新型コロナウイルス感染症の蔓延により、“typeKIDS Meeting Autumn 2020”は開催できませんでした。
予定していた内容をここに記しておくことにします。
typeKIDS Meeting Autumn 2019 のReport 3、Report 4に加えて、実際に制作した書体についてお話ししようと考えていました。
第1部 電算写植システムと書体のこと
typeKIDS Meeting Autumn 2019, Report 3
電算写植システムと書体のこと
私が入社した時には、すでに電算写植が開発されていました。デジタルタイプ専門のセクションが設けられ、手動写植機の文字盤用の原字をデジタル化していました。
1980年代後半になると、電算写植システムが主流になり、展示会でも手動写植機は片隅に追いやられている状況でした。書体制作では、原字はアナログで制作し、デジタル化のセクションで、それをスキャンしてアウトラインフォントを制作するという工程でした。
ファミリー化においては、イカルスというソフトが導入されていましたが、それをフィルムで出力して、書体制作セクションで修整し、再びデジタルセクションでアウトライン化していました。当時はまだ、あくまで「文字は手で描くもの」という考え方が強かったように思います。私はワークステーションに触ったこともありませんでした。
新しい書体は電算写植システム用のデジタルフォントと手動写植機の文字盤用が同時に発売されるようになりました。1990年代になると手動写植機の文字盤で発売されることもなくなりました。
デジタルフォントと文字盤用が同時に発売された最後の書体が「今宋」でした。その前に発売された「いまりゅう」もデジタルフォントが主流になっていた頃に発売された書体です。
「いまりゅう」と「今宋」は、それぞれ「第10回・石井賞創作タイプフェイスコンテスト」、「第11回・石井賞創作タイプフェイスコンテスト」に応募したものです。商品化を狙っていたわけではなく、コンテストでは日常の業務ではできないような実験的な書体で挑戦しようということを考えていました。
電算写植時代の書体1「いまりゅう」
電算写植時代の書体2「今宋」
第2部 DTPと書体のこと
typeKIDS Meeting Autumn 2019, Report 4
DTPと書体のこと
海外出張で1990年9月に、イギリスのオックスフォードで開催されたAtypIの主催するType90という国際的なイベントに参加しました。その時、ロバート・スリムバック氏、ジョナサン・ホーフラー氏のワークショップを聴く機会がありました。
それまで会社でコンピューターを使う機会はなく、書体設計・制作はアナログでおこなっていました。このふたつのワークショップがコンピューターによる活字書体の設計への移行を決意させました。
帰国後、私は個人的にMacintosh-IIsiを購入し、書体設計に必要だと思われるソフトウェアとして、Altsys Fontographerのほか、Adobe Illustrator, Adobe Photoshop, Adobe Streamline, Aldus PageMakerを揃えたものでした。
「第14回・石井賞創作タイプフェイスコンテスト」は、規定のデザイン用紙に描いてパネルに貼り付けなければならなかったので、Fontographerで制作したものをIllustratorで配置し、規定のデザイン用紙にプリントするという面倒な方法を取りました。
その時に応募した書体は、自社ブランドで日本語フォントを制作するようになると、DTPの書体として、現在の「いぬまる吉備楷書」「さるまる吉備隷書」「きじまる吉備行書」へと繋がっていきます。
DTP初期の書体1「いぬまる吉備楷書」
DTP初期の書体2「きじまる吉備行書」
DTP初期の書体3「さるまる吉備隷書」
予定していた内容をここに記しておくことにします。
typeKIDS Meeting Autumn 2019 のReport 3、Report 4に加えて、実際に制作した書体についてお話ししようと考えていました。
第1部 電算写植システムと書体のこと
typeKIDS Meeting Autumn 2019, Report 3
電算写植システムと書体のこと
私が入社した時には、すでに電算写植が開発されていました。デジタルタイプ専門のセクションが設けられ、手動写植機の文字盤用の原字をデジタル化していました。
1980年代後半になると、電算写植システムが主流になり、展示会でも手動写植機は片隅に追いやられている状況でした。書体制作では、原字はアナログで制作し、デジタル化のセクションで、それをスキャンしてアウトラインフォントを制作するという工程でした。
ファミリー化においては、イカルスというソフトが導入されていましたが、それをフィルムで出力して、書体制作セクションで修整し、再びデジタルセクションでアウトライン化していました。当時はまだ、あくまで「文字は手で描くもの」という考え方が強かったように思います。私はワークステーションに触ったこともありませんでした。
新しい書体は電算写植システム用のデジタルフォントと手動写植機の文字盤用が同時に発売されるようになりました。1990年代になると手動写植機の文字盤で発売されることもなくなりました。
デジタルフォントと文字盤用が同時に発売された最後の書体が「今宋」でした。その前に発売された「いまりゅう」もデジタルフォントが主流になっていた頃に発売された書体です。
「いまりゅう」と「今宋」は、それぞれ「第10回・石井賞創作タイプフェイスコンテスト」、「第11回・石井賞創作タイプフェイスコンテスト」に応募したものです。商品化を狙っていたわけではなく、コンテストでは日常の業務ではできないような実験的な書体で挑戦しようということを考えていました。
電算写植時代の書体1「いまりゅう」
電算写植時代の書体2「今宋」
第2部 DTPと書体のこと
typeKIDS Meeting Autumn 2019, Report 4
DTPと書体のこと
海外出張で1990年9月に、イギリスのオックスフォードで開催されたAtypIの主催するType90という国際的なイベントに参加しました。その時、ロバート・スリムバック氏、ジョナサン・ホーフラー氏のワークショップを聴く機会がありました。
それまで会社でコンピューターを使う機会はなく、書体設計・制作はアナログでおこなっていました。このふたつのワークショップがコンピューターによる活字書体の設計への移行を決意させました。
帰国後、私は個人的にMacintosh-IIsiを購入し、書体設計に必要だと思われるソフトウェアとして、Altsys Fontographerのほか、Adobe Illustrator, Adobe Photoshop, Adobe Streamline, Aldus PageMakerを揃えたものでした。
「第14回・石井賞創作タイプフェイスコンテスト」は、規定のデザイン用紙に描いてパネルに貼り付けなければならなかったので、Fontographerで制作したものをIllustratorで配置し、規定のデザイン用紙にプリントするという面倒な方法を取りました。
その時に応募した書体は、自社ブランドで日本語フォントを制作するようになると、DTPの書体として、現在の「いぬまる吉備楷書」「さるまる吉備隷書」「きじまる吉備行書」へと繋がっていきます。
DTP初期の書体1「いぬまる吉備楷書」
DTP初期の書体2「きじまる吉備行書」
DTP初期の書体3「さるまる吉備隷書」