おじんの放課後

仕事帰りの僕の遊び。創成川の近所をウロウロ。変わり行く故郷、札幌を懐かしみつつ。ホテルのメモは、また行くときの参考に。

札幌の音

2022年07月25日 | 動画

悲しい空が広がっていた。

もうここに立ってはいられなかった。

ポケットからスマホを取り出して、

特急とホテルのチケットを取った。

そういえば、この9月で「パセオ」が閉まるというぞ。

「エスタ」の東側半分は、来年の夏ごろ。

寂しくなるなぁ……

あの要らない北海道新幹線とやらのせいで、

札幌がまた少し、札幌でなくなる。

じゃあせめて、音くらい撮っておこうかと。

列車のなかで、ぼんやりと考えた。

 

メルキュールホテル札幌の、喫煙室の窓からは、

ホテルの箱庭を通して、お隣のビルの観音像が見える。

カオスとまでは行かないが、

カオスの片鱗のようなものが、ちらり、ほらりと見えるのが、

「すすきの」という街らしいんだろう。

ふんわり、カリッとしたお魚のムニエルを、

今回も美味しくいただいた。

 

地上階、札幌駅の北口側に、

「パセオ」への入口がある。

なにやら異界への入口のような(笑

現在、あの要らない北海道新幹線のために、

本来ならば写真の左手へと続いていくはずの北口通路が、

閉鎖されてしまっています。

客は南口通路へと押しかける形になり、

荷物をぶつけたり、肩がぶつかったりと大変です。

 

実はここが、今回最初の音の場所になる予定でしたが。

あの要らない(以下略)のために、音だけ撤去済みだそうで。

ここ一応インスタレーションで、芸術作品なんですが。

もう壊れた状態になってます。

どんなサウンドが展開していたのか。

この風景からは想像もつきませんが……

なにせ、「パセオ」が閉まるという情報で初めて、

こういうところがあるのを知ったんで。

まあ、閉まるというのでなければ、

ここで取り上げることもなかったろうなとは思います。

店内へは、こんな感じでつながっています。

このインスタレーションは、

テルミヌス広場のレリーフと一体なのだそうで。

振り向いたその先に、テルミヌス広場。

現在は、「パセオ」の過去を回想する企画展示がされてます。

ご覧になってお気づきかも知れませんが、

ここは小さなテナントがいっぱい集まった市場のようで。

今年1月に閉店した「4プラ」の「自由市場」が、

もう少しお上品になって、こちらへと広がってきたみたいな。

静かな店内を、ウインドウショッピングのような感覚で、

楽しく見て回れる造りになっている。熟しているなと。

閉店にでもならなければ、

来てみることもなかったか知れないなぁ……

若者、女性の街って感じで、

オジサンはちょっと入りにくい。

テルミヌス(英語のターミナル)広場のレリーフ。

イベント広場として使ってたそうですが、

いえ、なんでもないです。

 

さて、ここはこのくらいにして、

札幌の音を撮りに行こう。

まず思い浮かぶのは、やっぱ、コレだろうなぁ。

 

 

動いてるのに出くわすのが、なかなか難しい。

ガキのころから、札幌へ出てくれば、

このガチャン、チンという音がどこかにあった。

じいちゃんも、子供のころ、この機械を見てたんだぞと、

孫の代まで共有できる、数少ない話のネタですな。

かつては「そごう」が入っていて、

今は「ビックカメラ」が入っている駅ビル。

その地下に広がる「エスタ」にも、

昔からの札幌の音があります。

 

 

確か、正午と午後3時に鳴る。

それ以外の毎正時には、

 

 

これらも、来年の夏には消えるということのようだ。

「とうまん」屋さんのある西側半分は残るみたいだから、

そこで聞けるかもしらんけど(笑

 

あちこち歩いているうちに、

気分もようやく晴れてきた。

でももう、汽車の時間だな……

今日はこの駅弁。

シャケ、イクラ、ウニと、海産物の代表が集まったお弁当。

隣の「やまべ鮭寿司」はお土産。

当初はバレン(弁当の仕切りの野原の断面みたいなやつ)だと思っていたが。

この昆布の型抜きした会社、

ちょっと来なさい。

繊維質でヌルヌルで崩れやすい昆布をまあ、

よくもこんな見事に抜いたなと。

しかもそれを駅弁に使うとか、大好きだよ。

ひょっとして、札幌テレビ塔の、

ジオラマお土産作ってる会社さんかな?

(正式名称「3Dペーパーパズル さっぽろテレビ塔ジオラマ(45pieces)」)

あれ確か、レーザー光線で抜いてるんだよなぁ。

こちらもお見事です。

 

無常にも、鉄道唱歌が聞こえきて、

心地よい食後の眠りから、突然、旭川駅のホームへと追い出され。

事の次第に追いついてない、自分の頭をゆるがすような騒音を発……

あれ?うるさくないな。

 

 

こんな近くにスピーカーがあるのに、

うるさくないな。しかも、ホームの端でも、

同じようにちゃんと聞こえる。

だのにこのサイズ。この貧弱な固定具は。

どういう仕組みなのか、見当もつかない。

もはや魔法だな。

昔ならば、メガホンで、力任せにやるところだ。

うるさくて、近くになんかいられない。

メガホンのサイズもまたデカイ。

環境を味方にするなんて発想は、あの当時は無かったなぁ。

たぶん、ホーム全体が共鳴器になってるんだろう。

その中にいれば、どこでも同じようによく聞こえる。

スピーカーの位置が節の位置なのかな?

そこは本体からの直接の音でカバーしてるんだろう。

なんて、にわか知識を振り回して喜んでいる。

ふと見上げれば、ホームの端からは、

あの悲しい空が、大きく大きく広がっていた。


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