重低音のBlue Canary

♪ 思いつくままを、つたない文と photo で …

重い、思い。

2008-03-01 | つれずれ


久しぶりに映画館へ足を運びました。

観て来たのは、今日から公開の「明日への遺言」です。
(公式HPはこちら。←音声ボリュームにご注意ください)


大岡昇平著「ながい旅」を映画化したものです。

     

原作がそうであったように、
この映画もドラマというよりは、史実を忠実になぞった、むしろ「記録映画」と言ってよいでしょう。


名優・藤田まことが演じる主人公は、旧日本陸軍東海軍司令官・岡田資(たすく)中将。

     

第二次世界大戦末期、
名古屋地方を中心に大量の焼夷弾を投下して無差別爆撃したものの、
自らも撃墜され捕虜となった米空軍B29爆撃機の搭乗員38人を、

正式な審理を経ず、独断で斬首刑に処したため、
B級戦犯として裁かれることになった岡田中将の、
横浜裁判所で行われた軍事裁判での激しいやり取りを中心に描かれています。

     

これ以上のあらすじや内容は、
公式HPはじめ多くサイトやブログでも紹介されていますから、省きます。

     


ただ、
この映画はたぶん、
ほとんど一切の虚構と、過度の脚色、過剰な演出が施されていないだけに、
「面白いか?」と問われれば、「いいえ」と、私なら答えます。

     

でも、
映画というのは、

面白ければいいものでも、
楽しければいいものでも、
逆に、悲しければいいものでも、
ないんじゃないでしょうかね。

     

淡々と進んでいくけれど、
見終わった時、ズシリとした重い「思い」を胸の内に感じる――
――そんな映画のように私は思いました。

     


プロデュースした原正人氏が、
公式パンフレットの巻頭で、こう書いています。
*
戦争を見つめることで、平和の意味を考え、逆境の中にあって、人間としての責任を全うする………。
この映画の主人公、B級戦犯、岡田資中将は、我々にこのことを教えてくれました。
戦争を体験した最後の世代の一人として、
この岡田中将の“遺言”を、明日を担う若い人々に託したいと思います。
*

そうですよね。

でも――。


私が出掛けた映画館は、
郊外の大手スーパーに隣接するシネマコンプレックス(複合映画施設)。

何本もの映画が幾つかの劇場にかかり、
それぞれ「若い人々」で賑わっている中、
私が入ったこの劇場の観客席は3分の1程度しか埋まっておらず、

しかも、
そこに座っているのは50代、60代、あるいはそれ以上の世代ばかりでした。


先達のせっかくの「遺言」を後世に伝えることの難しさを
まるで象徴しているかようです。


■場所/北名古屋市・自宅周辺 ■日時 2008.3.1 16:43:51 ■カメラ / NIKON D80 ■レンズ / SIGMA DC 18-50mm EX MACRO HSM ■データ / F9.0 1/500秒 ISO100 焦点距離50mm 露出補正-1.5 / シャッタースピード優先AE スポット測光


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
明日への遺言 (kawa)
2008-03-01 23:12:13
岡田中将、そういう人だったのですね。
戦争が、人を変えてしまうということなんでしょうか。
本も読まず、映画も見ないで、語ってはいけないですね。
返信する
それは… (kuma)
2008-03-02 01:00:54
 『天使の梯子』を撮られたから、余計にそう感じられるのですか?

 (注:雲間から、日が落ちてる様子を気象用語?で『天使のはしご』というそうです)
返信する
岡田中将。 (kawaさんへ)
2008-03-02 22:29:58
米捕虜を斬首した罪を問われたことに対して「唯一の責任者は司令官である私にある」と主張し、部下を極刑から守った岡田中将は、「絞首刑」という判決に、ひと言だけ「本望である」と答えました。その潔さを、私たちも見習わなければなりますまい。
返信する
「天使の梯子」ですか。 (kumaさんへ)
2008-03-02 22:31:56
いい表現ですね。
この映画を見た日に「天使の梯子」を見たというのも、何かの因縁かもしれませんね。
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