うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

うなぎとSRPG  4  負け犬たちはなんか間違っているから負けるんだ伝説

2010年04月20日 | ゲーム日記
さて、メガドライブのターンが続いたが、PCエンジンにもSRPGがないわけでもなかった。

PCの名作『マスターオブモンスターズ』が移植されたのだ。



PCエンジンはHuカード時代を終え、CDロム時代へと移っていた。
『イース1.2』をはじめとして様々な名作が登場し、「こ、こいつしゃべるぞ!?」と衝撃を与えてくれたものだが、SRPGには関係がないので割愛する。いずれPCエンジンについて語ることがあれば、そのときに。
ともあれ、そのCDロムで移植されたのが、『大戦略』をファンタジーにアレンジしたこのゲームだ。
ファンタジー化にともない、ユニットのレベルアップとクラスチェンジをとりいれており、オリジナル版は88年に出ているため、これこそがSRPGの起源の一つだと見ることもできる。
91年にようやくCDロムに移植され、無駄にカッコイイ生音と長いロード時間でぼくらを圧倒してくれたわけだ。
が、キャンペーンモードでつづけて面を攻略していくことはできるが、別にストーリーが特にあるわけではなく、あまりSRPGという感じはしない。あくまで成長要素も取り入れたSLGの範疇だ。

このゲームはやはり兄と対戦した。
そしてSLGではじめて兄に勝利したゲームでもある。
その戦略とは「グラフィックの都合上、青い自軍のユニットは海に置くと保護色でまぎれるので、海上からこっそり敵本拠に上陸する」というものだ。
見事この戦法で初勝利をもぎとったうなぎ軍であったが、兄は「それは卑怯だからダメだ」とノーゲームを宣言した。
ショックで二度とプレイすることはなかった。


と、一つ忘れていた。
SRPGではないが、90年末に一本、CDロムでSLGが出ている。
ヒューマンの『バスティール』だ。

バスティール 【PCエンジン】

ココナッツジャパン エンターテイメント



このゲームのすごいところは、潔いほどに『ガシャポン戦士 スクランブルウォーズ』をもろパクリしたところだ。オリジナルロボットでリアル等身にしたガシャポンウォーズ、それでシステムはすべて説明がつく。
成長要素こそまるでないが、ストーリーにそって面を攻略していく要素がある。
そのストーリーは、「宇宙帝国みたいなのが支配している未来世界。血をわけた兄弟が一人は帝国の指導者として、一人は反乱軍の首領として争いあう」というもので、ゲーム開始時に兄と弟のどちらかを主人公に選ぶことになる。
なかなか燃える設定だし、当時のCDロムの当然の流れとして、オープニングや面の合間にビジュアルシーンを挿入し、ストーリーを盛り上げようという意図も見える。が、ひのビジュアルシーンの八割が面の分岐を選ぶ「どちらにしますか?」「よし、こっちだ」だけであり、特にストーリーらしきものがあるわけでもない。
面の構成もひたすら単調で、似たような面が延々と続くし、アクションもざっぱだし、同じような戦法で勝ちつづけられるため、非常にだれる。
戦闘前のロードも長く、とにかく根気がいるゲームだった。つまりつまらなかった。
ただし、ゲーム音楽としては珍しく、BGMがジャズで統一されているため、無駄に雰囲気は良い。ただしゲームの雰囲気と死ぬほどあっておらず謎めいた空間ができあがっている。
のちに2が出て、こちらはSRPG化したらしいが、これはプレイはおろか店頭で見た記憶すらない。おそらく、このゲームのプレイが苦痛すぎて見なかったことにしていたのだろう。
ジャズゲーム、また出ないかな……


PCエンジンのターンが続く。
91年末、早くもCDロムの限界を感じたNECは、パワーアップさせるシステムカードを発売。以後、このシステムカードにのみ対応したスーパーCDロムのゲームばかりになる。
そのスーパーの初期に、一本のSLGが発売された。
日本テレネットの『レディファントム』だ。



たった五機の特殊小隊で戦場を渡り歩いていくという、ロボットアニメまるだしの設定の本作。しかし問題は、すでにPCエンジンに蔓延しつつあったギャルゲー病に早くも感染し、おんにゃの子だけの戦隊になってしまったところだ(というかこの病気の主な発生源が日本テレネットだったんですけどね)
それでいてゲーム内容は、無駄に射角や索敵などを意識しなければならぬ変な本格派で、回復手段が一切用意されていないという珍妙な男らしさとともに、なんかめんどくさいだけでいまいち楽しくなかった。
せつかく女の子戦隊なのにとくにそういう見せ場があるわけでもなく、ストーリーに盛り上がりがあるわけでもなく、ギャルゲー層にもSLG層にも損をするような不思議な結果になっていた。
成長要素があったかどうかおぼえてないので、SRPGではなくSLGの枠かもしれない。


同様に、CDロムで91年末に出たSLGに『スーパーシュヴァルツシルト』(光画堂スタジオ)がある。

スーパーシュヴァルツシルト 【PCエンジン】

マイクロキャビン


成長要素こそないが、シュヴァルツシルトシリーズはSLGにドラマティックな展開を求めて作られたシリーズで、今作はその二作目だっけな? あたりのリメイク移植にあたるらしい。(PC版をしらないのでうろ覚え)
『銀河英雄伝説』まんまの世界観のもと、宇宙艦隊による惑星間の攻防をあつかった本作はその美麗なビジュアルとアニメチックにドラマティックな展開でストーリーを見せてくれる、正しくPCエンジン的なゲームだった。
SLGとしてはいささか戦闘が単調すぎるきらいがあったが、ストーリーを見せるSLGとしてのクオリティは非常に高い。
自分の中では前述の『バスティール』を成功させたようなゲームとして記憶に残っている。
が、プレイ時間も短めで、優等生的なゲームだったため、いまいち印象はうすい。


そんなうす味のPCエンジン軍とはちがって、濃厚な印象を残すのはやはりセガ・メガドライブ。
シャイニングフォースの前の、91年末、実にセガらしいSRPGが放たれた。
『忍者武雷伝説』



どうだろうか、この問答無用のタイトル画面は。
やたら忍者ゲームを出すことで有名なセガだが、SRPGにもまず忍者を投入するという徹底っぷり。偵察? 偵察なのか? 忍者だけに。

このゲーム、とにかく渋い。
ゲーム内容はびっくりするくらいにFEそのまんまなのだが、タイトル画面同様のやたらリアルな映像が定期的に差し込まれて「ああ、これメガドラだ……」という気持ちを再確認させてくれる。もちろんその映像は坊さんとか武士とか漢指数の高いものばかり。
メニューを開くたびに「いよぉ~」閉じるたびに「ポン」とあらゆる効果音までもが和風に統一されており、メニューを開いて閉じてをくり返すだけで爆笑できるというセガとしかいいようのないインターフェイスは最強としか云いようがない。

FEもどきでありながら、主人公を含めたあらゆるキャラの顔がどこからどうみてもモブであるあたりもセガの「忍とは目立たぬものだ」という強い思想を感じざるを得ないし、ろくにセリフもなく、まともなストーリー性など皆無で、日本みたいな国で日本にない地名をめぐり信長がひらいている幕府を倒すという、いったいどこに向かっているのかわからない世界観も最高にセガの忍者である。

そんな最高に忍者なこのゲーム、難易度も忍者クラス。
とにかく敵と自軍の性能差がほぼないうえに、敵のほうが当然のように数が多く、死んだユニットはもちろん復活できないし、金は常に足りないし、レベルをあげるポイントなど存在しないし、おまけに異常なまでに厳しいターン数制限がある。ほぼすべての面が残り1ターンとかの厳しい戦闘を強いられるのだから驚きだ。
ただでさえ厳しいFEバランスに、さらにターン数制限を設けるという鬼仕様に「うちは任天堂なんかに負けない」というセガの意地を見たが、争う場所がちがうよ、セガ。
わずか十面しかないゲームであるが、精神的な苦痛が激しいのでクリアーした時の達成感は異様にあり、というかいまだもって「よくクリアできたなおれ……」と当時の自分をほめてあげたい。いまのおれには無理だ。

しかし忘れてはいけない。FEでうちのめされ、今作によって「SRPGこわい」となかばトラウマを植えつけられたために、翌92年三月の『シャイニングフォース』がより心地よく感じられたのだ。
『シャイニングフォース』をより楽ませてくれた最高のスパイス、それが『忍者武雷伝説』。
セガ人として忘れてはいけない、セガSRPGのルーツである。


しかし任天堂としてはそんな子供達のトラウマを察したのか、92年三月に発売された『ファイアーエムブレム外伝』ではずいぶんと調整がなされていた。

ファイアーエムブレム外伝

任天堂



ベースのシステムは前作と同じながらも、フリーマップの採用により、根気さえあれば安全にいくらでもレベル上げが可能になったことがまず大きい。
武器も通常のゲームのように使用回数制限がなく、装備すればただ強くなれるだけであり、高い武器を出し惜しみして死ぬような場面はなくなった。
死亡したキャラも、無制限にではないが何人かは生き返らせることが可能となっており、ずいぶんと気が楽になった。
グラフィックも当時おわりかけていたファミコンとしては非常にがんばっており、特に魔戦士の動きなどは非常にカッコよかった。
というか魔戦士という職業は極めるとステータスそのままで初期クラスに戻れるため、とにかく魔戦士になってもどってまた魔戦士になってのくりかえしで簡単に最強キャラになれる魔戦士ゲーと化していた。魔戦士さんは最高や!

ゲームとしての出来はやはりダンゼン素晴らしく、二人の主人公を交互に動かして進めていくストーリーもドラマティックで、他のパチモンSRPGとの格の違いをみせつけた。が、初代に比べると凝ったマップが少なく、完成度の点ではやや初代より落ちるか。
とは云っても、初代とはちがってキャラを育てまくる快感やレアアイテムを集めまくる快感など、ちがうアプローチに成功もしているため、甲乙つけがたいかもしれない。
データの消えやすさも初代と甲乙つけがたい。
この頃には我が家のファミコンも相当へたっていたせいか、一度カートリッジを抜くとほぼ100%データが消えるまでになっていたため、長いあいだFE外伝を抜くことは禁じられ、ファミコンはFE外伝専用機と化した。そしてそれでもなおデータは消えた。悪魔か、このゲームは。
『シャイニングフォース』の素晴らしい点に、データが消えないというのも加えられるだろう。本当、メガドラさんのゲームのデータはぜんっぜん消えませんぜ?

こうして92年春にはSRPGは一つのジャンルとして完全に確立された。ファミコンはほぼ役割をおえスーパーファミコンの時代が本格的に訪れ、そしてここからのおよそ五年が、SRPGの黄金時代となるわけだが……疲れたので続く。
続きはいつ書くかわからない。
というか、かるい気持ちではじめたので、まさかこんなに手間がかかるとは思わなかった……時代的にはここからがSRPG時代なんですけど……





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3 コメント

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Unknown (涙目のルカ)
2010-04-20 21:49:00
武雷伝説&外伝の記事ありがとうございます。
武雷伝説は成長率に差がないから同レベルの敵とステータスが全く同じでしたよねw
主人公である武雷の忍者の職も同様に。
何のために固有名つけてんだと小一時間(ry

関係ないですがうなぎさんは「俺屍」は
SRPGの範疇に入ると思いますか?
ウォーシミュレーションではなく
(一族の)経営、繁栄シミュレーションではありますが。
丁度この時期に「ダビスタ」というシミュレーションの分野に新たな発明が起こり、
他ジャンルでもそのシステムを取り入れる流れが始まり(ファンタシースター3とか)
エムブレムでもインスパイアされた
「聖戦の系譜」が出て その集大成として
「人間ダビスタ」な「俺屍」になったと
わたくしなんぞは思うわけですが。
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Unknown (PCエンジン軍軍師・鳳統ゅんきち)
2010-04-20 22:15:27
忍者武雷伝説って見た事も聞いた事もないんだけど、きっと忍者龍剣伝と影の伝説と源平討魔伝をミックスしたゲームなんだよね!

(*´Д`)ナイスアクションゲーム!



てゆうか武雷と言えばPCエンジンのブライがグゥ…Zzz

(*´Д`)ムニャムニャ………ママン…僕、きっと、NECに天下を取らせる軍師になるから……SEGA軍になんか負けないんだから……ブッ(寝屁)
返信する
Unknown (うなぎ)
2010-04-20 23:16:42
>涙目のルカさん

いえいえ、もともと忍者武雷も外伝も語るつもりだったので問題ないです。特に武雷。

で、『俺屍』がSRPGかどうかは考えたことないです。自分の中ではRPG。
そもそも後年になればなるほど増えるジャンル越境ゲームに関しては無理にジャンル分けする必要がなく、やった方が好きに思えばいいのでは?

ただファンタシースター3はダビスタよりはるかに発売早いから影響受けてないけどな!
世代交代システムの元祖はドラクエ5でもダビスタでもない、ファンタシースター3さんなんや!


>鳳統ゅんきち
任天堂・SEGA・NECによる天下三分の計は、ソニーのクーデターにより覆されるというリアル三国志状態だったわけですが、メガドラとPCエンジンのどちらが蜀なのかで永遠に争い合っていきたい。
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