お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

犬は友だち、猫はヒーロー

2013-09-14 | my Anthology


 世の中は犬好きと猫好きに分かれるとか、ひとには犬型と猫型がいる・・・とか、なんといっても身近なペットは犬と猫。

 では、絵本の世界の猫と犬は? 
 敢えて大胆に言いきってしまうと、絵本の中で、犬は友だち、猫はヒーローです。

 猫の方から見てみましょう。

 古いところでは「長靴をはいた猫」の民話があります。お父さんの遺産としてもらった猫。「猫じゃ食べられないよなぁ」と嘆く男の子に「そう捨てたもんでもないぜ。養ってくれたら、後悔はさせないよ」とうそぶく猫。すでにして猫にリードされていますが、そのまま猫のアドバイスにしたがった結果、男の子はめでたく王女様と結婚。今ならさしずめ「逆玉の輿」というところ。英語版は "Puss in Boots" 。いろいろなバージョンがあるようですが、私は Fred Marcellino が絵を描いている、カルデコット賞を受賞した本が好きです。どうです!この賢そうな猫!

Puss in Boots
Square Fish

 
 次の猫は、これもほぼ古典。ドクター・スースの人気シリーズの1冊 "Cat in the Hat" です。

 お母さんはお出かけ。外は雨降り。きょうだい2人だけの退屈なお留守番だったはずが、次から次へと奇想天外なパフォーマンスで楽しませてくれる猫が登場し、退屈どころかスーパー・エンタテイメントな時間が展開します。ところが、タイミングを心得た猫は、退場しつつ、きれいに後片付け。帰って来たお母さんに「なにしてたの?」と聞かれても・・・「え~と・・・」。

The Cat in the Hat
Random House Books for Young Readers


 現代の猫もヒーローです。

 すでにご紹介した" Pete the Cat" シリーズは、最近のニューヨークタイムズ紙の「今週のベストセラー」の常連。同様に "Splat, the Cat" も、やはり長くニューヨークタイムズ紙のベストセラーの常連だったシリーズ絵本です。マイペースでカッコいいPeteは子どもの憧れ、甘えん坊でときどき引っ込み思案なSplatは言わば
子どもの分身。PeteもSplatも、ともにアメリカ人の子どもなら誰でも知っている猫のヒーローです。

Pete the Cat: I Love My White Shoes
HarperCollins


Splat the Cat
HarperCollins


 一方、犬は,常にひとと一緒です。

 クラシックなところでは、ディズニー映画「101匹わんちゃん大行進」の絵本 ”101 Dalmatians”があります。全篇ほとんど犬たちだけの冒険物語ですが、飼い主の元からさらわれたという想定で、最後はちゃんと飼い主の家に戻ります。

101 Dalmatians (Disney 101 Dalmations) (Little Golden Book)
Golden/Disney


 まったくの余談ですが、このお話に出て来るぽっちゃりした家政婦さんを見て、子どもの頃の私は、なんて愉快に誇張された姿なんだろうと思っていました。ところが、アメリカに来てみて、子犬を両脇に抱えて階段を上って行く後ろ姿の、あの大きなお尻が、誇張でもなんでもない、よくある姿だと知ったときの驚きは忘れられません。

 さて、これもクラシック "Harry, the Dirty Dog" (日本語版は「どろんこハリー」)では、泥んこ遊びに興じたハリーが真っ黒になって飼い主にハリーだとわかってもらえない・・・というお話。ハリーが1人で遊び回るのですが、でも、お話の伏線は飼い主との関係。やっぱり飼い犬です。

Harry the Dirty Dog Board Book
HarperFestival


 かつてアメリカ中の子どもが知っていた犬は、大きな赤い犬 "Clifford" でしょう。シリーズ全篇を通じて、いつも飼い主の女の子と一緒です。

Clifford the Big Red Dog (Clifford, the Big Red Dog)
Cartwheel Books


 同じように、大きな犬と女の子が主人公の絵本を、日本のアーティスト奈良美智さんが英語で出版しています。

The Lonesome Puppy
Chronicle Books


  犬たちは、絵本で主人公になるときも、いつもひとと一緒です。冒険しても、最後は飼い主のところに戻ってきます。英語では犬の別名は「ひとの最良の友だち (Men's best friend)」ですが、なるほど、むべなるかな。一方、猫たちは独自の世界を構築し、むしろ1人で活躍するヒーロー。飼い主はそもそも登場しないことの方が多い。

 やっぱり犬と猫はキャラクターがだいぶ違いそう。ひとが犬派と猫派に分かれるのも、無理はないですね。

 
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