切られお富!

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通し狂言 義経千本桜 Cプロ(道行・四ノ切)国立劇場

2022-10-10 19:41:48 | かぶき讃(劇評)
Aプロ、Bプロの翌日、夕方にCプロ観てきました。今月は忙しい!簡単に感想です。

Cプロは道行から四ノ切だったけど、Cプロだけ出演者の平均年齢が断然上がるから面白いですよね。

最初の道行きは、菊之助の狐忠信に時蔵の静御前のコンビ。Aプロ鳥居前の米吉の静御前が若々し過ぎたこともあって、しっとり落ち着いて、なおかつ容色衰えぬ時蔵の静御前が、花道の出からして貫禄、気品素晴らしかった。菊之助も狐忠信は手慣れた感があって、今回の他の二役にはない余裕がありましたね。

で、四ノ切ですが、楽善の河連法眼が老け役らしい貫禄の口跡でよいです。だいぶ足腰悪そうなのが少々気にはなりましたが、やはり舞台が締ります。そして、意外やこの芝居の義経は初役だという菊五郎が、融通無碍というのか、いるだけでよいという気品と貫禄。

菊之助の二役、最初は本物の忠信だけど、悪くはないが、菊五郎のこの役がわたしは好きで、狐忠信との対比でいうと、菊五郎の場合は本物のほうがクールでキリっとしている(特に裾を払う感じがカッコよかったんだな)のに対し、狐忠信は動物らしい柔らかさがあって、明確な対比関係にあるんですよ。その点、落差の差、変化率がちょっと少ないかなって気はしました。

次に狐忠信はこの人の本役。体はよく動くし、声も形もキレイで本領発揮の舞台という気がしました。たぶん、菊之助の忠信の対極にあるのが、獅童の忠信かなとは思います。あちらは泥臭くて激情って感じ。もちろん、どちらも持ち味で素晴らしいんですが。

というわけで、今回の菊之助の千本桜三役では、断然①狐忠信、そして②いがみの権太、③知盛、といった順ですかね。きっと、演じるときごとに変化するんでしょうけど。

以上、簡単に感想でした。
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