紅葉の見ごろ情報もあちこちで聞かれるようになり、秋の深まりを感じるこのころです。さつまいも、きのこ、栗、さといもと秋のおいしい野菜も店頭に並んで食欲が刺激されます。10月中旬から11月初めの短い間に出回る栗は新鮮で大きなものを見つけたら逃さずに渋皮煮を作ります。鬼皮だけを取り、栗の実をおおう薄い渋皮を1枚残す栗の煮物は貴重な実を削ることなく、煮汁に浸すと長期間の保存もできるエコな食べかたです。きんとんや砕いてパイの餡などにも利用します。コツが分かれば時間もさほどかからず、2時間余りで作れます。今年も栗むき器が活躍しました。
採れたての新鮮な栗を使うとふっくらと柔らかい渋皮煮が出来ます。そこで
<栗の良品の見分けかた>
・粒が揃っていて虫食いがない。
・重みがあり、鬼皮にはりがあって、みずみずしく艶がある。
・濃い茶色で、おしりにひびのないもの。
<栗の渋皮煮>
栗と砂糖だけで作る、究極の栗の香りと味を楽しむ和のデザート。ゆったり味わいます。
<材料>
栗(鬼皮付) 1Kg(鬼皮つきで売っている量は通常ネット入りで500gか1kg)
砂糖 600g(栗の正味の重量の60~70%)
重そう 大さじ1・1/3
<作り方>
1、やかんいっぱいお湯を沸かし、水を張ったボウルにあけてぬるま湯を作り、たくさんのぬるま湯を作れるように準備する。水を入れたボウルに栗を浸しながら、渋皮に傷をつけないようにむき、ぬるま湯に浸す。
※煮汁が濁らないようにするため、鬼皮をむく途中で砕けたり、中身が出たりしたものは別にして煮物などに使います。
2、大きめの鍋にひたひたのぬるま湯と1の栗を入れて火にかけ沸騰したら重そうを加える。泡が吹き出ししばらくして煮汁が真っ黒になったら捨て、ぬるま湯を加えて煮、沸騰したらお湯を捨てる。この作業をお湯が濁らなくなるまで、2~3回くりかえす。
3、2をぬるま湯にあけて指でこするようにして、繊維や筋を取り除いてぬるま湯で洗い、鍋にかぶる程度のぬるま湯と栗入れてを火にかけ、渋皮が破れないくらいの柔らかさに煮て砂糖を2~3回に分けて加え煮含め、鍋ごと冷めるまで一晩置く。保存は煮汁と一緒に瓶など入れるか、煮汁ごと保存袋に入れて冷凍する。
栗は北半球の世界中に分布し、日本栗、ヨーロッパ栗、アメリカ栗などがありますが、日本で食べられている日本栗は大粒で身がしまっていて風味があり、平安時代にはすでに栽培が始まっていたとされています。広い水田が作りにくい山間部では飢饉に備えたくさんの栗を植えて食用に備えたようです。主成分はでんぷんですが、ビタミンやミネラルも豊富で栗に含まれるビタミンCは加熱しても損失がなく、また渋皮の渋みの成分タンニンは解毒作用や抗酸化作用があり、慢性疾患の予防に効果的です。栄養のバランスの良さはお年寄りや幼児にも最適な滋養を含みます。
そろそろ栗の季節も終盤ですが新鮮な栗に出合った時、作ってみてください。栗をぬるま湯で洗う癒しの時間は静かに流れて、出来たときには栗からエネルギーをもらっています。日々取り出していただく楽しみも。