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〔映画〕旅路

1967年 東映東京 1h46(10月20日高槻松竹で鑑賞)
監督:村山新治 原作:平岩弓枝
出演:佐久間良子 仲代達也 宮園純子 悠木千帆 
 
NHKの朝の連続ドラマの映画化と聞くと大体どんなものか見ないうちに想像がつき、興味半減だが、原作が平岩弓枝ということを一筋の希望として見ることに。

で、結果、これはメラニーが主役の「風と共に去りぬ」ということが分る。

小樽駅に勤務する国鉄職員(仲代達也)と、見合いで結婚した妻(佐久間良子)の生活。妻は、愛にあふれた人柄で、夫や周囲の人だけでなく、路傍の人にも手を差し伸べる。

その結果、門前の捨て子を引き取って育て、ミルク代のために自分も働きに出る。 数年後、実母が取り戻しに来ると、万事胸におさめて、引き渡してしまう。

 このあと、夫の幼馴染で我が儘に育った女性(宮園純子=スカーレット)の登場。小さい町の中で、不倫では?の評判が立つが、ヒロインは夫を信じると主張し、噂を歯牙にもかけない。

ここが、メラニーを連想させる所だった。もっとも、当の夫は、何が問題かも気づいていない、よくいえば鷹揚、わるくいえば鈍感で、平岩弓枝の男性観察眼と仲代の巧みな表現とがあいまって、非常におかしかった。

これ以外にも、第3、第4の自分のことしか考えない女子が、何故か常に周りにいる。そして、それらが、一々非常に特色があって面白い。ということは、女主人公は、周りの利己的な女子たちのおかげで初めてドラマの主人公という地位を手に入れているいうことかも。

 実際「自分のことしか考えていない」と非難される人物(何を隠そう、私のことです)が、実は大きく見れば有益だったり、その逆にそういって人を非難し「自分ひとりが周囲の犠牲になっている」かのように思いこんでいる人物が、その不機嫌さで害毒を流していることもありうる。映画の佐久間は、そこは映画で、聖母マリアのように穏やかだったが。

 この作品は、映画としてはどうということはないが、この、スカーレットとメラニーが転倒するという、その発見が、おもしろかった。

 ちなみに、新しいシネマコンプレックス開業のあおりを食い、9月24日閉館に追い込まれた大阪千日前OSスバル座の最終興行演目は「風と共に去りぬ」だった。
 
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コメント
 
 
 
Unknown (ヒロヨ)
2006-10-24 20:39:50
数年前の山田洋次作「学校3」のモデルになったのは、わが枚方市出身の鶴島緋沙子「トミーの夕陽」です。鶴島さんは、瀬戸内寂聴の嵯峨野塾の塾生でいらっしゃって、かき集めたエッセイを本になさったのが、自閉症の息子を持つ作者と母親との生活ぶりを明るく社会に訴えている本です。映画はバブルが崩壊して、失業した中高年の人たちが職業訓練所で知り合った人たちの生活ぶりたっだようでした。映画上映の時には。町は有名になりました。鶴島さんは講演会を頼まれて走り回っていました。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2006-10-24 22:07:12
ヒロヨさま、こんばんわ。

「学校3」は、見てはいませんが、枚方が出てくるのですか?このシリーズは、その時々の社会問題を取り上げるので、ずっと後になって見ても、鑑賞に耐える物ではないでしょうか?10年後にまとめて見ようかと。

寂聴塾は着々成果をと上げているようですね。

瀬戸内晴美さんも、いくつになっても成長なさっているので、われわれも見習いたいものです。またいらしてください!
 
 
 
Unknown (ヒロヨ)
2006-10-25 20:30:03
枚方の町は映画には出てきません。鶴島さんの本がモテルになっていて、鶴島さんと息子さんの普段の生活ぶりを、山田監督、大竹しのぶや関係者が何回もお出でになったそうです。私たちは、寂庵で年に一回は鶴島さんとお会いするのですが、障害を持つ母親らしさは見られないほどの方です。この本は、どうも寂聴先生が山田監督に本を送るように提案したようだすよ。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2006-10-25 21:27:41
そうですね、障害者とかその家族の方々には、時として大層晴れやかな雰囲気の方がいらっしゃいますよね。苦悩に押しひしがれず、かえって鍛えられているわけでしょうか。大竹しのぶは女優としてなかなかのものだと、TVドラマ「恋人たち」のころから思っていましたよ。
 
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