行きかふ年もまた旅人なり

日本の歴史や文学(主に近代)について、感想等を紹介しますが、毎日はできません。
ふぅ、徒然なるままに日暮したい・・・。

映画・赤壁の戦い

2008-10-26 18:02:09 | Weblog
 空前のスケールで映画『レッドクリフ』が話題となっている。
 赤壁の戦いは中国統一を目指す魏が、呉を主力とする劉備軍との連合軍に敗退した事実である。この戦いで大いに大敗した魏の曹操だが、すぐさま戦線を西に向けっていった。
 赤壁の敗戦に際し、既に華北の地で病死していた郭嘉を偲び、「郭嘉さえ生きていればこのような敗戦はしなかったろう」と嘆いたのは、正史・郭嘉伝だったか、出典が怪しい。三国志は正史と演義があり、日本では演義の方が有名である。しかし、本来の歴史は正史であり、演義はあくまでもフィクションであり、娯楽性を追求したものだ。諸葛亮の智謀の冴え方が異常に脚光を浴び、「天才軍師」の名を欲しいままにしているが、曹操が諸葛亮を恐れていた事実はどこにも無い。また、五丈原の戦において、持久戦に持ち込む事で勝利を抑えた司馬懿が勝者であり、彼の方が「天才軍師」であろう。しかし、諸葛亮を贔屓するのは、その清廉潔白な人柄のためであろう。旧主君劉備に対し、共に建国した蜀のため、前王朝を引継ぐ漢帝国の再興を掲げ、志半ばで逝った人物はより悲劇的で、こうした人物を民衆は好む。対する曹操は、合理的で感情に流されて判断が誤る感が薄い。最後まで皇帝にならなかった処もまた彼の底知れない知力を感じる。また、司馬懿は、後年魏から権力を簒奪し、子の司馬師、司馬昭、孫の司馬炎で晋を建国し、三国時代にピリオドを打ったが、印象が悪い。
 ・・・さて、この映画はどうだろうか?
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