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「財政再建団体」とは?-夕張市の財政破綻の原因をどう考える?-

2006-12-14 21:18:01 | 国内政治
夕張市の財政破綻の原因をどう考える?

 〈問い〉 夕張市議会が9月末「財政再建団体」の申請を決議しました。財政破綻(はたん)の原因と責任は何ですか?(宮城・一読者)

 〈答え〉 夕張市の財政破綻は6月20日市長の財政再建団体の申請表明によって表面化し、9月末の市議会で申請を決議し、再建計画案の策定が本格化しています。

 政府、マスメディアは、破綻の原因としてその場しのぎの会計操作、隠れ借金の温床=一時借入金でのやりくり、さらに経済産業省らがつくった産炭地基金からの借入=「ヤミ起債」をあげ、自治体の乱脈経営をついています。

 しかし、「炭都」といわれた夕張の場合、22あった炭鉱が次々と閉山に追い込まれ、閉山処理として、住宅、病院、水道、道路などの社会基盤投資に588億円(うち起債332億円)を要し、市財政を圧迫しました。

 その歴史的構造的原因をぬきにして、結果としての操作を原因にあげる指摘は一面的です。

 さらに市が行財政改革で17億円の節減をはかったのに、自公政治による「三位一体改革」地方交付税等削減は23億円にものぼり、これが産炭法の失効(共産党は反対)とともに市財政にとどめを刺しました。

 たしかに夕張市の観光開発にゆきすぎがあったのも事実です。共産党市議は一貫して過大さの問題を指摘するとともに、3年前の市長選挙で党公認候補をたてて身の丈にあわぬ観光拡大の転換を提言しました。自公民のオール与党体制の下でも市民の立場でチェック機能を果たしてきたのです。

 これから再建団体になると、公共料金の値上げ、職員と人件費の削減、公共事業や投資的経費の抑制、第3セクターへの支援後退など、サービス低下の危険があります。

 夕張市の場合、赤字規模は260億円と標準規模の6倍になるだけに、長期にわたる「再建」が強いられます。

 すでに、夕張市の第3セクター「石炭の歴史村観光」が運営する10施設は10月15日休業しましたが、来季再開のメドはたっていません。これで320人の失業が出ました。市立病院の縮小・民営化により、地域医療の後退が懸念されます。財政再建計画とともに、道の支援により市民生活の再生計画と雇用計画が求められます。(忠)

 〔2006・11・1(水)〕

(出所:日本共産党ホームページ 2006年11月1日(水)「しんぶん赤旗」)

「財政再建団体」とは?

 〈問い〉 夕張市が「財政再建団体」を申請しましたが、財政再建団体とはなんですか?(埼玉・一読者)

 〈答え〉 市町村などの地方自治体が財政赤字に陥った場合、国から「財政再建団体」の指定を受けて、赤字の解消を行う地方公共団体のことです。

 法律(地方財政再建促進特別措置法)では、赤字額が一定額(都道府県は標準財政規模の5%、市町村は同20%)を超えた場合、財政再建団体(正式には準用財政再建団体)の指定を受けることができます。

 戦後復興に大きな財政負担が強いられた1945年(昭和20年)以降の十年余、多くの地方自治体が歳入不足に陥り赤字に転落しました。この事態を打開するために、55年の臨時国会で「地方財政再建促進特別措置法」が制定され、588団体(18府県、570市町村)がこの法律にもとづいて再建団体になりました。

 直近では福岡県赤池町(現・福智町)が92年度に準用財政再建団体となり、01年度に再建が完了しています。

 北海道夕張市は今年6月20日、市長が市議会に財政再建団体入りの意向を表明し、来年度に国の指定を受けたいとしています。

 赤字団体が国の指定を受けて財政再建する場合には、(1)議会の議決を経て総務大臣に指定の申請をする、(2)財政再建計画を作成し議会の議決を経て、総務大臣の承認を受ける、という手続きが必要です。再建団体になると、公共料金の値上げや独自の福祉施策の廃止・切り下げ、職員と人件費の削減、建設事業の中止・抑制――など住民サービスの低下の危険があります。

 一方、国や都道府県には再建団体に協力する義務が生じます。総務大臣は「行政について合理的かつ妥当な水準が維持されるよう配慮するもの」との規定もあります。承認された場合の財政支援措置としては、一時借入金について政府資金の融資斡旋、借入金の支払利子および退職手当債についての特別交付税措置、地方債の発行制限の解除などがあります。

 地方自治体の財政の悪化は、それぞれの自治体の独自の事情のほか、90年代の国による景気対策等での地方公共事業の急増と税収減、特に、最近の「三位一体の改革」による地方交付税の大幅削減が大きな要因となっています。(小)

 〔2006・8・19(土)〕

(出所:日本共産党ホームページ 2006年8月19日(土)「しんぶん赤旗」)
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消費税アップすれば富裕層から多くの税が入る?ー自民党・公明党を落選させようー

2006-12-14 21:11:36 | 国内経済
 〈問い〉 「日本の租税負担率は先進諸国の中で最低である。消費税には逆進性があるが、所得の捕捉が困難であることを考えれば消費税を上げたほうが富裕層から多くの税を取れる可能性が高い」という説がありますが、どう考えますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 まず、なぜ日本の租税負担率が低いかです。その主な要因は1989年に消費税を導入した後、その前と比べて大企業などの法人税率を42%から30%に引き下げ、「富裕層」の税率を60%から37%に引き下げたからです。消費税収は、90年と比べ2005年には4・5兆円から10・5兆円に増えましたが、法人税は18・4兆円から12・5兆円、所得税は26兆円から14・7兆円に減少しました。その結果、国の税収は60・1兆円から47・0兆円に落ち込みました。

 したがって、国の税収を増やすためには、法人税率、高額所得者の最高税率を消費税導入前にもどすことです。これが、国民的な立場から租税負担率をあげる道です。

 次に、消費税率を上げた場合ですが、税率を上げても、富裕層から多くの消費税は取れません。富裕層は、収入の大半を消費税がかからない貯蓄や株・土地の購入などに使い、消費支出の割合が低いためです。事実、年間収入約300万円の世帯では86%を消費に使いますが、1400万円を超える世帯では半分以下の42・7%にすぎません。

 1億円の年収の方を例にあげます。この方は、所得税・住民税、社会保険料などを納め、残りは貯蓄や株・土地の代金にし、一定額―2000万円を消費すると仮定します。そのすべてを国内で使ったとしても、消費税額は5%の100万円です。消費税率を10%に引き上げた場合、増税額は2000万円の5%で100万円となります。

 一方、仮に、富裕層の所得税率を5%上げれば、500万円の増収になり、消費税を5%あげた場合の5倍の税収になります。

 しかも、「消費税には逆進性がある」ため、税率引き上げは、庶民に重くのしかかります。政府の調査でも、年収に占める消費税の割合は、年収300万円の世帯で4・2%、一方、1500万円以上の世帯では1・4%にすぎないことが示されています。

 なお、一部の富裕層は、所得税だけでは「捕捉が困難」という面はあります。しかし、これは相続税やぜいたく品に適正に課税することで補うことができます。逆進性のある消費税を引き上げることでは、「捕捉」できなく、貧富の格差を広げるだけです。(木)

 〔2006・12・9(土)〕

(出所:日本共産党ホームページ 2006年12月9日(土)「しんぶん赤旗」)
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税制改正:与党が大綱決定 企業向け中心に6千億円減税

2006-12-14 21:09:38 | 国内経済
 自民、公明両党は14日、07年度与党税制改正大綱を決定した。安倍政権が掲げる「成長なくして財政再建なし」との方針の下、減価償却制度の見直しなど、経済活性化のための企業向け減税を盛り込み、国・地方合わせて6000億円強の減税となった。一方、日本の財政状況について「歳出と税収のバランスが極端に崩れ、極めて厳しい危機的状況」と指摘。「来年秋以降、本格的な議論をし、07年度をめどに消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させる」と明記し、将来の消費税率引き上げの必要性に言及した。

 減価償却制度の見直しでは、設備投資資金を全額損金に算入できるようにするため、主要国では日本にしかない償却可能限度額(取得費の95%)を撤廃。アジアとの競争が激しい液晶・プラズマパネルと半導体の関連設備については、全額損金算入できるまでの期間を8~10年から5年にし、国際競争力を高める。

 ベンチャー企業への投資に対する優遇措置の「エンゼル税制」では、投資家の株式譲渡益課税への軽減措置を2年延長するほか、適用企業の条件を緩和。資本金1億円以下の中小企業への内部留保への課税も廃止し、財務力強化を支援する。

 上場株式の譲渡益や配当にかかる税率を、07年度末まで10%に軽減(本則20%)する証券投資への優遇税制については、「適用期限を1年延長して、廃止する」と明記した。廃止で売り急ぎを招かないよう激変緩和措置も導入し、市場の混乱を回避する方針も示した。

 個人向けでは、住宅ローンの一部を所得税から差し引く「住宅ローン減税」は、税源移譲で所得税が減ることに伴い、中低所得者層で減税額が減る人が出てくるため、07、08年入居分は、控除期間を10年から15年に延長する。また、住宅のバリアフリー化を支援するための改修促進税制を創設し、07年4月から08年末までの入居者を対象に5年間、所得税を軽減する。

 増税論議が先送りされている消費税については、社会保障費の増加など将来に備え、安定財源としての重要性を指摘。政府税調が引き下げ方針を示した法人税の実効税率は「所得税、法人税、消費税、相続税などが果たすべき役割を検討しつつ、税体系全体のあり方を考えていく」とし、明確な方向を示さなかった。

 政府は年明けの通常国会に税制改正の関連法案を提出する。【須佐美玲子】

(出所:毎日新聞 2006年12月14日 20時47分)

 
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