この大会の初日に対戦したのが高浜クラブだった。
当時、高浜に6年生はおらず、4・5年生だけのチームだった。
勝負に手加減はない。
容赦なく挑んだ。

不思議な縁を感じる。
2年前、蒼空や星輝に挑んできた高浜の4年生達。
そして2年が経ちこの子達が6年生となる。
今回、そこに挑んだのが4年生の歩夢や未夢。
当時、スタンドから応援していた弟妹が4年生となり、彼らに挑もうとする。
勝負とは、こうした縁が繰り返されるのか。

2回表になると歩夢がピッチング練習を始めた。
金網越に尋ねてみると、3回から投げると言う。
だが、2回までに10点を奪われ、3回の攻撃で点を奪えなければ、必然と歩夢の登板はなくなる。

-歩夢には投げてもらいたい-
今後の為にも、私はそう願った。

2回を終えたところで11失点。
3回の攻撃で2点を奪わなければ、コールド負けとなる。

この回から相手ピッチャーは変わる。
4年生の女の子だ。
ブルペンでの投球から眺めていたが、とても4年生には思えない。
キレイなフォームからいいボールを投げ入れる。

だが、悠久のフォアボールから海翔が三塁打を放って1点を返す。
ここからフォアボールが続く。

-あと1点-
満塁になった時点でピッチャーが元に戻る。
7球の投球練習をする間、私は三塁側に廻って三塁走者の海翔の元へ駆けつけた。
そして、ただ一言だけ伝えた。

「分かっとるな。一瞬のスキを狙え」
海翔は、首を縦に振った。

プレイのコールが掛かった直後だった。
捕手から投手に返球するタイミングで海翔はホームを狙った。
頭から滑り込んだ走塁はセーフとなる。

これで9点差。
何とか繋がった。

2年前、この子達を相手にして蒼空は堂々と受けて立った。
そして2年が経ち、今度は歩夢がこの子達に堂々と挑ませてもらう。

3回裏、歩夢はマウンドに上がった。
だが、15球目を投じたところで1点を奪われ、試合は終わった。

試合後、木陰に入って最後のミーティングが行われた。
これで終わったという実感のない6年生達。
ここで、この日を以って竹内コーチからユニフォームを脱ぐ事が告げられる。
太良は大粒の涙をこぼした。

4戦全敗。
苦い思い出だけを残し、しばらくしてから青葉の地を立ち去った。

-2018年8月27日(月) 18時-
「歩夢の夏休みの自由研究はどうするんやって!!」
昨日、一昨日で日焼けした顔が痛むというのに、帰宅するなりうるさい女だ。

「カブトムシやって」
私は小声で言ってやった。

「歩夢は、カブトムシの観察を毎日しとるんか!?」
そんなもん、するはずはない。

あまりにもうるさいので、外に出て2人でカブトムシを眺めていた。

すると歩夢がこう言ってきた。
「かぁくんとたかちゃん、また練習に来るかな・・・」

一呼吸をおいて答えようとした時だった。
心地良い風が通り抜けて行った。
それが和貴と貴悠の過ごしたマリナーズが通り過ぎて行ったようにも思えた。

そう、夏疾風と共に。

                おわり
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夏のあとがき①-セミの鳴き声-

2018-08-26 23:43:18 | 2018年学童野球
8月も終わりだというのにやけに雲が高い。
それに付け加え、例年に比べると妙な暑さだ。

ろうきん杯予選の最終日。
この日も朝から蒸し暑い。
だが、飼育中のカブトムシは相変わらず元気に過ごしてくれている。

歩夢の夏休み自由研究。
今年はカブトムシの生育状況を提出か。
毎朝、カブトムシの状況を見て、歩夢に伝えるのが日課となる。
まぁ、来週中にでも作ってみる事にしようか。

-午前7時集合-
渉太と湊志の海外研修組を除き、欠席者はいない。
10時半からの試合に備え、ホームグラウンドで調整。

9時を目途に一通りの練習をこなす。
いい汗だけは掛けた。

父親は元より、母親たちもグラウンドに現れる。
そして、配車係の車に子供達を乗せて青葉球場へ。
昨日同様、私は3、4年生を連れて行く。

日照りで暑くなった車中。
スマフォを取り出し、とある曲をかけてみる。
-夏疾風-
今夏の熱闘甲子園で使われていた曲。
懐かしさをも感じるいい曲だ。

9時半頃、青葉球場に到着。
周辺の畔では既に稲刈りが済んでいる所も見えた。
もうそんな時期になったのか。
夏の訪れ、そして過ぎ去っていくのも早い。

連れてきた子供達と一緒に1塁側へと移動。
傍ら、目の前で行われている大飯と名田庄の試合に目をやる。

既に到着していた保護者が、一角を陣取っていた。
しばらくは、試合を見ながらゆっくりとする。
すると、どこからか青郷小で行われていた青郷クラブと高浜クラブの試合結果が入る。

1試合目も終盤に差し掛かったところでマリナーズが動きだす。
この日も先発は和貴のようだ。
貴悠と投球練習を始める。

しばらくすると、大飯の勝利で第1試合が終わる。
ベンチ、そして応援席の入れ替えとなる。
「必笑」と書かれた横断幕を掲げ、テントを設営。

気付けばシートノックが始まる。
昨日と同じ布陣のようだ。
グラウンド整備を終えると、マリナーズは円陣を組んで声出しを始めた。
この日、ベンチ入りした6年生の母親達もその様子を見つめる。
なぜかその目が寂しそうにも見えた。

—11時25分開始-
初回、4年生の歩夢と柾樹から好機を作り出すも得点に結びつかず。
その裏、すかさず和貴の投球に託す。

このチームは、和貴が崩れればそれでおしまいだ。
立ち上がり、みんなで守ってリズムを掴む。
それが何よりも大事なことである。

ランナーを得点圏に出すも、貴悠の送球から三盗を刺す。
ところがその直後、外野を割くタイムリーを浴びて先制を許す。
とりあえず1点を追いかける展開となる。
ここからキズ口を開けなければいいだけのことだ。

その直後の攻撃に入る前。
ベンチ前では、膝をつき子供目線とした雄介を中心に小さな円陣が組まれる。
気持ちだけは切らすわけにはいかない。

3回裏の守り。
先頭バッターの打球を3年生の悠久が見事に捕球。
いい入り出しとなったが、ここでもピンチを招くこととなる。

ランナーを三塁に置いた場面でのバッテリーミス。
すかさず、ホームに返ってくる相手走者だったが、それをアウトにしてみせる。

まだ試合の流れはどちらに傾くかは分からない。
逆に言えば、こちらにも手繰り寄せる好機は十分にある。

すると、それは突然に訪れた。
4回、フォアボールで出塁した太良を得点圏に置き、和貴が打って返す。
また、続く貴悠もフォアボールを選び、相手の失策から生還する事となる。
こうなれば、流れは必然とやってくるものだ。

未夢、悠久が連続フォアボールで出塁。
ここで登場したのが九番に甘んじる海翔。
ベンチからの大きな声援の中、期待に応える。
右中間を破ったタイムリーツーベース。

ここでこの日一番の大きな声が響き渡る。
あの太い美声は、間違いなくベンチから見守る秀美さんのものだろう。
私はレンズ越しに笑ってみせた。

だが、私はこの期に及んでもリードしているとは知らなかった。
得点係をする大作に何度か得点状況を確認していた程だ。

ところが、四回裏に逆転を許してしまう。
こちらは騙し騙しの守り。
そこに飛べば、言わずとヒットと化す。
そうなれば、とても太刀打ちは出来ない。

5回を終えたところで3対5。
押せ押せムードも一転した。

6回表の攻撃。
時間の経過から見てもこれが最終回になるのか。

「まだ終わっていない」
ありきたりな言葉だが、雄介が円陣の中で子ども達に伝えたのが聞こえた。

その言葉を信じた子供達は最後の最後まで諦めなかった。
フォアボールで繋いだ下位打線が上位にまで廻した。
しかし、1点は返せたものの追撃はそこまで。
4対5で敗れる結果となった。

グラウンドの整備に入り、ベンチを眺めると、そこからは落ち込んだ様子が見られた。
私は、自分自身が悔しいのかそうでないのかがよく分からなかった。

試合を終え、自動車に忘れ物を取りに向かう途中だった。
球場の入り口で久々に森さんに出会った。
気付かない所から応援してくれている。
あの頃と同じだ。

自動車に戻って忘れ物を手にした。
心地の良い風を感じながら雲の高い空を見上げた。
すると、やたら耳にするセミの鳴き声が気になり始めた。
そして、気が付けば同じ時期のあの日を想い出させるのであった。

                        つづく
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ろうきん杯第31回学童野球大会大飯郡予選第1日目

2018-08-25 20:48:05 | 2018年学童野球
-春の成和(高円宮賜杯)、夏の名田庄(福井県知事杯)、秋の青葉(ろうきん杯)-

この日は、6年生にとって最後になるろうきん杯予選の第1日目でした。今年度は、5チームの総当たり戦。今日明日の2日間に渡って熱戦が繰り広げられます。初日は、青郷クラブと高浜クラブが2勝、大飯スリーアローズが1勝1敗といった結果に終わりました。

当団は、1試合目の青郷クラブに2対5、そして2試合目の大飯スリーアローズに1対11(3回コールド)で敗れる結果でした。一昨日から2人の5年生が海外姉妹都市交流に参加した為、ベストな布陣ではありませんでしたが、それでも何とかやり抜きました。現チームで挑む明日の最終戦、それぞれには次に繫がる何かを掴んでほしいと思います。

【右往左往してくれたお陰で】
この日は2試合を通じて外野へ度重なる打球が飛び交いましたが、その打球を幾度なく取り押さえてくれたのがセンターの守備に就く太良(5年生)でした。太良のカバーリングのお陰で更なる失点を防げていたのも事実です。このチームは学年や経験年数は関係なく、やろうと思える人が引っ張らなければならないチームです。太良には、明日の試合でも【走】でチームを牽引してもらいたいと思います。

【粘り強さの差】
当団の攻撃には粘り強さが全く感じられません。この日、青郷と大飯の打者にはカウントを追い込んでからもしつこく粘られました。その結果、ヒットを浴びたりフォアボールを与えたりするなど根気負けする結果でした。淡泊な攻撃になれば必然と相手に流れを引き寄せられ、いつしか劣勢に追い込まれます。当団の子供達には、1日で2試合を戦い抜くだけの心身の強さを身に付けさせたいものであります。

【この1年間の成長が分かる】
現チームが結成されてちょうど1年。結成当初のチームに比べてみて、成長の度合はどんなものでしょうか。少なからず当団も成長しましたが、それ以上に他チームの方が著しかったのではないでしょうか。ろうきん杯とは、6年生達の意地と意地がぶつかり合う場です。また、5年生にとっては、その存在感を示す絶好の場とも言えます。こうした中、和貴と貴悠には最後まで気持ちを切らすことなく挑み続けてほしいところです。そして、ここに援護射撃してくれる後輩が1人でも現れてくれればと願うばかりです。

この日は、猛暑日にも関わらず低学年やその保護者も応援に駆けつけてくれました。いよいよ明日が現チームで挑む最後の試合、明日もこの日同様に朝早くからの活動となりますが、全うしたいと思います。
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練習日記@2018.8.2

2018-08-02 22:27:55 | 2018年学童野球
本日、夏の甲子園大会の組み合わせ抽選会が行われ、春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)は第2日第2試合で2年前の優勝校・作新学院(栃木)、夏連覇がかかる花咲徳栄(北埼玉)は第4日第4試合で甲子園常連校の鳴門(徳島)との対戦が決まりました。今年は100回の節目を迎える記念大会。球児たちには、地元からの大きな期待を背負いながら夢舞台で躍動される事を願っています。

さて、全国的に猛暑だったこの日もいつも通り夜間練習は行われました。体育館内は耐え難い暑さでしたが、わずか1時間の練習です。当然ですが辛抱はしなければなりません。まずはキャッチボールから始め、そして全員で行うボール回しに移りました。ボールを貰う側と投げる側の声掛けを意識させた訳ですが、いずれの子もそれが出来ていません。これはかなり深刻な問題点といえ、言い換えるならば意志の疎通が出来ない子達の集まりとも言えます。これが、このチームに全く魅力を感じない点の一つです。

「仲間が困っていても声を掛けてやれない」「仲間がいいプレーを魅せても声を掛けてやれない」「ボールを中継する際、投げる側に声を掛けれない」
土日の練習だけでは、今のままです。学校から帰ってから、みんなで野球をして遊ばなければ、こうした事は身に付きません。また、初歩的なルールも覚えられません。そして何よりも仲間意識が芽生えません。
おそらくこうした基本的な部分が身に付いていなければ、いくら練習をしたとしても何の変化もないでしょう。
人からの期待に応えられる人とそうでない人の違いは、学童野球を7年間通じた中で私なりに分かっているつもりです。

いよいよ8月度に入り、現チームで行う週末練習も5回ほどとなりました。ろうきん杯で無様な試合だけは見たくないというのが率直な想いです。今週は、青郷クラブとの練習試合が組まれていますが、先方に失礼のない試合にしなければなりません。そして同時に、迫ってきた最後の公式戦に向け、真剣になってくれる子や保護者が出てきてくれる事を望みます。
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練習日記@2018.7.19

2018-07-19 23:04:39 | 2018年学童野球
回転ずしチェーン「かっぱ寿司」の食べ放題サービスが拡大すると発表がありました。昼間と夜間に設定した他、高級ネタも対象とするコースを設けたようです。ただし、神奈川県内の一部店舗が対象で事前のネット予約が必要とのこと。この辺りでも、サービスを展開して頂けると足を運ぼうとも思いましたが、それでもやはり西舞鶴方面まで行ってしまいそうな気はします。

さて、この日も内陸部を中心に猛暑日を観測しました。日本列島に高気圧層が二重に覆っているのがその原因であり、もうしばらくはこのような天候が続く模様です。こうした中、週末における当団の練習でも十分な注意を計らいたいと思います。この日は、指導者が不在だったので、夏休み前で部活を早く切り上げて帰宅した長男坊も練習に連れてきました。

全体練習では、素振りを終えてからのキャッチボール、そしてティーバッティング。また、ピッチャー陣にはピッチング練習もさせました。6年生にとってこの1か月は正念場と言えます。夏休み中に夏の県大会とろうきん杯予選が開催されるという事なので、負けたら8月末で実質の引退となります。正直、練習中に指導者から口うるさく言われるのもその時までです。それ以降にグラウンドに顔を出しても、いわばお客さん扱いです。そろそろ6年生の2人には、実質の引退が目前に迫った事を実感してもらえたらと思います。

今更ですが、この日のキャッチボールの出来の悪さに目が留まりました。これでは、コールド負けを連発するはずです。正直、今後の大会でどのような驚きが起こるか不安ではあります。最後となる公式戦において1イニングで10点を取られる試合だけは勘弁です。
まずは、この前代未聞と言える野球の取り組み方を改善できるように考えなければなりません。そうしなければ秋からの新チームも何も変化なしと言えます。

低学年の保護者達がこのチームの現実を見て落胆しないよう、何とかしたいものです。子ども会の野球チームに近いものですが、少しでもスポ少活動らしくなってくれればと思います。
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