切られお富!

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大人になってから見る『アルプスの少女ハイジ』

2008-11-07 23:59:59 | TVピープル
以前、大人になってから『母をたずねて三千里』を見ると感動するよって感じの記事を書きましたが、『アルプスの少女ハイジ』もいいですよ!ツタヤのポップに、「サプリメント・アニメ」みたいな言葉が書いてあったけど、ちょっとお疲れ気味の社会人が仕事帰りにこのDVDを借りて見たら癒されること間違いなし!高畑勲演出、場面設定・宮崎駿の"鉄板"コンビ作品ということで、改めてみると、演出も凄いです!

大人になってから見ると、たんに子供向けアニメということでなくて、一緒に見る大人にも訴えるような演出になっていたんだなってことに、改めて驚きました。

両親に死に別れ叔母さんと都市で暮らしていた時の暗い顔のハイジと、アルプスの山に来てからの元気になったハイジの対比の演出がとっても象徴的なんですが、都市生活での厚着したハイジが、アルプスの山のおじいさんのところに初めて行くシーン。山を登るにつれて、ハイジが元気になっていき、どんどん服を脱ぎだしていくところなんかは、服を脱ぐというアクションと、作品の舞台の変化、ヒロインの感情の起伏をマッチさせた名演出で、すばらしい物語の導入だと思います。

また、子供の頃はわからなかった、おじいさんの孤独が、大人になってから見るとじつに胸にしみる…。

世間の無理解と意固地になる自分、わたしは今回おじいさんのキャラがとっても興味深く感じました。(一人暮らしの人は、妙に共感してしまいますよ!)

それと、ハイジがおじいさんと引き離されて、フランクフルトで暮らすくだり、ホームシックから夢遊病になってしまうわけですが、ここってダブルバインドの症例にちゃんとなっているんですよね。

・ダブルバインドとは

アルプスの山に帰りたいという感情と、足の悪いクララを残してアルプスには帰れないという気持ち。どうしようもない矛盾した苛立ちがハイジを夢遊病にしてしまうというくだりは、なかなか考えて作ってあるなあって、わたしは感心してしまいました。

あと、語りだしたら止まらないぐらいに、どの回もあっと驚く演出目白押しなんですが、キャラクター設定もよく練られていて、ちょっとした脇役でも印象に残るようにできている!

わたしが好きなのは、クララのおばあさんですが、クララのお父さんのゼーゼマンさんやゼーゼマン家の使用人セバスチャン、ペーターのおばあさん、そして小ヤギのユキちゃん、などなど…。愛すべきキャラがたくさん出てきてよいんですよ、本当に!

で、急に思い出したけど、乳の出の悪い小ヤギのユキちゃんを「と殺」しようとする話なんて、いま公開中の映画『ブタがいた教室』の先を行っていたストーリーかなって気もしましたね~。

さて、このアニメって、多くの人はクララが初めて立つシーンばかり「アニメ名場面」みたいな番組で見させられていると思うけど、あの場面だけだとこのアニメの本質を大きく見誤ると、わたしは思いますね~。

とにかく、ディテールがものすごくよく練られていて、とっても奥深いドラマ!

あえて書きませんが、最終話の最後の場面の演出もあっと驚く凄いもので、こんな余韻を残す終わらせ方って、アニメのみならず文学でもなかなかないってわたしは思うなあ~。

というわけで、単なるお涙頂戴ものなんてトンデモナイ!

純粋に優れた作品。そして、都市生活に疲れた大人のあなたに大いにお勧めします!

DVDで13枚。最高のサプリメント!!

<参考リンク>
・アルプスの少女ハイジ 公式HP
・アルプスの少女ハイジ(ウィキペディア)

・映画『ブタがいた教室』公式HP 

アルプスの少女ハイジ 35周年メモリアルボックス (期間限定生産)

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