切られお富!

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十二月国立劇場、「三人吉三」を観てきました。

2020-12-12 15:32:59 | かぶき讃(劇評)
時蔵のお嬢吉三が楽しみでした。ほんと、実のある舞台でしたよ。簡単に感想。

今月は、諸般の事情で国立劇場は第一部しか観に行かないのですが、時蔵のお嬢吉三という配役には意表をつかれたというか、素直に「観たい!」と思わせる配役でした。このあたりが、またかという気分になった第二部の白鸚の「河内山」との違いでしょうか。

で、最初の大川端。立ち役がやるお嬢吉三だと、女の時と男の泥棒の本性の時で違う人格を見せるというか、演じるんだけど、これを女形がやると、変化のメリハリをつけないで自然に女から男、男から女に変わる感じなんですよね。で、玉三郎が歌舞伎座でこの役をやった時は、名セリフのあたりがちょっと息苦しかったんだけど、時蔵は自然で、わたしは良かったですね~。

あと、松緑のお坊吉三が、ニヒルな線を狙ったと本人は言ってるらしいけど、わたしにはむしろシャープでキリっとして、お父さんの辰之助を思い出しました。芝翫も世話物っぽい深みが出てました。

ということで、音羽屋系の声の響きの饗宴みたいな感じというよりは、少し落ち着いた感じで、安心して最後まで見られた感じ。確かに最後の火の見櫓がセリで下がっていく演出はいまいち意味がよくわからなかったけど、最後までいい緊張感の舞台だと思いました。

ま、簡単にこんなところで。

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