打越正行の研究室 UCHIKOSHI Masayuki's laboratory

このブログでは、広島と沖縄で暴走族・ヤンキーの若者を対象とした参与観察調査をしてきた打越正行の研究を紹介しています。

エスノグラフィ 生活史を書き、読む

2023年06月03日 22時53分59秒 | お知らせ

 

■石岡丈昇・岸政彦・打越正行、2023年6月3日、「エスノグラフィ 生活史を書き、読む」『タイミングの社会学――ディテールを書くエスノグラフィ』(青土社)刊行記念トークイベント(UNITE).

 

【以下、UNITEさんのHPより転載】

 石岡丈昇さんによる『タイミングの社会学――ディテールを書くエスノグラフィー』(青土社)が5月下旬に刊行されます。

 本書の刊行を記念して、石岡さんと同じく社会学者の岸政彦さんと打越正行さんとともに、エスノグラフィー/生活史を書くことと読むことについて、議論を重ねていただきます。

 『タイミングの社会学』は、フィリピン・マニラの貧困地区を舞台とするエスノグラフィーです。例えば本書には、明日家を失うかもしれない――しかし本当に政府通達通り撤去が行われるのかすらわからない――人びとが登場します。「Xデー」がいつ来るのかわからず、自分自身で自分の予定を立てることができないまま、相手の出方を窺いながら日々を過ごし、疲労感だけが蓄積されていく……言ってみれば「タイミングの自己決定」を奪われる人びとのサバイバルのありかたがここに描かれていきます。

 本書にはまた、エスノグラフィーの名著も多く紹介されています。地中海に浮かぶサルディーニャ島の住人や、ボリビアの先住民族、ブエノスアイレスの環境汚染地域で暮らす人びとの姿……それらを読み込むことは、マニラを生きる人びと、ひいては日本に生きる私たちのあり方を理解し、言葉をつくる営みに繋がっていきます。

 フィールドで遭遇し、思考し、書き記し、またそれらを読み継ぐこと。ここにディテールから立ち上がる、社会学の理論と実践が浮かび上がるのです。

 

 今回のイベントでは、沖縄を中心としたフィールドワークをすると同時に、『東京の生活史』(筑摩書房)や『沖縄の生活史』(みすず書房)などで、生活史をともに聞き書く実践を行ってきた岸政彦さんと、『ヤンキーと地元』(筑摩書房)で暴走族のエスノグラフィーを描き出しながら、沖縄の歴史や社会構造と暴力の問題を考えてきた打越正行さんをゲストにお迎えします。

 まったく異なるフィールドで出会った人びとの経験が、どこか重ね合わされて浮かび上がってくるのはなぜなのか――。それぞれのエスノグラフィー/生活史の書き方や読み方について縦横無尽に語りつくす貴重な一夜となります。どうぞ奮ってご参加ください。

 

【日時】6/3(土) 17:00~18:30 (延長の可能性あり)

*こちらのイベントは、イベント終了後、アーカイブ視聴が可能となります。

*視聴可能期間は 2023/6/3~2023/7/3 までの1か月間です。

【プロフィール】

石岡丈昇(いしおか・とものり)

1977年生まれ。社会学者。日本大学教授。主な著書に、『ローカルボクサーと貧困世界——マニラのボクシングジムにみる身体文化』(世界思想社、2012年)、『質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学』(岸政彦・丸山里美と共著、有斐閣、2016年)、『アスリートたちが変えるスポーツと身体の未来――セクシュアリティ・技術・社会』(山本敦久編、岩波書店、2022年)、『人間と社会のうごきをとらえるフィールドワーク入門』(新原道信編、ミネルヴァ書房、2022年)など。

岸政彦(きし・まさひこ)

1967年生まれ。社会学者・作家。京都大学大学院教授。主な著作に『同化と他者化――戦後沖縄の本土就職者たち』(ナカニシヤ出版、2013年)、『街の人生』(勁草書房、2014年)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、2015年)、『ビニール傘』(新潮社、2017年)、『大阪』(柴崎友香と共著、河出書房新社、2021年)、『リリアン』(新潮社、2021年)、『東京の生活史』(編著、筑摩書房、2021年)、『生活史論集』(編著、ナカニシヤ出版、2022年)、『沖縄の生活史』(石原昌家と共に監修、沖縄タイムス社編、みすず書房、2023年)など。

打越正行(うちこし・まさゆき)

1979年生まれ。社会学者。和光大学講師、特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所研究員。主な著作に『ヤンキーと地元――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』(筑摩書房、2019年)、『持続と変容の沖縄社会――沖縄的なるものの現在』(谷富夫ほか編著、2014年、ミネルヴァ書房)、『最強の社会調査入門――これから質的調査をはじめる人のために』(木下衆ほか編、ナカニシヤ出版、2016年)、『サイレント・マジョリティとは誰か――フィールドから学ぶ地域社会学』(川端浩平ほか編著、ナカニシヤ出版、2018年)、『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』(岸政彦 、上原健太郎 、上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、2020年)など。

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俺の妹と父ちゃんは、ちゃんと国から感謝状もらってるけど警察署から。俺はちゃんと逮捕状もらってるよ(笑)

2023年05月12日 13時45分31秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■打越正行、2023年5月12日、「俺の妹と父ちゃんは、ちゃんと国から感謝状もらってるけど警察署から。俺はちゃんと逮捕状もらってるよ(笑)」石原昌家・岸政彦監修、沖縄タイムス社編『沖縄の生活史』みすず書房、114-122.(全880ページ、ISBN:978-4622095989、4950円)

 

みすず書房

 

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社会の癖―参与観察における理解

2023年05月11日 21時56分37秒 | その他の業績

 

■打越正行、2023年5月12日、「社会の癖―参与観察における理解」トイビト編集部『あのときのフィールドノート』(https://www.toibito.com/toibito/articles/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E7%99%96%E5%8F%82%E4%B8%8E%E8%A6%B3%E5%AF%9F%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%90%86%E8%A7%A3, 2023.5.12).

 

 

 人に癖があるように、社会にも癖があるということについて考えます。

 癖とはどんなものか、その癖の特徴から社会の癖をみることでなにが明らかになるのか。そして、社会調査、なかでも調査対象となる人びとの生活に住み込みながら調べる参与観察という方法で人や社会を理解するということについて考えます。

 

トイビト

 

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シマ歩きの旅(2022年度フィールドワーク報告書)

2023年03月25日 12時26分06秒 | 書いたもの(DL不可)

 

■2022年度フィールドワーク参加者編著、2023年3月25日、『シマ歩きの旅(2022年度フィールドワーク報告書)』和光大学現代人間学部現代社会学科.

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沖縄社会における男らしさと暴力

2023年03月19日 14時57分16秒 | お知らせ

 

■第7回女性の健康習慣市民公開セミナー YouTubeオンラインセミナー
「自分らしく生きる。からだ・ココロ・性」
日時:2023年3月19日(日)13:00~16:10
配信のみ(要申込)

・プログラム
司会:銘苅桂子(琉球大学病院)

第1部 女性の健康と女性ホルモン

知っておきたい女性ホルモンのはなし 宮城真帆(琉球大学病院)

第2部 沖縄県における女性と暴力の問題を考える―被害者支援と加害者プログラムについて

講演1 沖縄社会における男らしさと暴力 打越正行(和光大学)

講演2 身近にある家族の暴力―加害者について 信田さよ子(原宿カウンセリングセンター)

ディスカッション 上間陽子(琉球大学)

 

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暴力の理解社会学――沖縄の建設現場での参与観察をもとに

2023年03月17日 18時18分58秒 | 書いたもの(DL可能)

 

■打越正行、2023年3月17日、「暴力の理解社会学――沖縄の建設現場での参与観察をもとに」現代人間学部紀要編集委員会『和光大学現代人間学部紀要』16: 129-148.

 

【目次】

1 ――はじめに
2 ――暴力を問う視座
3 ――暴力を調べる困難
4 ――建設業からみる沖縄社会
5 ――沖縄における男性性と暴力の理解社会学
6 ――おわりに

 

【要旨】
 本稿は、暴力という社会的行為の理解社会学的研究である。
 暴力は当の本人がまったく統制できない衝動でもなく、ある社会の興奮状態で起こる聖なる儀礼としてのみ扱えられるものでもない。また時代や社会を象徴する特殊なふるまいでもない。それは文明化された現代において、いつでもどこでも誰でも行使しうる世俗的な社会的行為のひとつである。ただし、それはジェンダーや階層によって、不均衡な形で現れる。本稿では暴力の加害者を他者化するのではなく、理解することを試みる。理解のためには、その暴力が特定の社会と時代のもとでなされたことを外さずに、その合理性について書かなければならない。具体的には、現在の沖縄の建設現場を確かに生きる男性従業員によって行使される暴力を対象とし、その動機と行為の説明を通じて理解する。その理解に基づいて、沖縄社会に押し付けている犠牲や差別的構造を明らかにする。

 

ダウンロード

 

和光大学リポジトリ

 

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ゼミの軌跡(2022年度後期)

2023年02月09日 14時14分59秒 | お知らせ

2022年度後期「生活を奪い返すために」


■夏休みに書いたもの報告会
■『A』(森達也監督、1998年、日本、135分)
■松村圭一郎、2021、『くらしのアナキズム』ミシマ社.
■『阿賀に生きる』※(佐藤真監督、小林茂※撮影、1992年、日本、115分)

※ 監督参加

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更新情報(2022年)

2022年12月08日 12時03分10秒 | お知らせ
■220505
 
■220416
 
■220331
 
■220207
論文(DL不可)「排除Ⅰ――不安定層の男たち」に『沖縄キリスト教短期大学紀要』、『生活指導研究』を追加する。
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製造業なき経済成長/談合なき建設業――建設業からみた『戦後』沖縄

2022年12月04日 11時44分32秒 | 口頭発表


■打越正行、2022年12月4日、「製造業なき経済成長/談合なき建設業――建設業からみた『戦後』沖縄」沖縄社会学会 第5回大会(沖縄県立看護大学、zoom).

概要
 本報告は、建設業に従事してきた労働者の現実から、沖縄の「戦後」について考察することを目的とする。
 結論から述べると、彼らが経験した沖縄の「戦後」とは、日本社会が経験した戦後とは異なる。戦後の日本社会は、製造業(重化学工業)がリードする経済成長を経験したのに対し、沖縄社会では製造業なき経済成長を経験した。また日本社会の経済成長にかげりが見え始めた1970年代になされた、建設業を通じた地方への再分配政策、そしてその象徴としての談合が沖縄の建設業にはほとんど定着しなかった。このように建設業から沖縄の「戦後」を捉えると、それは製造業なき経済成長と談合なき建設業によって特徴づけられる。
 沖縄の建設業に従事する労働者は、その異なる「戦後」を固有の社会関係をもとに生き抜いた。この過程でつくられた社会関係をつかむことから、「戦後」の沖縄社会が階層化される過程について迫る。

 

学会HP

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墓で先輩らと寝泊まり/迎えてくれた「おやじ」

2022年08月29日 11時57分05秒 | その他の業績


■打越正行、2022年8月29日、「墓で先輩らと寝泊まり」『沖縄タイムス「沖縄の生活史――語り、聞く復帰50年 第2部(81)」』(2022.8.29 朝刊).

 

■打越正行、2022年8月30日、「迎えてくれた『おやじ』」『沖縄タイムス「沖縄の生活史――語り、聞く復帰50年 第2部(82)」』(2022.8.30 朝刊).

 

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相手の10年を聞くために、自分の10年を投じる

2022年08月08日 15時37分27秒 | お知らせ

 

■打越正行 x 岸政彦、2022年8月8日、「相手の10年を聞くために、自分の10年を投じる」web岩波「たねをまく」『調査する人生』(https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/5967, 2022.8.16)

 

岸政彦さんの連載『調査する人生』の第1回目のweb公開記事です。

2019年に大阪で実施したトークイベントの記録です。

 

web岩波

 

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学校と地域、そして地元

2022年08月01日 09時14分59秒 | その他の業績

 

■打越正行、2022年8月1日、「学校と地域、そして地元」日本生活教育連盟編『生活教育』868、36-37.

 

 戦後日本における学校と地域の関係、そしてそこから見落とされてきた沖縄のヤンキーの若者たちにとっての地元について書いた。

 

日本生活教育連盟

 

オンライン書店

 

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ゼミの軌跡(2022年度前期)

2022年07月30日 14時14分59秒 | お知らせ

2022年度前期「居ないことにされてる人びとの生活/人生」


■上間陽子※、2020、「排除Ⅱ――ひとりで生きる」岸政彦ほか編著『地元を生きる――沖縄的共同性の社会学』ナカニシヤ出版、371-435.
■『ゆきゆきて、神軍』(原一男監督、1987年、日本、122分)
■青木秀男,2008,「殉国と投企――特攻隊員の必死の構造」社会理論・動態研究所編『理論と動態』1: 72-90.
■宮本常一、1984、「女の世間」『忘れられた日本人』岩波書店、105-130.
■松田素二、1996、「民族におけるファクトとフィクション」磯部卓三ほか編『フィクションとしての社会――社会学の再構成』世界思想社、184-209.

※ 著者参加

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沖縄と対峙するための流儀

2022年07月10日 15時00分09秒 | 書いたもの(DL不可)


■打越正行、2022年7月10日、「沖縄と対峙するための流儀」(一社)部落解放・人権研究所編『私の沖縄問題』解放出版社、42-47.(全224ページ、ISBN-13:‎978-4759268034、1760円)

 

解放出版社

 

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場に根付くということ――ライブハウスから考える

2022年05月11日 09時58分58秒 | お知らせ

 『ライブハウスの人類学』(晃洋書房)刊行記念
「場に根付くということ――ライブハウスから考える」

日時:2022年5月11日(水)20:00-
場所:本屋B&B(東京都世田谷区)&オンライン
https://bookandbeer.com/
参加:生井達也×打越正行

(以下、転載)
 今年一月に生井達也さんの新刊『ライブハウスの人類学』が、晃洋書房より発売されました。
 同書は、十年以上にわたってミュージシャンと研究者という二足のわらじを履き続けてきた著者が、音楽活動やライブハウスに集うことの「意味」とは何か、楽しさや喜びといったものとは異なる次元にある「何か」に触れようと、ミュージシャンたちの実践を対象に、自身も演奏者として、客として、イベント企画者として参加し、参与観察と聞き取り調査を行った成果をまとめた本です。
 同書の刊行を記念して、トークイベントを開催します。
 出演は著者の生井達也さん、ゲストに打越正行さんをお迎えします。
 打越さんは、沖縄の若者たちを対象に、驚異的なフィールドワークを展開し、2019年に『ヤンキーと地元』(筑摩書房)を出版されました。
ときに調査対象者の「パシリ」となり、彼らと日常的に「つるみ」、酒を飲み交わしながら共に過ごすという長期にわたる参与観察の成果をまとめた同書は、第6回沖縄書店大賞を受賞し、大きな注目を集めました。
 当日は、生井さんの著書を端緒に、ライブハウスという不可視化される(見えにくい)「場」でどのような実践が行われているのか、また、お二人にとっての「フィールドワーク」とは何かといった話題まで、自由にお話いただきます。
 どうぞお楽しみに!

https://bb220511.peatix.com/

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