乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

人魚 人魚を食する者ハ延命にして、死を知らず、疫病を攘(はら)ひ、悪流行病ひを消除して、其気(き)をうけずと云う

2021-04-23 | 変体仮名見むとするハいとをかし

人魚、アマビエを超えたり。の巻

 

人魚

にんぎよ

早稲田大学所蔵

 

←右下

往昔(いにしえ)より人魚と号(なづけ)、時々世に観物場(みせもの)となす物、是迄許多(あまた)有(ありと)雖(いえども)、其真と

極南(みまゐはて)の地より、紅毛人(おらんだじん)東洋(とうよう)に趣(おもむ)く、発帆(ふなで)の節(おり)、應帝亜(いんであ)に腐(しよく)する咬𠺕吧(しやかるた)の海(かい)

侭に、唱(となへ)にする事、告非て、推量(おしはかり)状(かたち)を作る贋物多(おほ)し、洽(あまね)く鬱悒なき詐(いつハり)を以て、婦人(ふちん)

童蒙(とうもう)を欺(肉付きに満のさんずいを抜いた文字 あざむ)者なり。抑今般(こんぱん)、舶来の一種は亜弗利加州(あふりかしう)渇叭布蘭土(かつふらんど)と言える

極南(みまゐはて)の地より、紅毛人(おらんだじん)東洋(とうよう)に趣(おもむ)く、発帆(ふなで)の節(おり)、應帝亜(いんであ)に腐(しよく)する咬𠺕吧(しやかるた)の海(かい)

中(ちう)にて、檎得(とりえ)しと云物是也、物産(ふつさん)博学(はくがく)の諸先生(しょせんせい)に就(つひ)て、鑑定(かんてい)を乞ひ、疑(うたが)ひ

なき真(しん)の人魚なるへしとなり、寔(よかてい)に稀代(きだい)の珍物、江湖上(よのなか)に現れて、諸人(しよにん)の眼(め)に

触ん事、太平の恩澤(おんさゝ)に浴するの潤徳(じゆんとく)ならん、翼(こひねが)わくハ、奚(あなどり)落(たまハ)ゐ図、一看(ひとめみ)て、虚実(きよじつ)

認賜ふ看官ハ、穿定(せんちやう)ならんことを俟(まち)て、永く後世の談柄(はなしのたね)の残(のこ)さんと欲るのこと

 

叭 (ラッパという意味)

咬𠺕吧(しやかるた)ジャカルタ

看官(かんかん)見る人

 

          ↙︎上 

山海経(きやう)に曰(いはく)、東南(とうなん)の海中(かいちう)に底人國(ていじんこく)有、

人魚(にんぎよ)を出(いだ)すと然々(しか/″\)、異物(いぶつ)しに曰(いふ)人魚、長さ

尺餘、頂(いたゞき)の上(うへ)に小穿あり、気中より出ると

云ふ、本草(ほんそう)網目(うらもく)に曰(いふ)人魚と称ずる者

二種あり、曰(いハ)く、䱱魚(ていぎよ)曰(いハ)く鯢魚(けいぎよ)と見えたり、

䱱魚(ていぎよ)ハ 一(いつ)に垓児魚(かいしきよ)と言、山生魚(さんしやうきよ)と訓(くん)ず、

鯢魚(けいぎよ)ハ格物論(かへぶつろん)に女鯨(めくじら)唱へて、倶(とも)に世に云

人魚の類にあらず、博物志(はくぶつし)に曰、

鮫人(かうひとず)ハ 鮫客(こうかく)水神とも号(なずく)、又、一種

山客(さんかく)と云者、猩々(しやう/″\)「たつひ」倶(とも)に異(い)

説(せつ)区々(まち/\)なれども、人魚にハあらず、

世に不老延年長寿(ふらうえんねんてうじゆ)の薬

なると云うものハ、此人魚なり、

相傳(あいつたへ)て言、人魚を食する者ハ

延命(ゑんめい)にして、死を知らず、

子児(こども)ハ眼に見るのみに

して、疱瘡(ほうさう)麻疹(すいしん)

を患る事なし、若(もし)

悩者も、必経しと云(いへ)り、

若者ハ食せずとも、唯(たゞ)

見るのみにして、疫病(えきやみ)を

攘(はら)ひ、悪流行病(あくさせやりやま)ひ

を消除(しやうしよ)して、其(その)気(き)を

うけずと云(い)う 斯蝕(かくのふ)ある

物なれバ、雲顧諸(くものしよ)

君、令即令愛(むすめご)を誘(「推冠に乃」いざな)日、

交加(ゆきかひ)の序(ついで)、駕(が)を賜(たまわ)ば、

者益(うまき)の一端(いつたん)ともならん

かと、市中(しちう)に於(おゐ)て、一覧に

蝕(そな)ふ先前(さき/″\)、恭啓(ごひろう)有て

高評(こうひやうばん)預(あずか)らバ、幸(さいハひ)甚(はなはだ)

しかどんとしかいふ

  未夏吉旦

 

䱱 (てい)サンショウウオ

鯢 (けい)オオサンショウウオ

鮫 (コウ・キョウ)さめ

駕 (が)かご

未夏吉旦 未詳(版元に近い名前はあった)

      吉旦は、よい日。吉辰 (きっしん) 。吉日 (きちじつ) 。

 

 

世に不老延年長寿(ふらうえんねんてうじゆ)の薬

なると云うものハ、此人魚なり、

相傳(あいつたへ)て言、人魚を食する者ハ

延命(ゑんめい)にして、死を知らず

子児(こども)ハ眼に見るのみに

して、疱瘡(ほうさう)麻疹(すいしん)

を患る事なし、若(もし)

悩者も、必経しと云(いへ)り、

若者ハ食せずとも、唯(たゞ)

見るのみにして、疫病(えきやみ)を

攘(はら)ひ、悪流行病(あくさせやりやま)ひ

を消除(しやうしよ)して、其(その)気(き)を

うけずと云(い)う 斯蝕(かくのふ)ある

物なれバ、雲顧諸(くものしよ)

君、令即令愛(むすめご)を誘(「推冠に乃」いざな)日、

交加(ゆきかひ)の序(ついで)、駕(が)を賜(たまわ)ば、

者益(うまき)の一端(いつたん)ともならん

   とは・・・・・・・・・・。

   人魚、アマビエを超えたり。

 

 

アマビエはこちらアマビエ  当年より六ケ年の間諸国豊作也、侃  病流行、早々私写シ人々二見セくれ

 

 

早稲田大学所蔵

早稲田大学図書館 (Waseda University Library)

文庫10 08008 0003

広告・商標類 引札
西垣武一旧蔵

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