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書物と活字の懇話会

第3回  活字へ —— 過渡期明朝体(武英殿銅活字・武英殿聚珍版・萃文書屋木活字)

2015年04月13日 | typeKIDS_Seminar
第3回  活字へ —— 過渡期明朝体(武英殿銅活字・武英殿聚珍版・萃文書屋木活字)
話者:今田欣一
日時:2015年4月12日(日)15:15−17:15
場所:新宿区・榎町地域センター 大会議室B

3月の「typeKIDS Exhibition内覧会」で話した「漢字書体二十四史」のうち、きょうは「過渡期明朝体」のおさらい。


「typeKIDS Exhibition内覧会」にて

欣喜堂で制作している過渡期明朝体、「武英」(写真では人影で見えない)、「聚珍」(写真中)と「宝玉」(写真左)についてお話しすることにしました。

説明しながら、原資料のファイル資料、影印本を手に取って見てもらいました。
「武英」の原資料『古今図書集成』はプリンター出力ですが、「聚珍」の原資料『武英殿聚珍版程式』と「宝玉」の原資料『紅楼夢』は影印本です。いずれもある程度のページ数があるので、全体的な雰囲気がわかりやすいのではないかと思います。





清の康煕帝・雍正帝・乾隆帝の時代に、武英殿および民間出版社によって銅活字や木活字で刊行された書物にあらわれている書体は、明代の刊本字様である「明朝体」と、清代後期の「近代明朝体」との過渡期にあたるので、これらを「過渡期明朝体」ということにします。

「武英」の資料:ファイル『古今図書集成』(京都大学附属図書館ウェブサイトからのプリンター出力物)



『古今図書集成』は、中国・清朝の康熙帝(在位:1662−1722)が、陳夢雷(1651−1741)等に命じて編纂を開始したものです。古今の図書から抜き出した事項を、類別して配列しています。康煕帝の時代の1719年(康煕58年)には完成していたそうですが、皇位継承の紛争もあって刊行が遅れたようです。清朝の雍正帝(在位:1722−1735)の時代の1726年(雍正4年)になって、銅活字で刊行されました。

「聚珍」の資料:『中国活字版印刷法——武英殿聚珍版程式』(金子和正編著、汲古書院、1981年)



乾隆帝(在位:1735−1795)の時代に完成した写本の『四庫全書』のなかから重要な書物を選んで、『武英殿聚珍版双書』として木活字で印刷させました。金簡(?−1794)が提案したもので、宮廷用の5部と一般販売用の300部が刊行されたそうです。金簡は、この木活字の製作と印刷作業の過程と経験をまとめて、詳細な文章と明瞭な挿し絵で『武英殿聚珍版程式』(1776年)という印刷専門書を著しています。この『武英殿聚珍版程式』は出版事業報告書だったとともに、活字版印刷の技術書でもありました。

「宝玉」の資料:『程甲本紅楼夢』(書目文献出版社、1992年)



清代において一般庶民に向けた実用書、読み物などは、営利を目的とした書坊が担っていました。活字版印刷が各地で盛行したのは、冊数が多いものであっても印刷部数は百部未満のごく少数だったことがあげられます。その中心地は杭州・南京などの江南地方と首都の北京に集中していました。北京では全般的な品質はそれほど高くはありませんでしたが、萃文書屋の『紅楼夢』(1791年)は、坊刻本のなかの佳作といわれています。
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