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クルシャの天地

クラック・デ・シュヴァリエ(騎士の砦)




その城は東地中海のシリアに11世紀から建っていました。
町を見下ろし、海からの敵を見張り、街道を押さえていました。
十字軍のヨハネ騎士団が一時期支配した名城として、現在も聳えています。

城の名はクラック・デ・シュバリエ
。その守りの堅さは、十字軍の信仰の強さを現在でも感じられるほどのものです。




こちらは現在のクラック・デ・シュバリエではなくて、再現された城の模型。
入口を狙う狭間があちこちにあって、断固侵入を阻む意志がみなぎっております。





ある日、思い掛けない空中からの攻撃によって、城壁に附属している物見塔の一部が
あっさり破壊されてしまいました。たいへんなことです。







内陣にある礼拝堂では、朝から騎士たちが詰めて、さかんに議論をしています。

エジプトのサラディンが新兵器を以て奇襲を仕掛けてきたのか、いや十字軍に服していない住民たち
の暴挙ではないか、でもどうやって? まさか天使たちが十字軍にメッセージを携えてきたのでは
ないか、あの破壊が不可能な場所をわざわざ攻撃するとは「人間業でない」ことの証明ではないか。

議論は続きます。




ヨハネ騎士団の副長が団長にうやうやしく挨拶して、発言を求め、憶測では事態に対処できないだろう
と主張します。諸君、我々の城の一角が破壊された、今朝起きたことはそれだけのことだ。ただし、何が
原因なのかこの時点で憶測する事には意味がない。すでにサラディンの侵攻が明らかであり、あるいは
住民の蜂起が目に見えているのならば、彼らが事を起したと考えてもよかろう。しかし、なにひとつ
証拠は無いのだ。だとすれば、城内の何者かによる工作、または単なる気象の異状による破壊であると
考えてしかるべきである。もっとも、前者の可能性が高いわけであり、内部調査の必要を訴えなければ
ならないのであるが。



クラック・デ・シュバリエの騎士たちは副長の言葉に従って、城内の工作員の調査に向いました。








【空中に気配が】
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