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世界一の高学費の軽減を-日本共産党が政策発表-

2008-04-18 00:54:28 | 国内教育
世界一の高学費 軽減を
日本共産党が政策発表
学業断念の若者なくす
石井・小池氏が会見

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 日本共産党は十六日、「『世界一高い学費』を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために」と題する政策を発表しました。(全文)

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 石井郁子副委員長・衆院議員、小池晃政策委員長・参院議員が文部科学省記者クラブで会見しました。

 石井氏は、政策を発表した理由として、「貧困と格差」の拡大の中で、憲法と法律が禁じている「経済的地位による教育上の差別」が目の前で起きていると指摘。千葉県の公立高校で期日までに入学金が未納だからという理由で生徒が入学式から排除されたり、私立大学では毎年一万人の学生が経済的理由で退学するなどの事態をあげました。

 石井氏は、こうした事態を招いた自民党政府の極度に貧困な教育政策を批判しつつ、それと対照的に無償化をすすめる欧米諸国の事例を紹介。その根底にある「教育を受けることは基本的人権であるとともに、社会の発展にも不可欠だ」との精神を強調しました。

 小池氏は、政策の特徴について、経済的理由で学業を断念する若者をこれ以上ださないためという考え方で、緊急に必要なことを押し出したと強調。高校、大学の授業料減免の拡大などの日本共産党の四つの提言をくわしく説明しました。提言を実現するための経費は、年間約千九百億円であり、政府がやる気になれば、ただちに実行可能だとのべました。

 記者からの質問にも答えて「たとえば、米軍への思いやり予算を廃止すれば生みだせる」と答えました。

 石井、小池両氏は、「学費値下げの機運が起こっており、多くの団体、個人によびかけて運動を広げていきたい」とのべました。

政策の骨子

一、公立高校の授業料の減免対象枠を年収五百万円まで広げる。私立高校の場合は年収五百万円以下の世帯を授業料全額免除に年収八百万円以下の世帯は一部減額する直接助成制度をつくる。

二、国立大学・高専の授業料の減免枠を引き上げ、世帯年収四百万円以下は全員授業料免除に。私立大学は年収四百万円以下の世帯を減額とする授業料直接助成の制度をつくる。

三、国の奨学金をすべて無利子に戻す。年収三百万円に達するまでは返済猶予に。経済的困難を抱える若者への給付制奨学金制度をつくる。

四、高校と大学の段階的無償化を定めた国際人権規約を批准する

「世界一高い学費」を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために
2008年4月16日 日本共産党

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 日本共産党が十六日発表した提言「『世界一高い学費』を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために」の全文は次の通りです。

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 この春、多くの新入生が希望に胸をふくらませて学校の門をくぐりました。新入生のみなさんは、有意義な学園生活をおくり、自分のやりたい勉学やスポーツなどにうちこみたいと、期待に胸はずませていることでしょう。日本共産党は、そうしたみなさんの願いが実現するように全力で応援します。

「ひとしく教育を受ける権利」が侵害されている
 ところが日本には、進学を手放しで喜べない事情があります。「世界一高い学費」が、高校生や学生、その家庭に重くのしかかっていることです。子育て世帯についての実態調査(国民生活金融公庫)によれば、高校入学から大学卒業までにかかる費用は一人平均千四十五万円、わが子のための教育費は年収の34%に達しています。

 とりわけ見過ごせないことは、「貧困と格差」の拡大の中で、学費が高すぎるために毎日深夜までアルバイトをして体を壊したり、学校を去らざるをえない若者が増えていることです。「一年間で二クラス分くらいの人が高校をやめた」「大学に合格したが入学金が払えず、一年間バイトをしてお金をためて再受験する」など、その実態は深刻です。私立大学では毎年一万人の学生が経済的理由から退学しています。

 憲法は国民に「ひとしく教育を受ける権利」(第二六条)を保障し、教育基本法は「すべて国民は……経済的地位……によって、教育上差別されない」(第四条)と明記しています。いま起きていることは、憲法と法律が禁じている「経済的地位による教育上の差別」そのものです。

「学費無償化」の方向は世界の流れ
 こうした事態を招いた最大の原因は、自民党政府の極度に貧困な教育対策です。高等教育予算の水準(国内総生産にしめる割合)は、OECD(経済協力開発機構)加盟国全体の平均1・0%に対して、日本は0・5%にすぎず、加盟国中で最下位です。その一方で自民党政府は、“学費は、教育で利益を受ける学生本人が負担する”という「受益者負担」の考え方を教育にもちこみ、学費値上げをすすめてきました。一九七〇年に一万二千円だった国立大学の授業料は今では五十三万五千八百円(標準額)で、これほど高騰した公共料金はほかにありません。

 国際人権規約(一九六六年に国連総会で採択)は「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定めており、欧米のほとんどの国では高校の学費はなく、大学も多くの国で学費を徴収していません。

 教育を受けることは基本的人権の一つであり、経済的理由で妨げられるべきではありません。若い世代が高校や大学で新しい知識や技術、理想を身につけることは、社会の発展にとって不可欠ないとなみであり、それは社会全体にとっての貴重な財産となります。それだからこそ、学費をできるかぎり低額にとどめ、無償に近づけてゆくことが世界の大勢になっているのです。このことは、国民の「ひとしく教育を受ける権利」を保障した日本国憲法の精神にも合致しています。国民の生活や権利にかかわる多くの分野で、ヨーロッパなどで常識になっているルールが確立していないことは自民党政治の大きなゆがみですが、「世界一高い学費」もその一つにほかなりません。

 誰もがお金の心配なしに教育を受けられる条件を整えることは、若者に安心と希望をもたらし、日本の未来を支える安定した基盤となります。困難なもとでもまじめに学ぼうとしている若者の努力に応えることこそ政治の責任です。

 日本共産党は、経済的理由で学業を断念する若者をこれ以上出さないために、以下の四つの提言をおこなうとともに、「世界一高い学費」を軽減させるための国民的な運動をよびかけます。

日本共産党の提言
(1)公立高校の授業料減免を広げる。私立高校の授業料を減免する「直接助成制度」をつくる
 高校は進学率が97%を超え、「準義務教育」というべき実態がある一方で、経済的理由で高校に進めない若者も増えています。平均年収二百十三万円の母子家庭からは、「高校進学の夢も見るなというのか」という悲痛な声が上がっています。また、期日までに入学金が未納だからという理由で、生徒を入学式から排除するという事態までおきています。

 公立高校の授業料減免のための国の予算枠(交付税の算定基準)を増やし、国の責任で、減免対象を少なくとも年収五百万円(四人世帯の場合)にまで引き上げます。

 私立高校は授業料以外の学費負担も重く、いっそう深刻な事態が広がっています。年収五百万円以下の世帯は授業料全額免除、年収八百万円以下の世帯は一部減額とするような、授業料直接助成の制度をつくることを提案します。専修学校・各種学校(高校に準じるもの)も同様とします。

(2)国公立大学の授業料減免を広げる。私立大学の授業料負担を減らす「直接助成制度」をつくる
 大学の初年度納付金は国立八十万円以上、私立百三十万円以上(平均)と庶民が負担できる限界を超えており、所得に応じた負担軽減が必要です。ところが、一九八二年に学生比12・5%あった国立大学授業料の減免予算枠は5・8%に削られ、減免を受ける要件を満たしながらも予算がなくて受けられない学生は少なくありません。私立大学にいたっては国の予算枠は学生比わずか0・1%にすぎません。

 国公立大学・高専については国及び地方の減免予算枠を引き上げ、東京大学ではじめたような世帯年収四百万円以下は全員授業料免除とする制度を全国でおこなえるようにすべきです。

 また、私立大学の学生にたいしては、世帯年収四百万円以下の場合に一定額が減額となるような授業料直接助成の制度をつくることを提案します。

(3)国の奨学金をすべて無利子に戻し、返済猶予を拡大する。経済的困難をかかえる生徒・学生への「給付制奨学金制度」をつくる
 「世界一高い学費」のもとで、奨学金は“頼みの綱”です。ところが国の奨学金(日本学生支援機構=旧育英会)は有利子が約七割を占め、この春も十万人の大学受験予定者が奨学金を受ける資格がありながら無利子奨学金から締め出されました。

 国の奨学金を以前のようにすべて無利子に戻すとともに、低賃金などの事情で返済が困難な場合、イギリスのように一定の収入(年三百万円)に達するまで返済を猶予することが必要です。

 欧米では、世帯収入や兄弟姉妹の人数などの条件に応じて支給される、返済なしの「給付制奨学金」が主流です。実際、親の失業や病気などの事情で、授業料減免だけでは学業が続けられない場合があります。そうした若者を一人も出さないために、日本でも経済的困難の程度に応じて必要な経済支援をおこなう「給付制奨学金制度」をスタートさせるべきです。

(4)「学費の段階的無償化」を定めた国際人権規約を批准する
 国際人権規約(A規約=経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)の第一三条は、高校と大学を段階的に無償化することを定めています。

 日本政府は、国際人権規約に加わりながらこの条項について「留保」したままです。無償化条項を留保している国は、条約加盟国百五十七カ国中、日本とマダガスカル、ルワンダの三カ国だけです(二〇〇八年二月現在)。二〇〇一年には、国連・社会権規約委員会から「なぜ世界第二位の経済力の日本が認めないのか」「早く留保を撤回するように」という勧告が出されています。ところが政府は、回答期限の二〇〇六年が過ぎても、勧告への回答を放置したままです。かつて政府は「解除する方向に努力をし、またそういう責任がある」(一九七九年、園田直外務大臣)と明言していました。ただちに「留保」を撤回し、「世界一高い学費」の負担軽減をすすめる姿勢を明確にすべきです。

 以上の提言を実現するための経費は年間約千九百億円であり、政府がやる気にさえなれば、ただちに実行可能なものです。日本共産党はその実現のために全力をつくします。

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 国際人権規約A規約(社会権規約)

 高校教育の無償化(第13条2項b)

 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること

 大学教育の無償化(同条同項C)

 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること

 (注)中等教育とは中学と高校などを、高等教育とは主に大学をさす用語

(出所:日本共産党HP 2008年4月17日(木)「しんぶん赤旗」)
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愛知県犬山市-教育委員の増員可決は学力テスト参加への布石ー

2008-04-09 18:57:38 | 国内教育
犬山市議会
教育委員増員を可決
学力テスト参加への布石
共産党は反対

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 全国の公立小中学校で唯一、国の全国学力テスト(四月二十二日実施)に参加しない愛知県犬山市で八日、臨時議会が開かれ、田中志典(ゆきのり)市長は教育委員定数を一人増やし、新たな委員を任命する提案を行いました。議案は賛成多数で可決されました。日本共産党の二議員は反対しました。

 マスコミが今回の提案は「同テストへの参加を前提としたもの」と報道するなか、審議では「現場やPTAを混乱させる」「政治介入につながる恐れがある」「全国に誇ってきた教育がくつがえされるのでは」などの発言が続きました。

 日本共産党の水野正光議員は、学テ不参加を評価したマスコミ報道を紹介し、「拙速な委員増は政治の力で結論をくつがえすもの。教育の在り方の議論が先だ」と指摘。また、同党の岡覚議員は「市の教育は評価が高く、学テへの不参加も重要な情報発信。教委の議論を温かく見守るため、議案は継続とし、慎重な議論を」と求めました。

 市長は、学テへの参加を望む声が無視されている、保護者の声を反映する増員と述べる一方、教育委員会を「民意を反映する姿勢が欠落し、独裁との声すらある」と攻撃する答弁を行いました。

 議案審議を付託された民生文教委員会は「継続審議」を決定し議長に申し入れました。しかし本会議はこれを否決したため、委員会での再審議が行われ、議案への反対委員が退席するなかでの再議決という事態になりました。

 本会議での採決に先だち、岡覚議員が「あまりにも拙速で市民無視の決定は、市政に汚点を残すもの」と反対討論を行いました。

(出所:日本共産党HP 2008年4月9日(水)「しんぶん赤旗」)
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「日の丸・君が代」強制-東京都教育委員会が公立学校の教職員二十人を懲戒処分ー

2008-04-02 07:53:18 | 国内教育
「日の丸・君が代」強制
都教委が20人処分
教職員らが抗議声明

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 東京都教育委員会は三十一日、今年の卒業式で「日の丸」に向かって起立し「君が代」を斉唱しろとの職務命令に違反したことを理由に、公立学校の教職員二十人を懲戒処分にしたと発表しました。「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会は、「教職員・生徒に『日の丸・君が代』を強制する教育破壊の暴挙」との抗議声明を発表しました。

 処分内容は停職六カ月が二人、減給十分の一・六カ月が二人、同一カ月が七人、戒告が九人。うち二人は合格していた退職後の再雇用と非常勤採用を取り消されました。

 昨年、停職六カ月の処分を受けた教員は今回の処分で免職となる可能性もありましたが、都教委は同じ停職六カ月にとどめました。

 「日の丸・君が代」を強制する「10・23」通達が出された二〇〇三年十月以来、処分された教職員はのべ四百八人になりました。〇六年九月に東京地裁が同通達は憲法違反との判決を出していますが、都教委は控訴し、その後も強制と処分を続けています。

 処分が発令された都教職員研修センターの前には抗議の教職員や市民ら二百人が集まり、「日の丸・君が代の強制をやめろ」「処分を撤回しろ」「教育の自由を守れ」とシュプレヒコール。処分された人たちを激励しました。

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強制を強めるな 抗議の会見
 東京都教育委員会が卒業式での職務命令違反を理由にした処分を発表した三十一日、処分された教員らが記者会見で抗議の意思を表明しました。

 減給処分になった教員は「『君が代』を歌えないという生徒がいるのを知っていた。苦しんでいる人に寄り添っていこうといってきた私が、その生徒を前に立つわけにいかなかった」とのべました。

 戒告処分の上、合格していた嘱託としての再雇用を取り消された教員は「母の介護のために退職し、嘱託の道を選んだのに、思いをふみにじられた」と悔しさをにじませ、「いま放置していれば(教育が子どもたちを戦場に駆り立てた)昔の状態に戻ってしまう」と決意を語りました。

 昨年停職六カ月の処分を受け、今回も同じ処分になった教員は「子どもたちのために10・23通達をなくそう」と訴えました。

 「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」の近藤徹事務局長は、起立しない生徒に対し司会者が「起立しなさい」と繰り返すなど「生徒への強制が強まっている」と指摘。処分された教員が担任をはずされる事態も起きるなど「いじめが始まっている」とのべました。また、退職後の再雇用を取り消された人は二人、拒否された人は十三人にのぼることを明らかにしました。

(出所:日本共産党HP 2008年4月1日(火)「しんぶん赤旗」)
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自公政権が進める学校統廃合ー一方的な推進許さない住民・国民運動で対抗する必要があるー

2008-03-29 00:48:00 | 国内教育
主張
学校統廃合
一方的な推進許さない運動を

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 小中学校、高校の統廃合が、都市でも地方でも、かつてない規模ですすめられようとしています。

 そのやり方は、地方自治体が統廃合計画を一方的に策定し、それを住民におしつける形がほとんどです。

 「地元の高校がなくなれば、町に下宿させられる余裕のある家しか高校にいけなくなる」「廃校計画が発表されて、給食の時間から笑い声がなくなった」などその影響は深刻です。

住民合意の尊重が不可欠
 学校統廃合は、子どもの教育と地域社会の存続の双方にかかわります。それだけに、子どもを含む住民で統廃合の是非についてよく話し合い、合意を尊重することが不可欠です。

 国は一九五六年に小中学校の「適正規模」を十二―十八学級とし、それが学校統廃合の基準となっています。しかし、子どもの教育という点では、子ども同士あるいは教師との人間的なつながりの深さ、少人数だからこそできる温かみのある教育活動など、小規模な学校のよさは広く認められています。

 国際的にも、世界保健機関が「教育機関は小さくなくてはならない。生徒百名を上回らない規模」が好ましいと指摘するなど、小さいサイズの学校が志向されています。

 学校が遠くなれば、通学の負担や安全面の問題もでてきます。懸念されているように、高校教育を受ける機会を奪うようなことはあってはならないことです。

 学校は、運動会やお祭り、文化祭などをふくめて、地域の拠点としての役割も担っています。子どもが少なくなったからといって安易に統廃合をすすめれば、集落や地域のコミュニティーの崩壊、地域社会の荒廃という取り返しのつかない事態を招きかねません。

 日本共産党は以前から一方的な統廃合に反対し、文部省(当時)に、“学校規模を重視するあまり無理な統廃合を行うことは避ける”“小規模校として残し充実させるほうが好ましい場合もある”“住民の理解と協力を得て進める”などの通達(一九七三年)を出させてきました。

 この通達をも無視するような一方的な統廃合が横行しているおおもとには、自公政権の教育予算抑制策があります。政府は昨年六月、国際的にも低水準の教育予算をさらに削減する方針をかかげ、そのおもな手段として「学校規模の最適化」=学校統合をかかげました。

 昨年十二月の「教育再生会議」三次報告も、「国は、統廃合を推進する市町村を支援する」と露骨に統廃合推進をうちだしました。さらに地方にたいする「三位一体」改革による地方財政の逼迫(ひっぱく)も、統廃合の圧力となっています。

 一方的な学校統廃合にたいして、各地で「住民合意を尊重せよ」を合言葉にした広範な運動がひろがっているのは当然です。

住民合意を尊重せよ
 計画を凍結・撤回させる地域もうまれています。大規模な高校統廃合が計画された長野県では高校生がたちあがり、首長らも存続に動きました。日本共産党県議団の提案により、募集停止の段階で議会の同意を必要とする条例が可決され、計画に待ったがかかっています。

 運動は、「自分たちのことを本気で考えてくれるおとなと出会えた」と子どもに感動をあたえ、その後の教育条件の整備や地域社会を発展させる住民の共同を強める力にもなっています。「住民合意を尊重せよ」を中心にすえ一方的な統廃合に反対する運動を発展させることが重要です。

(出所:日本共産党HP 2008年3月28日(金)「しんぶん赤旗」)
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京都の学生ネットワーク結成-めざせ学費ゼロ-

2008-03-25 01:07:36 | 国内教育
ゆうPress
京都の学生ネットワーク結成
めざせ学費ゼロ

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 「高学費のため1年だけの約束で大学に通っている」「バイト漬けで勉強に集中できない」―。高学費に苦しむ学生の声です。京都では学生たちが手をつなぎ「学費ゼロネット」を結成。立命館大学では大幅値上げに歯止めをかけています。(伊藤悠希)

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立命館大
スライド制廃止
 「気持ちが楽になりました。学費を払ってくれている親の負担が軽くなると思うとうれしい」と話すのは立命館大学1回生(19)。立命館大学では学費が毎年自動的に上がる「ダブルスライド制」がこの4月から廃止されました。これまで毎年平均で2、3万円値上がりし、4年間で10万円近く上がっていました。今春からは値上げ幅が年5千円(法学部などの場合)に抑えられます。(表)

 学内では、ダブルスライド制の廃止を求める署名や一言カードは学生総数の2割に及ぶ6千人分が集まりました。サークルを中心に学内パレードもしました。

だれでも
みんな一緒に
 京都府学連(6大学の学生自治会が加盟)は、「学費ゼロネット」を2007年5月に立ち上げました。ゼロネットは学費値下げに関心のある人なら誰でも入れる個人加盟のネットワークです。11大学、70人が参加しています。

 京都市内の大学で自治会活動をしている琴美さん(22)はゼロネットを考えた一人です。

 「府学連に加盟していない大学で学費値下げの宣伝をすると反応がよかったんです。仕方ないと思っていた学生に話をすると日本の学費は高すぎると実感してもらえました。値下げの取り組みを一緒にやりたいと思いました」

商店訪問
ポスター快く
 会員たちが大学周辺の商店を訪問して、学費無償化を訴えるポスター掲示をお願いすると快く張らせてくれます。街頭宣伝でもうれしい反応がありました。高い学費によって「学問が商業化されることに不安」と話す学生が学内に張りたいとポスターを持ち帰りました。

 京都大学では会員が1カ月近く、2日に一度、昼休みに宣伝をしました。「東京大学では世帯年収400万円以下の学生が授業料免除になりました。今度は京大でも」と訴えると学生たちが話しかけてきました。

 京都橘大学では自治会で学祭に模擬店を出し、訪れた人たちと対話して署名と一言カードを集めました。「薬学部に行きたかったが、学費が高くてあきらめた」と話す男性もいました。地域住民、親たちからも署名が集まりました。

議会要請
全会派が応対
 「学費をめぐり、07年7月の参院選後、政党の応対に変化が起こっている」と話すのは京都府学連副委員長(前委員長)の男性(21)です。府学連の京都市議会要請に対し、06年は日本共産党と民主党だけの対応でした。ところが参院選挙後は、全会派の議員が対応しました。男性は「高学費のため1年の約束で大学に通っているといった学生の切実な声が議員たちにも衝撃を与えました」と話します。

奨学金
就職まだ、返せるか不安
 「学費ゼロネット」の琴美さんは京都市内の大学に通う4回生です。学費は親が負担しますが、生活費は仕送りはなく奨学金が頼りです。無利子と有利子の奨学金を借りています。1回生のころは無利子奨学金(月6万3千円)のみで生活していました。家賃2万円のところに住み、毎日自炊、弁当を作って節約に努め、わずかな額が残りました。有利子分(月3万円)は、できるだけ手を付けないようにして、利子がつく前にまとめて返したいと思っていました。「まだ、就職が決まっていません。返せるかも不安です」と話します。

 立命館大の中山さんもゼロネット会員。無利子奨学金を借りています。これまではお金の出所を意識せず、自由に使っていました。「借金して“ぜいたく″してるだけだと、自治会活動に参加して気付きました。学費のために親は頑張ってくれてると思うと胸が痛みます」

「進学あきらめた」「毎日昼食抜き」
東京でもZEROネット
 ゼロネットの取り組みは京都以外へも波及しています。

 東京でも都学連(東京都学生自治会連合)が中心となり「学費ZEROネット東京」(準備会)ができました。

 19日の結成のつどいでは参加した学生たちが実態を報告しました。

 「2週間前に2年生からの学費のめどがたたないからと退学した学生がいます。入学後、アルバイトで学費をため、綱渡りで大学に通っていた学生です」と話したのは和光大学の2年生。

 東京農工大学では学生会で年に3度アンケートを取っています。半数の学生が回答し、そのうち8、9割の学生が「高い」と答え、学費を自分で払っている学生が約40人いたといいます。「友達が進学をあきらめた」「毎日昼ご飯を抜いている」との声が寄せられました。

 早稲田大学の2年生は、4月に高校3年生になるめいから大学進学をあきらめて就職した方がいいか相談されたといいます。家族や友達など周りに実態を伝えることから始め、学費値下げへ向けた世論をつくっていきたいと話しました。

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 京都府学生自治会連合(府学連) 学生自治会の京都府の連合体。学生の共通の要求を実現する組織。学生の要求を大学運営に反映する学生の代表組織。

奨学金でシンポ
1日食費315円/貯金取り崩す
返還必要ない給付制に

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 日本の異常な高学費で子どもや学生、家計がどのような影響を受けているのかを交流し、奨学金制度の拡充を考えるシンポジウムが二十三日、東京都内で開かれました。主催はシンポジウム実行委員会。十団体、約五十人が参加しました。深刻な実態をパネリストや参加者が報告し、教育費の無償化と返還の必要のない奨学金をつくっていこうと確認しました。

 全学連の副委員長が東京大学で世帯年収四百万円以下の学生が全額学費免除になったと紹介し、学内での聞き取り調査を進めてきたとのべました。一日の食費を三百十五円に抑えている学生、大学で洗濯、シャワーをしているという学生などの例を紹介しました。

 新婦人の米山淳子事務局長は教育費の実態アンケートの内容を紹介。大学生を抱える家庭では家計を切り詰め、預貯金や年金、退職金を充てる、祖父母や親せきからの援助、教育ローンの借金、定年後も働いて学費を工面しているとのべ、生活全体が教育費で脅かされていると話しました。

 日本学生支援機構労働組合の藤井和子中央執行委員長は一九九八年からの十年間で有利子奨学金の利用者が十倍に増えていると報告。全国生活と健康を守る会の代表は夫が失業し、大学院に入った子どもの奨学金の返済が一千万円にのぼると予想され、将来が不安だとのべました。

 日高教の代表は実態調査から「『ローンズ育英』という金貸しだ」との告発が寄せられていると報告しました。

 三輪定宣千葉大学名誉教授・「奨学金の会」会長はフィンランド、デンマーク、アメリカなど海外の給付制奨学金の制度を紹介。日本の教育予算は経済先進国OECD加盟国三十カ国の最下位であり、平均並みに引き上げることで学費補助・軽減が可能であることを示しました。

 実行委員会の中心となった「奨学金の会」では、「教育の機会均等」を保障する給付制中心の奨学金をつくることを求める署名に取り組んでいます。

(出所:日本共産党HP  2008年3月24日(月)「しんぶん赤旗」)
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全国学力テストが来月二十二日に実施ーフィンランドは競争をやめて「学力世界一」ー

2008-03-24 00:50:33 | 国内教育
主張
学力テスト
競争への駆り立てをやめよ

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 全国学力テストが来月二十二日に実施されようとしています。昨年につづき二回目です。

 なぜ全国テストをおこなうのか。大義名分はすでに崩れています。

崩れた国の大義名分
 文部科学省は、全国テストは学力状況を分析するために必要だといってきました。しかし昨年のテスト後、数十億円をかけて明らかになった分析結果とは、「基礎はできているが応用が不十分」など、抽出テストでもわかることばかりです。

 文科省は、子ども一人ひとりへの指導に役立てるともいいました。ところが試験結果は半年後に、答案ではなく、○×(マルバツ)がわかるだけの「個票」が返されただけです。業者まかせの採点ミスがあいつぎ、別の生徒の結果が返されたケースもありました。

 地方の教育関係者から「あまり意義が見いだせない。できることならやめたい」の声もでています。今からでも中止し、六十二億円の予算は教育条件の向上にまわすべきです。

 重大なことは、全国テストが学校現場を点数競争にかりたてる歯車として動き始めていることです。これこそ自民党や財界のねらいです。

 点数が低かった市町村教育委員会は県教育委員会におこられ、点数が低かった校長は市町村教委におこられ、教員は校長におこられる―そんな光景が見えてきます。上位の自治体も「順位が下がったら困る」と対策に走ります。競争の激しい地域では不正工作までおこなわれました。

 点数競争はさいごに子どもにのしかかります。入学式のあともテスト、宿題の量が極端に増えた、授業がドリルや反復練習中心になるなど、テスト対策への傾斜が、少なくない地域で始まっています。

 「全国テストにむけたテスト練習でむつかしくて泣き出す子もいた」「県のテスト、市のテスト、国のテスト。テストばかりで面白くない」「勉強だけでなく、縄跳びは何級、水泳は何級って比べられる。学校は怖いかんじ」。子どもたちの声は、学力テスト体制への警鐘です。

 学習の内容から深みが消え、子どもの意欲を後退させ、学習が遅れがちな子どもをおいてきぼりにする。学力テスト体制は、学力向上どころか、学力を後退させる元凶です。

 子どもが自ら学びだす時、それは子どもが人間として安心できる空間にいる時です。「なぜこうなるのか」「現実の世界とどう関係しているのか」など自らの関心にこたえる学習ができる時です。学ぶことは孤独なものでなく、みんなで教えあい助け合いながらすてきな人間関係をつくることだと実感できる時です。

 こうした学習をすべての子どもに保障することこそ、公教育の使命ではないでしょうか。教育行政はそのために、学校・教員の自主性を保障し、少人数学級などの条件整備で支えることが仕事です。

本当の知育のため共同を
 この方向は、日本や世界における優れた教育に共通しています。競争をやめて「学力世界一」となったフィンランドは、その一例です。

 自公政権は、全国学力テストを「新学習指導要領」や国の「教育振興基本計画」に盛り込んで、ずっと続けようとしています。

 日本共産党は全国学力テストの中止・不参加を求めます。教育委員会や学校は、子どもをおいつめるような結果公表やテスト対策に走るのではなく、子どもたちの本当の知育をすすめる、教育者らしい努力をかさねることをよびかけます。

(出所:日本共産党HP 2008年3月23日(日)「しんぶん赤旗」)

一般教員増やせ
主幹加配では学校悪化
石井議員

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 日本共産党の石井郁子議員は二十一日の衆院文部科学委員会で、公立小中学校の一般教職員の定数を増やすよう求めました。

 文部科学省は、二〇〇八年度予算の概算要求で七千人の定員増を求めていましたが、実際の予算案では千百九十五人の定数改善にとどまりました。しかもその大部分の千人が、新たな管理的職種として配置される主幹教諭の加配に充てられるため、一般教員の多忙の解消にはなりません。

 石井氏は、「主幹教諭の配置は、都道府県教育委員会が定数の範囲内で教員を置くか、非常勤講師を複数置くか決める」とされることから、「賃金が低く、身分の不安定な非常勤に置き換えられれば、主幹教諭以外の教諭にしわ寄せがおよび、教育の質の低下を招く」と批判しました。

 さらに、全国に先駆けて〇三年度から全公立学校に主幹を配置している東京都の実態について、教職員組合がおこなったアンケートの結果を紹介。主幹配置による職の分化が、「学校を悪くする」と回答した人が94%にものぼったことを示し「主幹教諭の負担軽減のための加配では、学校は悪くなるばかりだ。一般教員の定員増で負担を軽減し、子どもと向き合えるようにすべきだ」と迫りました。

 渡海紀三朗文科相は「子どもと向き合える時間を増やすためにあらゆる努力をしたい」と述べました。

(出所:日本共産党HP 2008年3月22日(土)「しんぶん赤旗」)
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学習指導要領改定案-算数、数学の授業時間が大幅に増加し、八九年改定時と同じ時間数-

2008-03-21 00:42:01 | 国内教育
学習指導要領改定案
詰め込み教育の復活
石井議員 学校の自主性尊重せよ

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 日本共産党の石井郁子議員は十九日、衆院文部科学委員会で質問し、政府が二月に公表した学習指導要領改定案の問題点をただし、「撤回して国民的に議論するべきだ」と求めました。

 一九九八年に告示された現行学習指導要領は、それまでの学習指導要領(八九年改定)が「詰め込み教育」と批判されたのを受け、小中学校の理数系の内容を三割程度削減。小学校算数でみると、「不等号の式」など十項目を削減し、「時間の読み方」「ミリリットル、デシリットル」など二十三項目が上の学年に移行しました。

 石井氏は、今回の改定で、削減・移行した項目のほとんどが八九年改定のレベルに戻されていることを具体例をあげて指摘しました。さらに算数、数学の授業時間が大幅に増加し、八九年改定時と同じ時間数となっていることを示し、「これでは詰め込み教育の復活だ。新幹線授業といわれ、子どもたちがついていけないと悲鳴をあげた事態をくりかえすのか」と迫りました。

 石井氏は、学力世界一のフィンランドでは、学習指導要領が自治体や地域のカリキュラム策定の基礎としての位置づけであることを紹介し、「国が学校の教育課程を縛りつけるのでなく、こどもの実態に応じた授業ができるよう各学校の自主性を尊重し、創意工夫にまかせるべきだ」と主張しました。

 渡海紀三朗文部科学相は、「学習指導要領は学校で教える指針を示した最低基準。指導方法はあくまで例示で、現場で創意工夫してやってもらいたい。各学校でさまざまな努力がされるのを見守っていきたい。おちこぼれという児童が出ないよう努力したい」と答弁しました。

(出所:日本共産党HP 2008年3月20日(木)「しんぶん赤旗」)

学習指導要領 改定案
撤回し、国民的な討論を
日本共産党 石井文教科学部会長の談話

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 学習指導要領改定案にかんする日本共産党国会議員団の石井郁子文教科学部会長の談話は次の通りです。

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 一、本日、文部科学省は、小、中学校での教科等の枠組みや時間数、その内容を示す「学習指導要領」を十年ぶりに改定する案を公表しました。

 これは改悪された教育基本法、学校教育法に基づいたもので、以下のように、国民の学力への不安や願いにこたえたものにはなっていません。改定案を撤回し、指導要領のあり方をふくめ国民的な討論をおこなうことを求めます。

 一、改定案は、「ゆとり教育をやめ、知識をつめこめ」という政府・財界の圧力のもと、学習内容を増やしすぎ、小学校一年生を毎日五時間授業にするなど、過密なものとなっています。

 さらに、各教科について「こういう活動をして指導せよ」と、これまでと違って指導法を細かく例示しました。

 これは憲法に反し、教師の自主性や創造性をうばう最悪のやり方です。

 これでは、授業についていけない子どもや勉強嫌いを増やし、政府が進める「全国学力テスト」や「習熟度別授業」など競争主義的な施策と一体に、子どもの学力格差をひろげることは明らかです。指導要領は、本当に必要な学習事項に精選したものを試案として提示するにとどめるべきです。

 一、改定案は、すべての学校に「道徳教育推進教師」を配置し、指導要領どおりに道徳の時間を教えているかどうか点検させ、さらに数学など全教科で道徳教育の実施を求めています。

 指導要領で示された道徳は、復古的かつ形式的で、肝心の基本的人権や子どもの権利の見地がありません。子どもを人間として尊重する姿勢を学校生活全体につらぬくことを、道徳教育のカナメにすえるべきです。

 一、改定案は、あらたに小学校に「外国語活動」を設けましたが、まともな条件整備なしに学級担任にまかせるという粗末なものです。しかも小学校での英語教育は国民的合意に至っていません。

 また中学体育の「武道」必修化は、条件整備がともなわず、特定の価値観の注入に悪用される危険もあります。いずれも拙速な導入はやめるべきです。

 一、改定案は、各教科について「基礎」だけでなくその「活用」を重視するとし、文科省はそれをOECD(経済協力開発機構)などの国際的動向に合致するとしています。

 しかし、OECDがめざす学力は、「社会的不平等の削減」などを担う人間の育成をふくんだもので、国際競争に勝つための人づくりを狙いとする今回の改定案とは異なります。しかも、「基礎」と「活用」を機械的に分離して教え込み、かえって学習の質を低下させる危険があります。

(出所:日本共産党HP 2008年2月16日(土)「しんぶん赤旗」)
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「世界一高い」学費-国の責任で負担軽減を急げ-

2008-03-09 19:22:09 | 国内教育
主張
「世界一高い」学費
国の責任で負担軽減を急げ

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 いま、貧困と格差の広がりのもとで、経済的理由で大学を退学に追い込まれたり、進学をあきらめたりする若者がふえています。これはあってはならない事態です。こうした若者を生まないために、国の責任で学費負担の軽減をはかることは、待ったなしの課題です。

崩れる教育の機会均等
 私立大学では、毎年五万七千人を超える退学者のうち「経済的困窮」を理由にしている学生が一万人にのぼります。大学進学率も所得の低い家庭ほど低くなっています。とくに低所得層の女子の私立大学への進学率は低く、高所得層の五割に対して二割です。地方の進学率も下がり、大都市部との格差が開いています。

 「教育の機会均等」が崩壊しつつあることは明らかです。憲法は、すべての国民の「教育を受ける権利」を定めています。経済的理由で教育を受ける機会を失う若者を生まない対策を国は急ぐべきです。

 日本は、学費が「世界一高い」うえに、返還の必要のない給付制奨学金の制度がありません。国際的にもきわめて異常です。OECD(経済協力開発機構)加盟の先進国三十カ国中、大学の授業料を無料にしているのは十五カ国で、二十五カ国は、給付制奨学金があります。

 イギリスなど授業料を無料から有料に切り替えた国でも、給付制奨学金をつくったり、貸与制奨学金の返済を、卒業後一定の収入を得るまでは猶予するなど、経済的理由で進学機会を失わないための対策を充実させています。授業料有料で、給付制奨学金がないのは、日本など三カ国だけです。

 わが国でも東京大学では、年収四百万円以下の家庭の学生について、来年度から授業料を無料にする学費減免制度の実施にふみきりました。父母、学生の切実な声、運動を反映したこの英断は、大きな反響をよび、「うちの大学でも免除枠の拡大を」「すべての大学に免除制度を広げてほしい」との声が、いま全国で広がっています。

 東京大学の水準の学費減免を国の制度にして、国公私立大学すべてに広げるべきです。これは、二千八百六十億円、軍事費の6%、道路特定財源の5%で実現できます。また、欧米のように給付制奨学金の導入が必要です。

 日本共産党の石井郁子衆議院議員が、二月十九日の国会質問で、こうした負担軽減策の実現を政府に迫ったところ、額賀福志郎財務大臣は、経済的理由で教育機会を失うことは「あってはならない」と認めながら、「自己責任も必要」と「受益者負担」を口実に応じませんでした。しかし、憲法で定める「教育を受ける権利」を保障すべき国の責任を、こうした口実で棚上げすることは許されません。

耐え難い奨学金の返済
 政府は、「経済的に困難な人は、貸与制奨学金を」といいます。しかし、大学の学費は四年間で約五百万円(国公私立平均)、生活費などを含めると約一千万円にもなります。これを奨学金でまかない、卒業後返済しろといっても、派遣労働など不安定な雇用が広がっているもとでは、学生にとって耐え難い負担となるのは明らかです。

 政府は、「受益者負担」を口実にした高学費・低奨学金政策を改め、すべての国民に教育を受ける権利を保障した憲法の精神にたちかえって、学費負担の軽減政策―学費の無償化と給付制奨学金の実現、学費免除枠拡大―に舵(かじ)を切り替えるべきです。

(出所:日本共産党HP  2008年3月9日(日)「しんぶん赤旗」)
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「君が代」訴訟 卒業生が証言-話し合い許されず徒労感-

2008-03-05 13:14:59 | 国内教育
「君が代」訴訟 卒業生が証言
話し合い許されず徒労感

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 東京都教育委員会の「日の丸・君が代」強制に従わなかったことを理由に処分された都立学校教職員百七十三人が、処分取り消しなどを求めた裁判の口頭弁論が三日、東京地裁(中西茂裁判長)で開かれました。都立高校の元生徒が、強制によって卒業式で生徒の自主的な活動ができなくなったことを証言しました。

 原告側証人として卒業式について語ったのは二〇〇六年三月に都立高校を卒業した女性。当時、生徒会の卒業式委員長を務めていました。

 女性は自身のいた高校は「生徒の自主的な活動を尊重してくれる学校で、生徒間で議論する中で正しいことを見つける力をつけることを重視していた」とのべました。

 しかし、卒業式については校長から「厳粛な式にするように」といわれ、「日の丸・君が代」は「決定したことだから」と議論することも許されませんでした。答辞の原稿を事前にチェックされたり、「どんな式にしたいか」というアンケートもやめさせられかけたとのべました。

 また、「君が代」の斉唱のとき、自分が起立しなければ学校や教師に迷惑がかかると考え、やむをえず起立したことを証言。「三年間の学校生活で徹底的に話し合ってお互いの考え方の違いを受け入れ合うことを学んだが、卒業式だけは生徒たちで決めたことはほとんどなく、徒労感だけが残った」と語りました。

 同じく原告側証人の都立高校元校長は、従わないものは処分するという、都教委の異常な強制のもとで「学校の裁量権がまったくなくなり、教員の教育活動への意欲が奪われた」と証言しました。

(出所:日本共産党HP 2008年3月4日(火)「しんぶん赤旗」)
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「日の丸・君が代」-「強制おかしい」が国民の合意-

2008-03-03 22:09:13 | 国内教育
主張
「日の丸・君が代」
「強制おかしい」が国民の合意

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 卒業式や入学式で「君が代」を歌わせるためなら手段を選ばない―そんな異常な行政に「待った」をかける司法の判断が続いています。

卒業式めぐりつづく判決
 石原東京都政は「君が代」斉唱・「日の丸」掲揚を「教育正常化」のカナメと位置づけ、都教委通達をだして学校の権限を無視した画一的な卒業式や入学式の執行を命じ、従わない教職員を片っ端から処分しました。生徒には「君たちが大きな口を開けて歌わないと大好きな先生が処分されるんだよ」と陰湿な圧力が加えられます。生徒の心を土足で踏みにじる、教育にあるまじきおこないです。

 これにたいして東京地裁は二〇〇六年九月、都教委の「10・23通達」を違憲・違法と認定し、教職員らに通達に従う義務がないことを確認する判決をくだしました。

 今年二月七日には、定年を迎えた教員のうち不起立だった人だけ再任用を拒否したことを、「客観的合理性や社会的相当性を著しく欠く」不法行為だと認定し、東京都に二千七百六十万円の賠償を命じました。

 通達を是認した点で不十分ですが、教育熱心で生徒からも「来年も教えて」と慕われていた教員を、「君が代」の踏み絵だけで排除した都の非道さを告発したものです。

 卒業式ではありませんが、障害のある子どもに必要な性教育を保護者の支持のもとでおこなったことへの見せしめとして、都立七生(ななお)養護学校の元校長を処分したことも二月二十五日、違法として都に処分取り消しを命じました。

 神奈川県では、県教委が県立高校などで「君が代」斉唱時に起立しなかった教職員の氏名を校長に報告させる制度が問題となりました。県の個人情報保護審査会は昨年十月、条例で禁じられている「思想・信条に関する個人情報の収集」にあたるとして、氏名情報の保管や利用を中止する答申をだしました。

 こうした判断の土台には憲法があります。

 「日の丸」「君が代」は侵略戦争のシンボルでした。そのことに思いをはせて拒否の感情をもつ人々の気持ちは、憲法に照らして守られるべき「思想・良心の自由」です。この点は、政府も国会でたびたび「その通り」と答弁してきたことです。

 いま一つの土台は、「なにがなんでも歌わせろ」という行政の命令が、校長の裁量権すら奪い、まじめな教育者をさいなみ、教育の営みをこわしていくことへの深い憂慮です。

 「卒業式は最後の授業」そんな思いで卒業作品をつくり、手づくりの式を準備してきた生徒と教師。それが都の命令で作品は壇上から撤去され、格式ばった式になる。誰が考えても胸がつぶれる光景です。

 世論も、「君が代」などへの賛否をこえて、「強制はおかしい」で一致しています。異常な行政に歯止めをかけ、広げないために力をあわせようではありませんか。

学習指導要領見直しを
 強制のおおもとには、文部科学省が学習指導要領で「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と定めてきたことがあります。

 その結果全国でも、東京ほどではないにしても強制がすすんでいます。二月公表された新指導要領もこの規定は同じです。

 入学式や卒業式は、子どもを温かく迎え、送り出すためにこそあります。指導要領からこうした規定を削除することをつよく求めます。

(出所:日本共産党HP  2008年3月3日(月)「しんぶん赤旗」)
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