自然と生きる

気ままに健康で楽しく生きる。そして、天寿120歳を目指す。

栃の実

2024-03-03 08:33:50 | 日記

 栃(とち)という字は、国字であっ

て、日本国内で作られた漢字。

と=十、ち=千、という数字を意識し

た呼び名であって、沢山実が成ること

からそう呼ばれたようだ。

そして、洒落を含めてその字の中に万

を入れたと。だから、栃とは豊かであ

るという意味になる。 

 

さて、栃餅を作ろうと思って、アク抜

きした栃の実を買い求めました。

しかし、その味自体が、妙な酸味と重

曹のような臭いがあって、美味しいも

のという感じは無く、疑問あるものだ

った。

というのは、実のアク抜きに使う木灰

の灰汁の味も、山村の伝統味覚となっ

ているのを知らなかったからですが、

その昔の囲炉裏生活というスス臭い時

代の伝統は、必ずしも現代においては

よろしいという訳ではない。

 

そこでさらに調べると、栃の実は沢山

実がなるものの、アク抜きに手間がか

かるので、もっぱら、不作時に米や五

穀を食す際、量のかさ上げに使われた

木の実で、保存して常時食っていたと

いうものでは無いということ。

それが、豊になった時代に、山村の観

光資源として利用されることになる。

 

それでも成り行きだから、栃餅をつき

ましたが、やはり、灰汁の味がするの

で、出来立ては美味しくなかった。

ただ、のし餅も丸餅もしばらく冷凍保

存すると灰汁の味が若干飛んで食べや

すくなる。

 

しかし、なんだか釈然としないので、

栃の実そのものを入手することにした。

 

 

栃の実が届くや早速、皮むきのために

湯に一昼夜浸す。湯に浸すと、甘く香

ばしいやさしい香りが立ち始めるが、

これは栃の実の外皮の香りだろう。

翌日は、皮むきと実の刻み作業をしま

したが、意外にも実は硬い。

試しに実を少し齧って咀嚼すると、若

干の苦味があり、ヌメヌメになるもの

の、特に味はしなかった。

 

その後、アク抜きの為に、山村では湧

き水などの流水に最低4日~1週間程

浸すそうだが、市街地の一般家庭では

無理なので、日に何度も水を入れ替え

ることで対応し、5日続けた。

 

始めは、薄黄色いアクが出て、すすぐ

とサポニン由来の泡が出続けるが、次

第にそれが無くなって来る。

 

 

その後、木灰には合わせずに、ミキサ

ーで粉砕して水に浸し、日に数回上澄

みを流しては水を入れる作業を5日繰

り返して、アク抜きの終わりとしたが、

初めてにしては結果的に良い工程で、

泡が出る内は、泡に実が混じって作業

がし難いので、最初から粉砕せずに2

段階に分ける方がロスが無い。

合計アク抜きに10日を要した。

 

 

ミキサーで粉砕した粒を布でこし、沈

殿した澱粉を分けたが、臭いはほんの

りと木の実のようで、少し取って食べ

てみると、少しの苦味があるものの問

題を感じない。

 

澱粉に湯を注いで、葛湯のように栃湯

にしてみたが、案の定、トロトロにな

る。栃粉100%の栃湯は、お勧めだ。

 

 

その昔、水のみのアク抜き法で処理し

た粒や澱粉を粥に入れて食べている例

があるように、必ずしも木灰でアク抜

きする必要は無い。

美味しいものでは無いが、素朴な味で

歴史を感じさせる。

 

さて、澱粉は小瓶に取り置いて、粒は

いったん蒸してみたが、実自体に油分

が少なく薄味なので、バターや砂糖を

入れてクッキーにするか、餅米と混ぜ

て栃餅にするのが無難だろう。

餅米と栃の実を同量で栃餅をついたが、

素朴な味だ。

 

 

日本列島の7割が山林という五穀豊穣

な日本国にあって、猿も食わない実を

人間様が、有難がって食っている。

 

ではでは。

 

 

 

コメント
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