つばさ

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NATO

2012年09月23日 | Weblog
春秋
2012/9/23
 日本企業を指して「NATO」だなあ、とからかう言い方があるそうだ。もともとは北大西洋条約機構を指す略語だが、ここでいうNATOは「ノット・アクション、トーキング・オンリー」の頭文字をつなげた新語。おしゃべりばかりで行動しない、という意味だ。
▼経済産業省で企業のアジア進出を手伝う松島大輔氏が近著「空洞化のウソ」で語る逸話だ。アジア視察ツアーはいつも経営者で満員。しかしその場で何かの約束が成立することはほぼない。「持ち帰って検討する」と語る日本のトップを見て、先方の大臣が著者に問いかけたという。「社長や会長の上に誰かいるのか?」
▼こんな話も聞いた。欧州で開かれたある国際会議の合間の雑談で、日本人が「東京本社の決定が万事遅い」とこぼした。英国人の一人は昔日本の銀行に勤めていたと打ち明け、こう続けた。「だから日本のヘッドクオーター・プロブレム(本社問題)はよく知っています」。一同どっと笑ったそうだが、笑い事ではない。
▼アジアにアフリカに南米に、先進国や新興国から企業が乗り込んでいく。日本勢も外国人採用を拡大するなど危機感に火が付いた。しかし現地に権限を与えず、トップが足を運んでも駒を前に進めない経営では、せっかくの人材は腐り、新興国にスピードで負け続けよう。グローバル化は経営の意思決定にも改革を迫る。