goo blog サービス終了のお知らせ 

時代のウェブログ

イマを見つめて
提言します

引退発表~中田英寿と佐藤栄作に見る"時代"

2006年07月03日 22時00分00秒 | ネット・IT
サッカーの中田英寿が引退表明した。
中田引退については、あちこちで色々と書かれてそうなので特に触れない。参照リンク一覧の各ブログを読んでいただければ、ここで筆者が語るよりもさらに有意義な意見を目にできるだろう。

そこで当ブログでは少し視点を変えて、今回の引退表明を見ていこうと思う。
今回の発表を聞いて、ある引退表明会見を思い出した。
それは昭和47年(1972)6月17日。佐藤栄作総理の引退会見。この会見で、総理は「私は国民に直接、話したい。新聞記事になると真意が伝わらない。新聞記者は帰ってくれ」と冒頭で発言。これに怒った各新聞社の記者が席を立った。
マスコミのニュース報道について、新聞とテレビの関係が逆転したのは、まさしくこの昭和47年6月17日ではないかと感じる。
これ以降、重大な発表はテレビカメラを招いて記者会見という形式で行われるのが普通となった。また昼や夕方のニュース番組の時間帯に合わせて、生中継を考慮した記者会見というのも珍しくない。つまり記者会見の設定が、それまでの朝刊・夕刊の締め切り時刻を第一にしていたのが、昼・夕のテレビニュース第一に切り替わったと言えよう。

そして2006年7月3日。中田英は自身のホームページ上で引退を発表した。テレビのニュースは、これを受ける形で報道せざるを得なかった。
生中継はともかく、VTRという形で記者会見報道は、編集というテレビ局側の意向が加わる。従って、発表する側としては、編集という作業が行われない発表方法の方が望ましいのは言う間でもないが、これまではそういう伝達手段が無かった。
しかしインターネットの発達により、すべての人間がその方法を手に入れた。先の佐藤元総理の「国民に直接、話したい」という言葉を借りれば、テレビよりもインターネットの方がさらにベストであろう。

あるいは2006年7月3日という日は、ひとりの偉大なプロサッカー選手が引退を発表した日ではなく、テレビとインターネットの立場が逆転した日として歴史に残るかもしれない。新聞とテレビが逆転した昭和47年6月17日のように……。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする