typeKIDS Report

活字書体を使う人のための勉強会

typeKIDS Meeting Spring 2019, Report 3

2019年04月10日 | typeKIDS_Meeting



[随想]私の金属活字時代

私の金属活字時代というタイトルをつけたんですが、直接金属活字を扱ったのは学生時代の印刷実習の時だけなんですよね。
高校時代には、金属活字に触れたことはありませんでした。写真植字は、近くの印刷会社にはなかったので知りませんでした。
当時は謄写版(ガリ版)印刷で同人誌を作っていましたが、金属活字は憧れでしたね。できればタイプオフという、日本語タイプライターで印字したものをオフセット印刷したかったんですが、高校生ではせいぜいタイプ孔版、タイプライターで原紙に印字して謄写版印刷するという方法が精一杯でした。そんなことですから、金属活字の書体を作るという発想は全くありませんでした。
活字書体ということではありませんが、そのころレタリングとして描いていましたので、ガリ版の筆耕などもヒントにして、「貘」という書体として再現してみました。これをもって高校時代から大学時代を「金属活字時代」と位置付けるようにしました。
再生するにあたっては、できるだけ金属活字時代に近い方法でやろうと思いました。原字のサイズは2インチ角にしました。なにかの本に書かれていたので、トレシングペーパーに描いていきました。用紙は1字ごとだったそうですが、A4サイズがやりやすいので1シートに12字で描きました。
學のまちkawagoe実行委員会主催のイベント「文字のこと、本のこと。」の会場で配布するカードを作ろうと思い立ちました。本当は鋳造して金属活字にしたかったのだけど、予算的に無理だったので、イメージだけでも活版印刷風にしようということで、櫻井印刷所を通じて佐々木活字で亜鉛版を作ってもらいました。ここに至って、長年の夢が叶ったのです。

「貘」使用例







typeKIDS Meeting Spring 2019, Report 2

2019年04月09日 | typeKIDS_Meeting
櫻井印刷所活版工場見学会

川越にある櫻井印刷所の活版工場に無造作に置かれていた錦精社の活字書体見本帳。多彩な書体が掲載されている。





岩田母型の常用漢字表。




2019年1月26日に櫻井印刷所が約30年ぶりに活版印刷工場を復活させた。typeKIDSでも、4月6日、休日にもかかわらず、その活版印刷工場を見学させていただくことになった。工場の外観は、ほしおさなえさんの小説『活版印刷三日月堂』に出てくる印刷所「三日月堂」を思わせる懐かしさあふれる佇まいだ。
櫻井印刷所の松崎さんに案内していただきながら、活字を中心に見学させてもらった。櫻井理恵社長も駆けつけてくれた。



活字。これでも往時の半分ぐらいだとか。どういう活字書体があって、どういうタイプサイズがあって、どういう字種で揃えられているのか、伺った時点では詳しいことはわからなかった。
だが、活字メーカーで多彩な活字書体が用意されていても、小さな活版印刷工場では、活字を置くスペースも限られており、活字を購入する費用もかかるので、当面の仕事に必要なだけの活字書体、タイプサイズ、字種に限定されることは容易に想像できる。

木製の植字台には、罫線の種類もたくさん置かれていた。活字は文選・植字をして、印刷されることで、役割を果たすことになる。



SWAN75という全自動の印刷機。半自動の手フートもあった。他にも、込物選別機や樹脂板を作る機械、罫線を必要に応じて切る機械も。いろいろ興味をそそられる。

櫻井印刷所では、名刺やハガキの受注をはじめている。

文・今田欣一


typeKIDS Meeting Spring 2019

2019年04月07日 | typeKIDS_Meeting
2019年4月6日(土)13:30〜17:00、川越市産業観光館・小江戸蔵里展示蔵ギャラリーで「typeKIDS Meeting Spring 2019」を開催しました。

展示会「和字書体十二勝」
木版印刷や金属活字の原資料と、それをもとに制作したデジタルタイプの書体見本を、10Q〜16Qの組み見本とともに展示しました。





ほかに「龍爪」「陳起」「志安」「金陵」「蛍雪」「銘石」の総数見本(13Q)を展示しました。制作中の「武英」と「方広」のテスト印字も特別公開しました。



読書会
欣喜堂発行の書籍を会読しました。参加された方には『Rejoice! 2019 活字書体をつくるひと』をさしあげました。






typeKIDS Workshop
櫻井印刷所活版工場見学と小江戸川越文字散歩

「typeKIDS Meeting Spring 2019」に先立ち、櫻井印刷所活版工場見学と小江戸川越文字散歩ツアーを行いました。

10時半に東武東上線川越市駅前に集合。『活版印刷三日月堂』ゆかりの地をめぐりながら櫻井印刷所活版工場へ向かいました。満開の桜に見とれて(?)、約束の11時に少し遅れてしまいました。



櫻井印刷所の松崎さんに案内していただきながら、活字を中心に見学させていただきました。櫻井理恵社長も駆けつけてくれました。







櫻井印刷所活版工場から、1時間かけて川越文字散歩(菓子屋横丁、蔵造りの町並み、時の鐘、大正浪漫夢通り)。小江戸蔵里・展示蔵ギャラリー へ向かいました。