お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

いまどきの 若者たち

2011-01-28 | my Anthology

PHOTO:スポーツを介して国際交流を目指すボランティア団体「ISCA」のホームページには活動的な若者がいっぱい。

「いまどきの若者は‥‥」という上の句には、ソクラテスの時代から、たいてい否定的な下の句が続くものとされてきました。昨今のアメリカの若者はいかがなものでしょう?

現代アメリカを代表する『若者』といえば、まずはマーク・ザッカ―バーグ(Mark Zackerberg)です。ハーバード大学在学中にソーシャル・ネットワーキング・サイト「フェイスブック(facebook)」を立ち上げ、そのまま大学を中退して起業。創業者にしてCEOとなった彼は、まだ株式公開前というのに、既に世界最年少のビリオネア。このシリコンバレーの新星は雑誌タイムが選ぶ『2010年のMan of the Year』にも選ばれ、世界が認める若きアントレプレナーとして成功を嘱望されています。

大学生専用サイトだったフェイスブックですが、今では誰でも参加できる、一般公開のソーシャル・ネットワーキングです。最近では中高年の加入も急激に伸びていて、世界中合わせると5億人以上。世界人口12人に1人が登録メンバーとか。加入者の量的・層的拡大につれてフェイスブックはビジネスモデルを大きく転換させて急成長しており、2012年には株式公開間違いないと予測されています。フェイスブックがIPOすれば、シリコンバレーにはたくさんの若いミリオネアが誕生し、さらに次の成功を求めて飛び立っていくことでしょう。

フェイスブック誕生秘話をドラマ化した映画「ソーシャル・ネットワーク」は昨年もっとも評判をとった作品のひとつ(ブログ記事:いまどきのヒット作』)。すでにゴールデングローブ賞に輝き、さらにアカデミー賞にもノミネートされていますが、実はこの映画、アメリカンドリームを実現する若者たちの単純で明るい"青春ドラマ"というわけではありません。ハーバードの同級生3人で始めたといわれながら、なぜかマーク以外の創業者の姿が見えず、代わりに聞こえてくるのは訴訟沙汰‥‥の状況を、「何故?」と疑問に感じていた向きには「なるほど」の起業『裏ストーリー』が語られます。また、彼の周辺に登場するシリコンバレーの若い成功者(別名は成金?)や投資家たちの行動が、外の世界の人々の目にどんな風に映っているのかも興味深く見せつけられます。加えて、いまどきの女子学生の行動や価値観についてもさまざまに考えさせられる‥‥まさに「いまどきの若者」の映画になっています。

さて、もうひとりの若者はクリス・ヒューズ(Chris Hughes)です。ご存知でしょうか?

大統領選挙キャンペーン中、オバマ候補は草の根の支持者を広く組織化し、ごく小口の寄付を寄せ集めて多額の選挙資金をまかないました。従来はとても不可能だと考えられていた全国の支持者個々人をひとつにまとめて組織化することを可能にしたのは「MyBarackObama.Com」略してMyBOと呼ばれたウェブサイトでした。MyBO上には200万人以上のボランティア支持者が登録、1300万のe-mailアドレスがリストされ、3万5千超の支持者グループが結成され、20万回を優に超えるオフ会が開かれました。またMyBO上に支持者が開設した約7万の資金調達ページから総額30億円以上の選挙資金が集められ、これがオバマを当選に導く資金源ともなったのです。

このMyBOのウェブサイトを制作したのがクリス・ヒューズです。実は、クリスはフェイスブック創業者3人のひとり。大学を辞めてシリコンバレーに移ったマークと袂を分かち、クリスは大学に戻って卒業し、それからオバマ候補のキャンペーン支援部隊に参加。フェイスブック立ち上げで培ったノウハウをボランティア支援システムの構築に活かして成功させたのです。(ブログ記事:『いまどきの若者』)

2010年2月、クリスはオバマ政権の仕事を離れ、NPOを立ち上げました。その名は『JUMO』。西アフリカの言葉で"コンサートに集まること"。JUMOは社会問題の解決のために活動する個人や団体を結び合わせ支援するためのNPOであり、ウェブサイトでは「活動している人」と「活動したい人」を結びつけます。

「技術は、使命を持つ人によって使いこなされた時にこそ、最も威力を発揮する」というのがクリスの信念。「世界各地で大勢の人が既に社会問題の解決のために働いています。必要なのは、その人々に役立つ技術を届けること。それがJUMOの使命です」と語っています。

マークとクリス。「営利追求型起業」か「社会的起業」の違いはあれど、いずれも最先端技術を駆使して人と人を結びつけ、社会の仕組みを、われわれの暮らしを、根底から変える仕事をしています。弱冠(失礼!)27歳にして、草の根の変革どころか、もしかしたら静かな革命を引き起こしているのです。若者が『時』と『場』をともに得た時に発揮する力にはすさまじいまでの勢いがあります。いまどきの若者はダメだなんて…、とうてい言えません。

この、ともに聡明にしてタフで頑張りやのふたりが、それぞれの大事業の基礎となるアイディアを得たのは大学の寮でした。アメリカの大学は、あまた殺到する受験生に「自らをアメリカがほんとうに必要とする『期待される人間像』であると証明」するよう求め、そうして世界の明日を担う若者を見い出し、育てようと本気で生真面目に考えています(ブログ記事:『必読!アメリカのお受験』)。

若者に「かくあれ!」と衒いなく期待を語り、社会は志ある若者を必要としていると真剣に呼びかけ、実際に登用することで励ましあるいは奨学金を出して支援しているのは、大学ばかりではありません。企業も(ブログ記事:『ジュニアノーベル賞発表』)、政治家も、そして行政も(ブログ記事:『ファーストレディの贈る言葉』)若者に真剣に語りかけ、向き合っています。そう、ミス・アメリカのコンテストもその例外ではありません(ブログ記事:「ミス・アメリカはファンドレイザー)』。世界をリードする若者が育っている国には、やはりそれなりに若者を育てる土壌と仕組みがあるのだと思います。






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