お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

いまどきのヒット作 -- ソーシャル・ネットワーク

2010-10-06 | from Silicon Valley


試写段階ですでに★★★★★と言われ、前評判が高いので大いに気になっていた映画"The Social Network"を見てきました。

ハーバード大学在学中にソーシャル・ネットワーキング・サイト「フェイスブック(Facebook)」を立ち上げ起業。ファウンダ―にしてCEOとなり、成功して世界最年少のビリオネアとなったマーク(Mark Zuckerberg)を中心に、フェイスブック誕生秘話を映画化したものです。日本では来年1月公開予定、邦題もオリジナルのまま「ソーシャル・ネットワーク」だそうです。

この映画、アメリカンドリームを実現する若者たちの単純で明るい『青春ドラマ』というわけではありません。ハーバードの同級生3人で始めたといわれながら、なぜかマーク以外の創業者の姿の見えないことを疑問に思っていた向きには「なるほど……」と思わされる、起業『裏』ストーリーが語られます。また、シリコンバレーの若い成功者(傍目には、別名は成金?)たちの行動が、そしてその陰にいる投資家たちの行動が人々の目にどんな風に映っているのかも、なかなかに興味深く見せつけられます。ついでにいまどきの女子学生の行動や価値観についても、さまざまに考えさせられる……映画になっています。

2時間以上の長い映画なのですが、小気味よいテンポで展開するので退屈しません。なにしろ登場人物の誰もかれもが、若くて超早口。そのうえ画面転換もストーリー展開も速いので、ついつい最後まで引き込まれて観てしまいます。その意味で、たしかに『お薦め』です。でも、考えてみればテンポが速いのも当たり前。そもそもの実態が超スピードなのですものね。そう、フェイスブックは(フェイスブックも、でしょうか?)創業者たちがアイディアを得てスクラッチからプログラムを書き、ガレージならぬ学生寮でほんの数人の仲間で立ち上げてから世界を席巻するまでに、ほんの数年しかかかっていません。やれやれ、世の中、この先もこのスピードでどんどん変わっていくのでしょうか?

ところで封切り初日の10月1日、シリコンバレー中が注目していたのが、パロアルトにあるフェイスブックの本社です。マーク自身は、この映画を「事実と齟齬がある」とサポートしなかったのですが、当日、フェイスブック本社は半日勤務となり、午後は社員全員が会社が借り切った近所の映画館に出かけてこの映画を鑑賞したと報道されました。

ちなみに一般の反響もまずまず予想通り。最初の2日間のチケットの売り上げは全米で2,300万ドル。映画レビューサイトには「オスカー4本まちがいなし!」などのポジティブな書き込みが目立っています。書き込みはもちろん、映画館の入場者も若者が7割以上の観がありました。

フェイスブックはもともとは大学生専用サイトでしたが、徐々に開放され、いまでは誰でも参加できる一般公開のソーシャル・ネットワーキング・サイトです。アメリカでは18-29歳の86%、30-49歳の61%がフェイスブックに登録していると言われていますが、最近では中高年の加入も急激に伸びていて、50-65歳では2人に1人、65歳以上でも4人に1人が登録しているとか。この変化につれて、フェイスブックそのものも学生向きの広告サイトから、企業が最新のクチコミ・マーケティングを展開するツールとなり、大企業含めビジネス広告モデルを大きく変化させています。

でもこうした変化は、学生たちには必ずしも歓迎されていません。それはそうですよね。友達同士でワイワイやっているところへ、両親どころか祖父母や親戚、果ては近所のおじさんおばさんまでがぞろぞろと入ってきたら……。入ってくるだけじゃなくて、仲間との会話に口を出すようになったら……。「カンベンしてよ!」と叫びたくなる気持ち、わかります、よね?

母親に「洗濯したパンツをベッドの上に置いといたわよ」などという書き込みでもされた日には(どうも世の母親は時々こういうことをやるらしい)、友達に会わす顔がないどころか、面目丸つぶれ。しかもサイト上で「ともだち」リンクを張ると、平気で当人の赤ん坊時代の”恥ずかしい”写真をアップしたり(親にしてみれば「可愛い!」写真なんだけど)……。

こんな子どもたちの困惑と、親の無邪気な(あか抜けない)言動を揶揄するビデオ"My Mom's On FaceBook"がYouTubeにアップされて人気を博しています。

困るのは、親たちが子どもの困惑に気づくどころか「フェイスブックを使いこなせる自分たちは『ハイテクでかっこいい親』だと勘違いしている」こと、というのが子どもの感想。だからといって、無邪気な母親に「僕たち、もう『ともだち』じゃないから」なんて、言えないし……。実際、フェイスブックに登録している親の4人のうち3人までが子どもにリンクしているとあれば、親の言動に辟易している「子ども」たちも数知れず、いそうです。

そんな子どもたちが互いの愚痴を共有するサイトがあります。題して"Oh Crap! My Parents Joined Facebook" 「ご両親がフェイスブックに登録?おめでとう!あなたの人生は、これで終わり!」の歓迎の辞を掲げるサイトの投稿を読んでいくと……なるほど、確かに笑えないものがあります。思い当たる親ごさんは是非ご一覧!

 




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