映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【映画】パラダイス・ナウ
2005年 仏・独・蘭・パレスチナ 90分
鑑賞 @シネ・ヌーヴォ 07年5月29日
監督 ハニ・アブ・アサド
出演 カイス・ネシフ アリ・スリマン
原題 Paradise Now
【STORY】
パレスチナの幼馴染みのふたりの若者が自爆攻撃に向う48hの葛藤と友情を描く。
【感想】
「大声で怒りを叫ぶと観客は耳をふさぐだろう、そっとささやけば、観客は耳を澄まし、感じようとするだろう」と、アブ・アサド監督は語る。この映画は音楽が少なく、ラストは特に静かだ。爆破と阿鼻叫喚のシーンがあるかという期待は快く裏切られる。
私がまず惹き付けられたのはポスターだった。ひげと頭髪をきれいにそった、結婚式の晴れ着?姿の若者が二人、こちらをにこりともせずに見つめているその構図にただならぬ緊張感と美を感じた。出陣前の若武者のような。現に監督は日本の特攻隊員の遺書も読んだそうだ。
一方ではあえて散文的にして笑いを誘うのは、われわれもTVでよく見る「犯行声明」を録画するシーンだ。そしてアッと驚くのは、「最後の晩餐」のパロディで、イエス・キリストの席にこの二人が並んで座っている。床に土製のツボが一つおいてあるのまで、そっくり。
「映画という美しい文明で、戦争や軍隊という醜い文明に抵抗しようとしている」と語る、アブ・アサド監督。最近の欧米日の映画が、だんだんと騒音と暴力に満ちて殺戮シーンをこれでもかというくらいちりばめている時、(「TOMORROW WORLD」を見よ)現実に日々その恐怖にさらされているパレスチナで、この静謐な映画が撮られたことに、深い意味を感じる。
鑑賞 @シネ・ヌーヴォ 07年5月29日
監督 ハニ・アブ・アサド
出演 カイス・ネシフ アリ・スリマン
原題 Paradise Now
【STORY】
パレスチナの幼馴染みのふたりの若者が自爆攻撃に向う48hの葛藤と友情を描く。
【感想】
「大声で怒りを叫ぶと観客は耳をふさぐだろう、そっとささやけば、観客は耳を澄まし、感じようとするだろう」と、アブ・アサド監督は語る。この映画は音楽が少なく、ラストは特に静かだ。爆破と阿鼻叫喚のシーンがあるかという期待は快く裏切られる。
私がまず惹き付けられたのはポスターだった。ひげと頭髪をきれいにそった、結婚式の晴れ着?姿の若者が二人、こちらをにこりともせずに見つめているその構図にただならぬ緊張感と美を感じた。出陣前の若武者のような。現に監督は日本の特攻隊員の遺書も読んだそうだ。
一方ではあえて散文的にして笑いを誘うのは、われわれもTVでよく見る「犯行声明」を録画するシーンだ。そしてアッと驚くのは、「最後の晩餐」のパロディで、イエス・キリストの席にこの二人が並んで座っている。床に土製のツボが一つおいてあるのまで、そっくり。
「映画という美しい文明で、戦争や軍隊という醜い文明に抵抗しようとしている」と語る、アブ・アサド監督。最近の欧米日の映画が、だんだんと騒音と暴力に満ちて殺戮シーンをこれでもかというくらいちりばめている時、(「TOMORROW WORLD」を見よ)現実に日々その恐怖にさらされているパレスチナで、この静謐な映画が撮られたことに、深い意味を感じる。
コメント ( 12 ) | Trackback ( 0 )
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ただならぬ気配を感じさせて印象的ですよね。
観た人によって映画へのアプローチが異なる、
だけどそのすべてを許容する懐深い作品だと思います。
私はどちらかというと、冒頭に阿鼻叫喚のシーンがあるかと思っていました。
女性が検問を通る場面ですが、ハリウッド映画なら、おそらく「つかみ」としてカバンが爆発するシーンを入れてしまうような気がします。
たとえ映像の中の出来事であっても、いつしか騒音や暴力に慣れていき、何も感じなくなってしまうのも怖いことですね。
この二人にあって、特攻隊にないのは、各自が考えて、決断し、最後の実行に至ることだと思いました。<懐の深い映画>・・・そうですよね。それは、優れた作品のみが持っている特長かもしれません。
今晩は
コメント有難うございました
「パラダイス・ナウ」は7月20日で終了
しました。約2週間だけの上映でした。
京都シネマはミニシアターなので、作品
によって、上映期間が限られるので・・・。
機会を逃す事も多いです。
今は、「ヒロシマ・ナガサキ」が上映されて
いますね。この作品は今月末までは
上映予定のようです。
京都シネマの規模は(104+89+61)ですから大阪の第七芸術劇場(96)とシネ・ヌーヴォ(69+30)に似ているかも知れません。でも町の中心にある点で便利ですし、何よりきれいなんじゃありません?場末のいかがわしさなんか、少しもなさそうで、羨ましいです。
京都の映画館は、東寺の近くの京都みなみ会館と、祇園会館は行ったことがありますが、他は知らないんですよ。でも昔から学生の町で文化的な香がありますよね。
どうぞ今後ともよろしくお願いします。
冷戦以降、テレビドラマの「24」でもいいんですけど、ほとんど「悪」の存在が、テロリストや民族主義者や宗教過激派という扱いになっています。
それはそれで、愉しんでいる自分もいるんですが、世界はもっともっと複雑であることを、教えてくれる映画のひとつです。
コメント有難うございます。
娯楽映画では、戦後はドイツ人、それから「赤」つまりロシア人と大体決まっていましたが、考えないですむからでしょうね。
英語版のポスターにKAMIKAZEと書かれたものがありましたが
なるほど監督は特攻隊員の心情に通じるものを感じたのでしょうか。
自爆テロ自体は許されるべきものではありませんが
そこに至るまでの彼らの心の痛みがひりひりと伝わってきました。
***
ところで、鳥取の地震のニュースに真っ先にBiancaさんを思い出しました。
地理的な近さが体感的にわからないのですが...
どうぞ気をつけておすごしくださいね。
こちらにもコメント、TBもありがとうございます。
日本の特攻隊とは全然ちがうと、つい思いたくなりますが、客観的には同じなんですねえ。さらに北朝鮮の孤立ぶりは当時の我が国と同質なのでは、とも思えてきます。
地震、家の中では揺れが続いて怖かったそうですが、私はたまたま電線もなければ人や車もいない山の道を歩いていて、全然それと気が付きませんでした。夜帰宅してびっくりし、「鈍感なのか大物なのか」と笑われてしまいました。お見舞いありがとうございます