切られお富!

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ノーランの『TENET』、フィンチャーの『マンク』、よかったですか?

2021-01-21 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
ちょっと前の映画の感想ばかり書いているんで、たまには新しめのモノを。アメリカで評価の高い監督クリストファー・ノーランとデビット・フィンチャー。彼らの新作を観ました。といっても、レンタルとNetflixですが。簡単に感想。

まずは『TENET(テネット)』。

そもそも、クリストファー・ノーランの映画でよかったのは『ダークナイト』のみだと思っているわたしなので、そのつもりでお聞きください。

今回の作品は彼の初期作品で佳作だった『メメント』に近いコンセプトだというので期待して観たのですが、これ面白いですか?最初のウクライナのコンサートホールのシーンが始まった時は凄いと思ったんだけど、あとは口あんぐり。逆回転がそれだけで画的に面白いとは思えませんでした。この破綻ぶりが、ウィリアム・フリードキンの『恐怖の報酬』を思い出してしまったんだけど、わざわざデジタルでなくフィルムで撮っている意味もよくわからないし、デジタルとかCGに頼らない快作といえば、デビッド・ロウリーの『ア・ゴースト・ストーリー』がある意味凄い到達点を示しているんで、爆破シーンなども含めて贅沢な(徒)労作という印象です。

次が、フィンチャーの『マンク』。

要するに、映画史に燦然と輝く傑作『市民ケーン』の脚本家の制作秘話みたいな話ですが、1940年代風のモノクロ画面がまずまずなのと、『市民ケーン』のグレッグ・トーランドの撮影へのオマージュみたいな照明効果なんかが、面白くはある。

で、要するにトランプ政権下だから出てきた映画なんでしょう。権力者と「表現の自由」の関係みたいな意味で。新聞王ハーストの私生活をモデルにした映画だったために様々な妨害を受けた一方で、アカデミー賞では脚本賞だけ受賞した理由がわかるわけですから。

なので、興味深い作品ではあるけど、スコセッシがたまにやる映画史への講釈みたいな作品だなあ~と思いました。でも、傑作ではないなあ~。

しかし、いまやハリウッドでは大物の二人だから、評論家は褒めてるんでしょうか?あとは観た人の判断にお任せします。











『Mank/マンク』予告編 - Netflix






この本、意外と良いです。なんなら洋書でどうぞ。




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