urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

L’Arc~en~Ciel 『AWAKE』 その①

2005年06月21日 | listening
ラルクの新譜を買うのは多分『ark』『ray』以来。
今聴いてるので、レヴューを書く前にこのバンドに対する僕の思いを(中学の時共にラルクをおっかけた友人もコメントくれてるし)つらつらと。

ラルク・アン・シエルは僕の中学時代を象徴するバンドである。
『true』からハマってひたすら聴き続け、活動休止から復活もリアルタイムで見届けた(発売日翌日の芋煮会で「虹」の感想を語り合った興奮は今も憶えているよ>鼻毛ハイビスカス)。人生で初めて行ったライヴも『HEART』のツアー@山形県民会館だった(この日はフランスワールドカップのアルゼンチン戦だったなあ)。原くんチケット売ってくれてありがとう。ほら、もう思い出が止め処もない。
小室ファミリー全盛のなか、大衆文化に迎合すまいとした少年は、少年なりの感性で「カッコイイ」ものを選び取っていたのでしょう(それがミリオン・ヒット・アルバムだったのはやはり中坊なのだが)。同時にGLAYとかも聴いていたのはこの際目を瞑ってくれ。

少年、その選択は正しいよ(GLAYなんてもう目も当てられないぞ)。

でも僕はその後、ラルクから離れてしまう。中村一義とかバンプ・オブ・チキンとか、より商業的なニオイのしない音楽へと向かっていったのだ(「商業的」だなんだという軸は単なるパブリックイメージの話として)。一時期モーヲタだったことにもこの際目を瞑ってくれ。乱発される音源にあまりピンときていなかったのも大きいかもしれない。実際、僕は「flower」のイントロを越える感激に以降出会えていなかったのだ。
そうして僕がそれらを経由してイースタン・ユースという絶対のベスト・バンドと出会い、またそれなりの数のロック体験を重ねている間、かつてのベスト・バンドは活動を停滞させ、メンバーはソロ活動へと向かっていた。

さて、ラルクとの再会、正確にはその「華」の塊のようなヴォーカリストとの再会は、2003年のロック・イン・ジャパン・フェスティバルだった。僕は当時結構ストイックなロックファンだったと思う。氣志團を見ずにハナレグミを聴いたし、DAではなくバインで一日を締めくくった。いや、氣志團もDAも好きで、単純に身体が二つなかっただけだが。そういえば当時、心を閉ざしていてごめんよ(当人だけ分かってくれ)。せっかくあの広大な会場で出会えたというのに(笑)。あーあとテツヲくんもお世話さまでした。
で、そうhydeの話だった。その年のジャパンフェス一日目には一組シークレットの出演者がいた。イエモンじゃないかとかくるりじゃないかとかワクワクな噂を耳に入れつつ、僕と友人はグラスステージの後方にいた。中村一義でモッシュの波にもまれ、ゴーイングを見にレイクを往復していた僕たちは早くもお疲れモードで、HYの「いーやささ」の声に掲げられる何万という手の波を「すげーなー」とか言いながら見ていた。次もしくるりだったら最前まで突っ込むから、その体力を温存しよう、と思っていた。

NEXT ARTIST IS…

電光掲示板がその表示に切り替わり(うろ覚えだけど)、確かに会場は一瞬静寂を落としたと思う。

hyde

まったく予想もしていなかった、けれどとても親しい名前だった。
腹の底になにかとても気持ちいい興奮が湧き上がってくるのを感じた。
過去のある三年間、僕はこの人の声をばかり聞いていたのだ。
会場にはとても複雑な歓声が溢れている。忌憚なく言えば失望の含まれた声。ステージに走る人たちと同じくらいの、ステージを後にする人たち。
でも僕は、湧き上がる快感に従った。「前行ってくるわ」と言い置いて、僕はかつてのベスト・バンドのヴォーカリストのステージに走った。

白いシャツに黒いネクタイを無造作に下げていた。黒いギターが良く似合っていた。
その頃のhydeはソロ二期とでも言うべき時期で、曲もポップなものでなく、彼のマニアックな志向を強く押し出したものとなっていた。
多分、シングル曲「HELLO」しか、誰も知らなかったのではないか。全編英詞で、ラルクの隙のないサウンドワークとは趣の異なる、塊のままゴリゴリと吐き出されるようなロックだった。ステージ前でさえ、戸惑いの色も濃かったように思う。だがhydeはかっこよかった。「サンキュー」のみのMCはアウェイを意識していたのかもしれないが、手扇子ではなく拳が挙がる環境を楽しんでいるように見えた。そして彼は最後、中指を立ててステージを去った。それはなんというか、さまざまな要素を含んで混沌としたこのステージを共にした観客に対する、最大の敬意を表したもののように感じた。なんて画になる男なんだと思った。その姿は正直、舞い落ちる羽の中で唄う彼よりも、ずっと。

なんだ俺は、ずっとロックを聴いていたんじゃないかと、その時思った。


とかなんとかかっこいい風に書いてみましたが、それ以降例えば『SMILE』なんかも僕は聴いていないわけです。でも今回『AWAKE』に手を伸ばした直接の要因はと言うと…よく分かりません。先行のシングル群がテレビで流れているのとかを聴いて、とても気持ちのいい曲だなあ、と思うことは多々ありました。それに昔は曲聴くだけで作曲が誰か言い当てられたのに、それができなくなっていることに気付いたこともありました。まあ多分、年をとると故郷に帰りたくなるものなんですよ、きっと。
というわけでレヴューはもっと音を聴いてから。取り敢えずtetsuのベースの凄さに今になってやっと気付いた(中坊の時もかっこつけて「ラルクはベースだよ」とか言ってた気もするけど)ということだけ、書いておきます。
まあ気長にお待ち下さい。

B0009IH16YAWAKE
L’Arc~en~Ciel

曲名リスト
1. New World
2. LOST HEAVEN
3. 叙情詩
4. TRUST
5. Killing Me
6. AS ONE
7. My Dear
8. EXISTENCE
9. 自由への招待
10. Ophelia
11. 星空
12. twinkle, twinkle

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4 コメント

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聴いた。 (井上研)
2005-06-23 13:32:06
未だ『ダリ繭』読み終わらず。



「SMILE」以降、ロマンティックな路線が続いていますな。

tetsuの音を一言で言い表わしますならば、”セクシー”だ、と井上は思っています。多用されるスライドとグリッサンドが生み出す”うねり”こそがtetsuのtetsuたる所以ではないかと。
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Unknown (高桑敏裕)
2005-06-23 15:02:42
自分の好きな音ってのも判ってきたんだけど、僕はどうしても歌詞を聴いてしまう。ラルクの最大の魅力はhydeの、這いつくばってみっともなく、でも透き通って美しい歌詞だと思ってるんだけど、歌詞についてはどうなの?

お前、演奏とかしたことないだろ、と云われればその通りなんだけどね。



アーティストのどこに魅力を感じるかという問いに答えてみたら、好きなアーティストの上から6組目まで「歌詞」だった(笑)。
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夏の憂鬱 (鼻毛配備透かす)
2005-06-23 23:18:16
聴いたね、うんうん。かなり聴いたね。

ポスター買ったね。サンクスで予約して。

ライブ行ったね。俺秋田で試合だったから、ギリギリまで待たせてしまったっけ。

カラオケで歌ったね。でもあの声は出せなかった。

修学旅行のお土産も、なぜかほとんどがラルクグッズ。社長はビーズだったけど。

思い返せばラルクな中学時代。

なんか無性にききてぇよ。

サクラのせいで発売されなかったあの曲。

ききてぇ。
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わーいコメント一杯。 (Urt)
2005-06-24 00:24:47
>井上さん

うひーなんか慌しくてあんまりじっくり聴いてないんですけど、あんなに音階が移り変わるベースラインってなかなかないんじゃあないでしょうか…て素人なんで印象論ですが。



>高桑さん

歌詞はあんまりだけど好きなバンドってバックホーンぐらいだから、そのお気持ちはよく分かります。這いつくばってるかどうかはあれですが、印象論では以前より普遍的な歌詞になってる感じでした。また詳しく書きます。



>鼻毛

なんかHN引っ張らせたみたいですまぬ。つか懐かし過ぎるだろ!不覚にもウルっときてしまったよ。修学旅行の話はイタ過ぎるから書かないでおいたのに(笑)。帰省したらポスタまだありました。俺『true』もまた買い戻したよ。BOOKOFFで750円。
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