urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

鯨統一郎『「神田川」見立て殺人』小学館文庫

2006年04月06日 | reading
ネタバレ注意。 くだらねー(笑)。70年代歌謡曲をモチーフにした鯨バカミス。「見立て殺人」とは銘打ってますが勝手に捜査側がこじつけてるだけで、その歌詞の矛盾をヒントに解決、しかしラストでは超常現象にさらにこじつけてすべてを有耶無耶にしてしまう、と。それが「勝手にしやがれ」や「UFO」など9曲分。話の流れを細かい部分まで同じにして、モチーフだけ入れ替えるってのはこの人の常套手段。連作としての落とし . . . 本文を読む

芳崎せいむ『金魚屋古書店③』小学館IKKIコミックス

2006年04月05日 | comic
お久しぶりの3巻。 就活終わって以来IKKIを買う習慣もなくなっていたので、未読の作品が多かったのですが…うーん。プロットがブレてたり、台詞があまりにも狙ってたり、今までより完成度が低いと感じられる作品が目立ったような。時期的に産みの苦しみがきているのかもしれません。「金魚屋日記」の回もファンサービスめいて感じられてしまいました。てかぶっちゃけ、この2人にはくっついて欲しくなかった…こっちの「あゆ . . . 本文を読む

ひぐちアサ『おおきく振りかぶって⑥』講談社アフタヌーンKC

2006年04月05日 | comic
6巻が出ました。 引き続き、西浦vs桐青の熱戦です。相変わらず細やかな描写力は発揮され、独特の間と相俟って、この巻ではなんか叙情的な印象さえありましたね。熱戦ではありますが、もっと汗臭くてもいいんではないか、なんてことを思ったり思わなかったり。濃密な試合に花を添えるルリ萌え。 あとこの巻、丸ごと一話なんだけど。隔月連載? 月刊でこの分量ならアホだろ。もっと描線丁寧にした方が…青木の顔とか割と酷い。 . . . 本文を読む

森絵都『永遠の出口』集英社文庫

2006年04月02日 | reading
ネタバレ一応注意。 いや、結論から言うとね、やっぱり森絵都は凄いんですよ。しかし良い本を二冊続けて読むとなにか後ろめたいような気持ちになってしまうのは、多読派の歪んだ性なのでしょうか。言うほど読んでないけど。 で、期待通りの素晴らしい作品でした。主人公の少女の小学校三年生から高校三年生までの生活を、連作形式で描いた作品。清廉な感情も、ひやりと鋭い悪意も、胸をつく切なさも…およそ青春小説のすべてが . . . 本文を読む

法月綸太郎『怪盗グリフィン、絶体絶命』講談社ミステリーランド

2006年04月02日 | reading
ネタバレ一応注意。 法月のミステリーランドは、知的でポップな怪盗活劇。本秀康のイラストもはまりまくり。 あとがきもなかなかかっこいいですが、こういう純粋エンタテインメントを志向した作品ってミステリーランドになかったような気がするので、素晴らしい試みだと思います。何も考えずに読んでも一級の面白さですが、法月らしいロジックやユーモア、毒、どんでん返しが横溢し、さらには美術史や人類学的な妙味も端整に融 . . . 本文を読む