乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

京都サンボア

2013-06-07 | お出かけ
(表面張力ぎりぎりまで、ぴったしの量で注ぎ込まれなカクテルでしたが…我慢出来ず二口チュチュ。おいしぃい~☆そのあと写真を撮りましたm__m悪しからず…)



 

 



 文化博物館や料理や買い物を堪能したあと、寺町の京都サンボアに入る。
 ここは、学生時代に独りで入ったきり、かれこれ三〇年余りたつ。
 独りで入ったサンボアは今回、娘と二人。
 紳士社会の中に、突然飛び込んだ阿呆な女ども…と言った感じ。

 サンボアのかすかに開かれた小窓の端っこからは、そくさと歩き或はニコニコガヤガヤと歩く新京極や寺町とは別世界な感じ。
 この感覚は能楽堂に似ている小気味の良い異空間
 但し、上にも書いたように、女性には不向きなる神聖なる酒社会
 男に生まれて、独りでゆっくりとした時間と空間を楽しみたいと、痛感する。

 荷物は後方の小机に置く。
 サンボアのカウンターに座る。
 メニューは無い。
 わたしは十代にもお願いしたドライマティーニを注文。この店はそれしか知らない。

 そもそも、この店のドライマティーニの伝授者は作家開高健(といっても、当然小説の話)。
 ドライマティーニを楽しみ、オリーブを口に含み、種は「ペッ!」と、床に落とす。
 この店では種などは床に落とすと言われているが、勇気がない。
 三〇年前も今回も床には塵一つない。

 以前も開高健を疑う訳ではなかった。
 しかし一女子大生といった若造が板張りのお掃除された床を汚す事に抵抗があった。
 但し、わたくしとて、ペッペとやってみたい。
 パリやマドリッドで実行。サクランボとはいかないまでも、二月の寒空のもと、果実の種をペッペと捨てて格好を付けたものだ。(ゴミ、捨てるな!の声が心の中でこだまする)

 学生時代に女の若造の入って肩身の狭い思いをしたサンボア…これはわたくしにとって貴重であり、良い思いで。
 あれからわたくし、もう少しカッコいい女になっている予定だったが、さにあらず。
 安部公房と会話すことさえ気おくれしなかったわたくしだったが、今やただのさえない主婦
 退化はさけられないぞ! 内なる悪魔の声に、鏡を見てはほくそ笑む。今や!五十○女☆良い歳を重ねているぞ!と、天使の声。

 しあわせな家族に恵まれ、こうして三〇年前の時をよみがえらせる勇気を持っている。
 協力者である娘の存在も大きい。
 仕事にもかかわらず、わたくしたちを遊ばせてくれる夫の包容力も有難い。
 生まれ育った京都に触れる事が可能な今の境遇に感謝する。

 京都のサンボアのカウンター越しには、いろんな酒。
 伏せられたピカピカにグラスには、マスターの思い入れを感じる。
 重厚で機能的なの焦げ茶の二段の棚にも、グラスやボトルが並んでいた。だが、なぜかしら、その中にクローブ(スパイス)の小ビンあり。
 そして、おびただしい数の年代を重ねた栓抜きがかけられている。わたくしはそれを漠然と眺める。

 眺める事は善である。
 静かに、会話なく眺める。
 わたくしもこの空間の楽しみ方が理解出来たような瞬間だった。
 男の遊びは高尚だと、今更ながらに感じた瞬間だった。

 店内には黒電話二機
 一つは壁にかけられ、一つはカウンターの上
 カウンターの客側には手すりが横たわり、マスターと客との小気味の良い距離感を感じる。
 舞台と枡席の隔たり具合を思い出す。

 マスターは言葉少な
 ご自身も酒を楽しまれている。
 楽しみながら、客を洞察
 カウンターの手すりを隔てて、マスターと客とが精神的チェスをする。

 店内には京都人の老紳士は新聞を読み、もの静かにビールを舐める。
 グラスが空くと、コースターごと無言でマスターに差し出す。
 マスターも無言。小ビンの尖を抜き、静かにビールをつぎ、無言で差し出す。
 紳士は、またビールを舐め時間を舐めながら、何事もなかったように新聞を読む。

 ドライマティーニをちびちびと舌なめずりする。
 ここにきて酒の弱いわたくしは、娘に引き継ぎを申し出る。
 一旦娘のまえにおいたドライマティーニだったが、あまりにも味がうまいので、娘に何度もお願いする。
「もう一口飲ませて…」

 カクテルグラスは娘とわたくしの間を行ったり来たりする。
 口の中はカッ!と焼き付くように熱いのだが、甘くて上手い。
 吾が酒の弱さを恨む。
 カクテルグラスは薄暗い店内でひかり輝く。
 
 

 


              京都サンボア   
              京都市中京区寺町通三条下ル桜之町406 
              075-221-2811  
              1926(大正15)年 創業
              (京都最古とか日本最古とか文豪たちはこぞって記す)



コメント (4)
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四条祇園~岡崎~出町「ふたば」で、懐かしいお味の柏餅味噌餡に出会う。

2013-06-07 | お出かけ












 ここのところ京都に帰る事が多い。

 先月の二十九日は家族の仕事に便乗して、京都に行く。
 まずは、祇園饅頭で柏餅味噌餡を買い求むべく、京阪の祇園四条(以前の四条京阪)で下車。
 ところが、南座の五月花形歌舞伎も千秋楽を迎え、次の興行予定は翌日。
 南座閉館日のため、祇園饅頭はお休み。
 ショックは隠せない。

 柏餅味噌餡は五月の初旬から二度、二十個入りと十個入りを土産に買ってきてくれた。
 家族はわたくしの味噌餡好きのため、仕事日には京阪を途中下車して、祇園饅頭に立ち寄ってくれていた。
 まずは四月末頃、いくら四月とはいえ。味噌餡は五月からと言われたそうだ、残念s!四月にも祇園饅頭に振られていた(笑)

 二十個入りは連休直前。
 ちょうど息子が連休を利用して帰ってくるので、多めに買ってきてもらい、味が多少落ちるのを覚悟で一個一個丹念にラップに包んで冷凍保存。
 自然解凍すると、割合に美味しかった。

 十個入りはおおかた、半分以上はわたくしがいただいた。
 家族御免って感じ(*^^*)


 そうしてわたくしも便乗した五月下旬(二十九日)
 祇園饅頭が休日だったので、レストラン菊水でランチをいただく。

 いろいろな洋風おかずが品良くお皿に乗り、マリネ風を装うドレッシングヅ会が多い。
 場所柄観光客や外国の方も多いが、地元民も多い。
 ポタージュがついていたが、かなり濃厚なお味で、家で作るくらいに素材の味が濃くって上手い。
 季節柄、鱧も二切れ。これもドレッシング風梅肉ソースで、やはりドレッシングの使い方が良かった。
 お手頃価格。
 どこか京都の洋食屋さん風で、懐かしい気がする。
 立地条件も良く、いい感じ。

 家族はお仕事だったので、彼は直接京阪へ。
 わたくしひとりで市バス46系統に乗り、京都市立美術館『リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝』を楽しませて頂いた。

 夫に感謝!感謝!
          展覧会の詳細は後日記録。


 
 美術館を堪能した後、京都観世会館の前をぶらぶら散歩。
 なんだか、嬉しい!

 

 京都観世会館の 向って右横には、有隣館
 有隣館は民間の美術館では日本最古らしい。

 

 
 藤井斉成会有鄰館

藤井斉成会有鄰館は、京都市左京区岡崎にある、中国の古美術が中心の私立美術館。1926年に開館。

財団法人藤井斉成会は、滋賀県出身の実業家藤井善助(1873年-1943年、藤井紡績創業者)の東洋美術コレクションを保存展示するための機関として大正1926年に設立された。日本の私立美術館としては草分けの1つである。

京都市登録文化財の建物は地上3階建てで、屋上に朱塗りの八角堂を乗せた東洋風の展示館は設立当初からのもので、展示室内部も昭和初期の雰囲気をとどめている。建築設計は武田五一。

国宝 1件、国の重要文化財 9件を含む所蔵品は、中国の殷(商)から清まで各時代の青銅器、仏像、書画、陶磁器など多彩である。珍しい収蔵品として人口に膾炙しているものは、科挙試の際に使用されたとされる、カンニング用の下着である。

一般公開は原則として、2月-7月、9月-11月の毎月2回(第1・第3日曜)12:00-15:00のみ。
藤井斉成会有鄰館(ふじいさいせいかいゆうりんかん)
開館時間
12:00-15:00
075-761-0638
入場料
本館
大人 1,000円  高校生以下 800円
第2館
大人 400円  高校生以下 400円
〒606-8344
京都府京都市左京区岡崎円勝寺町44番地



 岡崎をてくてくと歩いた後、市バスに乗り、京大の医学部前や吉田寮の前を通って、出町柳に行く。
 
 家族と待ち合わせまで小一時間あったので、出町商店街や下鴨神社近くを歩く。
 出町柳のふたばに直行。
 この店は豆持ちが有名で、この日も長蛇の列。
 だが、わたくしは今回あえて、柏餅の味噌餡十個と、水無月の黒(黒糖)を三個購入。

 後ろに並んでいらっしゃった身なりの良い老婦人は、豆持ち二個を二組購入されるとおっしゃる。
 二組と言うのは、ご近所へのお裾分けらしい。
 何でも真如堂近くの方だそうで、素晴らしい地にお住まいであるとほめたたえる。
 わたくしはあの辺りも大変に好きだ。

 ふたばの水無月黒糖は昔ながらの大きさでずっしりしていた。
 黒糖は少し薄く、白砂糖も混ぜて使われている。
 餡子は甘さ他絵目で、照りは薄い(水飴は少なめ)

 柏餅味噌餡はわたくしは幼い頃に慣れ親しんだお味に近い。
 昨今、赤い味噌餡を使用する店が多いが、ふたばでは、昔ながらの白餡が使われ、とても美味しかった。
 これならば、来年からは出町商店街まで出かけようと心に決める。
 柏の葉は裏返しにはされてなかったが、白みそ本来の甘さと香は極上。庶民のお菓子。

 嬉しいお味の再開で、京都の一部分を取り戻した気さえした☆

 

 






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