goo

映画「ちいさな哲学者たち」

右端に唯一の黄色人種がいる。この子は、ずば抜けて賢こそうだが「黒人より白人が好き」と人種的偏見を持っている。

2010 仏 レンタルDVD 監督 ジャン・ピエール・ポッジ
原題 Ce n'est qu'un debut

フランスでは大学入学資格試験に哲学があるらしい。ボーヴォワールも、作家になる前は高校の哲学の教師で、その授業は、生徒たちと一つのテーマについて議論して、親に吹き込まれた偏見や先入観をひとつずつ取り除いてゆく、生き生きとした実りの多い授業だったと自伝にある。

その楽しい哲学とはどういうものだろうかと、ずっと思ってきた。私の場合、単位をとるために受けた哲学の講義は退屈で眠気を抑えられず、成績も落第すれすれだったのであまりいい印象はない。

この映画では高校生どころか、3-5歳の子供が哲学の授業を受けるのである。政府の政策により、公立幼稚園で、園児は貧しい階層や移民が大部分で、特別な才能の持主はいない。中東、アフリカ、東アジア系も混じり、白人は少数だ。かれらのあどけない唇から「愛、死、自由、束縛、知性」等の言葉がもれる様子は感動的だ。

これを見て解るのは、哲学とは、読み書きもできず、学問上の知識も生活経験も無い状態でも、ことばと脳、適切な問いかけさえあればできるものだということだ。(ついでにマッチとローソクも?)

終わりに「哲学は好き、考えることは面白い」「小学校に行ったらこんな授業はなくなるのかな」という子供が印象的だった。

日本の「ゆとり教育」も、例えばこういう授業を理想にしていたのではないだろうか。もっとも哲学教育の伝統のない日本の場合はまず大人が「考える」習慣を持つことが先決だろう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 二宮金次郎 「女囚52号の... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。